表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
第3章:愛はさ、ダメさ、ダメは死
45/176

#045:遡及かっ(あるいは、いつか/私が私を/好きであったとき)


 <第5ピリオド:レフトリング:

 A:覇武ハブ 柚子蘭ユズラン  VS  F:水窪ミズクボ 若草ワカクサ


<さあっ!! ついに巡ってきた最終決戦っ、予選突破あと一席は誰がもぎ取るのでしょうかっ!!>


 おねえさんの、おおきな、こえが、きこえる……


<状況はっ、4戦全勝の覇武選手は勝っても負けても本戦出場っ! 残る一つの空席を、尾藤谷ビドウダニ選手と崎本ザキモト選手が争うかたちとなっています!!>


「……やはり、消化試合となってしまいましたわね。今更カワミナミ様の弟子の方と言えど本気でやり合うのはどうかと思いますけれど……いえ、2400万が4800万になると考えますと、望むところという気もしますわ、おーほっほっほっ」


 わたしがすわってる、いすみたいなののまえには、またおなじようなものがあって、そこにきんいろのかみをした、おばさんがすわっていて、たかいこえでわらっている……


「奴ぁ、テコンドーの有段。わけわかんねえ角度から蹴りが放たれてくる。用心してくれ、ねえさん」


 わたしのよこから、きたならしいかおをした、ながいかみのおじさんがはなしかけてくるけど、「ねえさん」ってわたしのこと?


「あれ?……どうしたんで? ねえさん、そんな少女のような曇りのない目をして」


 そのとなりから、おおきなかおをおじさんも、こちらをのぞきこんでくるけど。いってるいみがぜんぜんわかんない。


「……ちょっと待て、様子がおかしい。水窪、自分の名前はわかるか?」


 そのふたりをかきわけるようにして、こんどはきれいなかおをしたおねえさんが、きいてくるけど。そんなにこどもあつかいしないでほしい。


「……みずくぼ わかくさ。5さいです」


 ちゃんといえたでしょ。「さ」が「ち」にならないようにきをつければ、じでだってかけるんだから。


「……」


 でもはっきりそういえたのに、おとなのひとたちは、くちをあけたまま、かたまっちゃった。どうしたの?


「……やばいやばいやばいっ! また何かメンタルの噛み合わせがぶっ飛んでんぞ!」


「お、お、お、と、とにかくありったけの酒を頭からぶっかけるしかねえんじゃねえかぁ? またもエタノール神の力をお借りするよりほかねえっ」


「待て落ち着け待て!! くっ……やはり、無理が祟ってしまったか。見ろこの天使のような透き通った表情を。さっきの土師潟を破壊した時に見せたあの残虐+極悪+非道なふるまいに、おそらくは自分自身の精神も耐えられなかったのだ……」


「いや嬉々としてやってたように見受けられたが!? それよりもどうすんだこれ、この状態で対局させんのは流石にやべえよ。素立ちで食らったら万が一がある蹴りを撃ってくる相手だぜ? 何か、何か速攻性のあるマインドコントロールとかねえのかよ? 洗脳の類いならお手の物だろうがぁ」


「洗脳など誰もしていない」


 おとなたちはくちぐちにどなりはじめたけど、「たいきょく」ということば、さっききいたよ?


「……だいじょうぶっ!! 『たいきょく』のことなら、おねいちゃんからきいてるから! じぶんのことを『じこしょうかい』すればいいんだよねっ!!」


 「わかくさなら、わたしならできる」って、さっきおねいちゃんいってた。だからがんばる。


 わたしは、びっくりしてなにもしゃべらなくなってしまったおとなたちに、にっこりわらっててをふると、しっかりといすにすわりなおす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ