表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
萬國最驚天終章:ダメの海にダメの帆をかけたダメ女
132/176

#132:江戸前かっ(あるいは、お先に/迷宮/ラビィリンプビズキッス)

<『DEPデプター=バーニンガー=オルビタ』……かつて群雄割拠のダメ界の勢力図を一気に塗りかえていった伝説の闘技的儀式……>


 うって変わってのハスキーいい低音で、電飾実況ダイバルはんがそないおっしゃいますけれど。


 盛り過ぎィ、と喉仏を震わせかかっていた音波震動を何とか押し留めると、周りの盛り上がりとは無関係に、私は深呼吸を繰り返していく。平常心。それが何より今、求められると全私が囁きかけてきてる、耳元で。いや近いから。


 そんな逃避気味で素立ち、といった私の身体のそこかしこには、既に身に着けている鮮やかな黄緑色(私は)のプロテクターをハーネス代わりに、次々と真っ黄色の被覆されたワイヤーが黒服ふたりの手によって、通され固定されていってる。


 背中にまず五か所くらい通されたのが知覚されたけど、それだけじゃあなく、ヘッドギアの左右こめかみ辺りと、顎の両脇、そして後頭部。両肩の前後、肘、手首、腰の前後左右、膝、足首、爪先と。これでもかのスパゲティレベルの固定具合に、不穏感はいまやはっきりとフオンフオンと耳鳴りのように響いてきていることを自覚している。


 絶対吊られる……っ!! 確度高そうな私の見通しは、周囲に展開されたワイヤーが上方へと一斉に引っ張り上げられると共に、それが真です、と告げられてきたかのようで。後方に設置されていたウィンチが割と滑らかな挙動でウインウインと巻き上げにかかっているようだけど、これから始まるだろうてんやわんやは絶対にWin-winではないよね……


 毎度毎度の滅裂思考の私の身体は、まず背中に牽引感を受けて、摘まみ上げられたネコのような体勢で昇天していく。そして2mくらいの、あれ? こんな低いの? くらいの高さで上昇は止まると、今度は四肢が引っ張られていき、舞台床とほぼ平行な状態となって動きは止まった。こんな状態で振り子運動する絶叫系のアトラクションをやったことあるけど、そんな感じだ。ただし高揚感は皆無であるということに目をつぶればだけど。


 他3名も同じように吊り下げられたのが顔を上げると目に入ってきた。4人で「十字」を描くかのような配置で、各々の顔を突き合わせた陣形だ。1mくらいの直径の円の中に、何とも言えない無表情と半笑いの中間のような表情の4人の顔が集結しているけど、何これ。


 でも緻密に制御でもされているのだろうか、吊られているというよりは、浮かんでいるといった感覚だ。試しに右手を軽く顔の前に持って来てみると、その挙動を先回りするかのようにワイヤーが絶妙な感じで送り戻しされてるのか、自然に宙に浮いたまま動けている感覚……ちょっと未体験で開放感が結構ある。面白くなってくいくいと身体のあちこちを動かして楽しんでいると、


<身一つで、電脳空間をカッ飛ぶ正に未来のドッグレース……そしてチキンレース……『DEP』により得られたポイントを『推進力』や『武器』に変えて、遥かゴールを目指して駆け抜けるのだ……っ!!>


 実況ダイバルのいまいち掴めない物言いの説明は続いていくけど、古いな! 未来像が。そんな生温かい表情のままの私を置いて、進行は続いていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ