#150:二刀流かっ(あるいは、サリセクスtoサーリィワンへのこれが一歩目)
これは……本当に魂の浄化の祭典なの? さっきから、いや、今日という一日が始まってから、私の心の表層の角質みたいなものがポロポロポロポロ剥がれ落ちていっているけど。
仮想空間、いや、私ら二人が少女の頃に夢想した空間を、眼下に眺めながら、それこそ夢であるかのように飛んでいる。ふたり組み合った体勢のまま。抱き合った格好のまま。
それにしても、何で私にだけに、こんなにもドラマチックな再会が目白押しであるっていうの。誰かが仕組んだとしか思えない。でも、誰がそんなことを仕組めるのかってことが謎で、滅裂な軌道を描く私の思考は、詮無く行ったり来たりを先ほどから繰り返している。
絶対におかしい。みんなして私を騙して、陰で嘲笑ってるんじゃないのか? こいつも、センコも、ハツマも、アオナギも丸男もカワミナミくんも。みんな、みんな。
あまりのあり得なさに、行き着いた答えはそれだった。壮大なやらせどっきり。トゥルーウォマン・ショー。
そうじゃなきゃ説明つかないし。塗魚……やっぱりてめえ、私をたばかってやがんだろ。そんな簡単に引っかかると……思うなよ。逆に論破してやる。私は表情の抜けた顔で深く、長く息を吸い込む。
「……なんで……ここ……に、来たの?」
意気込んだ私だったけど、出て来たのは、そんなか細い途切れ途切れの問いだった。聞きたかった。純粋に、ただ聞きたかった。偶然? ……なわけないよね。わざわざ私に……会いに来てくれたとでも言うの? かざみ……
「私は、前々からの常連。ソォニャが来たのは偶然。ほんとよ?」
目の前のかざみは穏やかな笑みを湛えたままでそう言う。偶然。偶然……なのだろうか。かざみがそう言うのなら、きっとそうなんだろう。でもそれはもしかしたら必然だったのかも、って私は声を大に言いたかったけど、言葉はつっかえて出てきそうにない。
「変わってないよね、ソォニャは。私は見るも無残に、こんなになっちゃったけど」
「無残」だなんて。外見はともかく、中身の無残さは私の方が多分上だよ。死に損ねた挙句の、この場所なんだから。
「なんで……っ、何であんな風に離れちゃったんだよっ!! 何で平気だった? 何で……私は馬鹿かよ……っ!!」
勝手に嗚咽混じりになってしまう言葉を何とか繋ぎ合わせて放った言葉は、やっぱりわけ分かんなくなっていたけど。目の前のかざみにだけは届いてくれたようだった。
「あたしもソォニャも馬鹿は馬鹿。でもさ……この再会の奇跡にかこつけて、今からやり直そ、っていうのは素敵も素敵」
舞台女優のセリフみたいな物言い。蚊取り銀髪小顔小悪魔少女に身をやつしても、中身はやっぱり昔のかざみのままだ。私は思わずほころんでしまう顔の表情を抑えようと努力してみるものの、抑える必要はないんじゃね? との意味ない自問自答にはまり込んでいる。




