#123:殲滅かっ(あるいは、トリポォォォウ、貴女はトリポォォォ)
「「「たっ、たっからぷとぽっぽりあんなよがったざがじィィィィィィィィィィィィッッ!!!」」」
諸々ありましたけれど、決勝第三戦、「DEP戯雀=王」は、わたくしの「清一八連気通貫」ツモアガリによる、「64000オール」の三人トバしにて、幕をあっけなく閉じたのですわよ。
<棄権をっっ!! 『64000』なんて聞いたこともないですからっ!!>
錯乱気味の実況ハツマの、割と初聞き感のある切羽詰まり声が場に響き渡るものの、
「「「……」」」
既に表情も感情も抜け落ちたかのような御三方は、真顔のまま椅子にもたれかかるような姿勢のまま、ただただ目の前で起こったことを理解できないような体で、固まるだけでしたの。
沈黙も一瞬のことで、次の瞬間、相当きつめの折檻電流が御三方の脊椎を貫かんばかりに流された模様で、冒頭のちょっと形容しにくい叫び声を同時に発して果てましたのよ。
<け、決着!! ですが……流石に『三人同時トバし』という事態を想定していなかったもので……いかがいたしましょう……>
卓上の「像」ハツマの困惑げな声が、しんとしてしまった球場内にしんしんと染みわたっていきますのですけれど。
もうわたくしの優勝ということでいいのではございませんこと?
余裕の笑みでもって周りを睥睨するわたくしでしたけれど、流石は百戦錬磨と思われる元老の御三方。電流には割と耐性を持ってらっしゃったかのようで、次々と復活してこられますの。
そして、
「こ、こいつはイカサマだ……!! サマ行為は禁じているんだろ……っ!? こんなのは無効……無効だっ……!!」
渾身の力を振り絞っているような感じで、下家の志木さんがわなわなと全身を震えさせながらも、わたくしの方を指さし、のたまってきますのですけれど。
「イカサマは……イカサマと察知されなければ、イカサマではないのですよ?」
殊更にのほほんと、わたくしは言ってのけるのですわ。
「詭弁だろおおおおがぁぁぁぁぁっ!! 私は認めないっ、こんなのを認めるわけにはぁぁぁぁぁっ!!」
ソバージュがチリパーくらいになった髪の毛を逆立てるかのようにして、志木さんは、立ち上がると、わたくしに掴みかかってきましたのよ。ぐいと、首元の黒スーツを引っ掴み伸ばされますの。眼前には血走った目。しかして、ですの。
「……これは正当防衛ということで。ご理解いただけたらと思いますのよ?」
しかして瞬間、わたくしの座ったままで放った閃光の右ローが、志木さんの左膝辺りに撃ち込まれていますの。何か、ものすごくデジャビュ感を感じますわ。
……感じている場合ではないのかもですけれど。