★#172:若草色かっ(あるいは、てんで極悪キュービズム/それ!ゆけ!アンデパンダン)
打開策。とは言うものの、実はもうそれは考えてある。というか、ここに至るまでの流れは全て……折り込み済みだったのよ。
「……ミズマイ、あんたの『弱点』が菊門であること……それを私はハツマ経由で既に掴んでいる……」
緩やかな落下の中、顔を互い違いに並べたままで、私はすぐ右隣りに位置する、瑞舞の顔向けて言い放ってやる。
「何を言ってるんだね、キミはぁ!? そそそんな、万人にそんなん当たり前じゃあないかね!! おおおおいどが弱くない人間がいるかっている話だよ、キミぃぃぃぃぃっ!?」
確かにそうなんだけど、分かりやすいほどに狼狽してくれた。何でも過去の古傷があるそうじゃない。まあでもあんたの言う通り、そこが強い人はそうはいないとは思うけど。
「……よって、重力とか落下速度とか、そんなの関係ない処刑方法を思いついた……」
「なんだっていうんだねほんとにキミはぁ~!? このまま軟着陸した時がキミの終わりだって、さっきそう説明したじゃあないか!! なぁにを今さら……」
必死になって言葉を紡ごうとしてくる瑞舞だけれど。その声は恐怖に彩られているかのように、私には感じられた。
私は右手に握り込んでいた「アクセルボタン」。直径3cmくらい、全長18cmくらいの円筒状の器具を持ち直し、その先端を、瑞舞の割り開かれた菊門部にあてがう。
ワカ「この『ダメ』を象徴する存在、ミズマイ貴様を……『ダメ』のトータルモチーフである『尻穴』を破壊することによって、この『女流謳将戦』を……綺麗に完結させる……っ!!」
ミズ「あっるぇぇぇぇぇ~!? 何かどこかで聞いたことある!! どえらいトラウマを、いま僕思い出しかけちゃってるぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
ワカ「今から繰り出す最終極技、『エターナル若草シックス=OPPIROGEシリアナバスター=あ、な~るほど、ジ/エンド/オブ/ザ/ワールド』にて、ことここにいたるまでの、全ての事象は収束する……」
ミズ「謝ろう!! 潔く!! と言うか、明らかにシメ要員がために、私は体よくおびきよせられたんだろうってこと、今、脊髄で把握した!! 今思えばわかりやすい罠だ!! 見えている地雷だった!! アヤちゃ~ん、聞こえてるんだろう~? もう禊は済んだって、そう思っていたのだが、これがキミの殺り方か!! 平伏して謝罪する機会を与えてください!! そしてキミのテリトリーを侵すつもりは今後一切さらさらないから、もうおうちに帰してぇぇぇぇぇっ!!」
ハツ<ケツヲ……裂イテ……華ハ……咲イテ>
ミズ「あっるぇ、あっるぇぇぇぇ!? こ、言の葉が通じない? か、カネならもうお返ししますっ!! ほ~ら、もう口座に振り込まれた頃合いですぞ!! ほぉんの冗ォ談だったんですよぉぉぉぉぉ~!! 許してくんなましぃぃぃぃ! やっと! やっと治癒の取っ掛かりが見えてきた直腸を、お願い再度破壊しないでぇぇぇぇぇっ!! 同じ宇宙船地球号の乗組員同士じゃないですかぁぁぁぁぁぁっ、きっとヒトはヒトと分かり合える!! 分かち合えるはずですぞぉぉぉぉぉぉぉっ」
ワカ「最後に言いたいことは、もう、ハツマも、私の『全人格』みんなも、大脳で考えちゃあいないってこと……許すか許さないかは……」
私は瑞舞の体を固めたまま、「そこ」を着地点として調整しつつ、キャンバスの上へと真っ逆さまに落下していく。
「脊髄にぃぃぃぃぃぃぃっ!! きいてみろぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」