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(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景
122/176

#122:轟雷かっ(あるいは、空疎/色素/敷き食う久世)

<みっ……水窪ミズクボ選手……? ツモアガリ、ということでしょうか……>


 スポットライトの許、卓のぐるりを囲むわたくし以外の3人の面子も、そしてその周りを取り囲んでいる何万もの観衆も。


「……」


 皆、一様に口を閉ざしてしまいましたのよ。途端に開けた空間に、空調らしきゴンゴンというような音が響き聞こえてきますの。あらあら、ここは大歓声に包まれるところと思っていましたのに。


 にこりと音がしそうなほどの曇りないわたくしの笑顔とは真逆に、御三方の表情は怒りなのか驚愕なのか動揺なのか、三者三様に歪みまくってあそばされてますけれども。


「は、ハッタリだ、ブラフだぜこんなのはぁぁぁl!! そんな手牌でアガれるわけがねえっ!!」


 わたくしの下家、志木シギさんとかおっしゃいましたわね……が、今まで見せていた、どこか弛緩していたかのような余裕ヅラをかなぐり捨てて、そんな剣幕でわめき始めますけど。


 ハッタリでもブラフでもございませんのよ。


「……ハツマちゃんっ!! チョンボの場合の罰符は!? 『8000』、いやこいつは親だから『12000』の『4000オール払い』だろっ?」


 余裕のあざとー感を前面に出していた塗魚トザカナさんまでもが、そんな必死の形相。どれだけ想定の範囲外だったのでしょう、このアガリは。


「落ち着け。……DEPでしくじれば、水窪ミズクボはエビぞる電流を喰らってそこまでだ。点数云々の話じゃあない」


 対面のシマ大佐さんだけは、先ほどまでの落ち着きを保ってらっしゃいますけど。でもしくじるなんてこと。


 ……あり得ませんのよ。


 わたくしは晒した手牌を丁寧に「数字順」に並べますの。殊更ゆっくりと、余裕を持って。


1【自分】2【キャバリア】3【磁石】4【コッカースパニエル】5【ウェスティ】6【ダックス】7【カニ】8【グランアングロ】


 犬5匹に、残りは脈絡皆目なさそうな3つ。ですけれども、そんなことは先ほどから申し上げている通り、関係ないのですわよ? わたくしは笑みを深めながら、DEPの着手に進みますの。


「……『カニ鍋をしていたら、磁石に引き寄せられる砂鉄のように、飼っていたキャバリア、コッカースパニエル、ウェスティ、ミニチュアダックス、グランアングロが殺到しまして、自分が食べる分が無くなってしまったっていう、そんなお話』」


 この滅裂さ、ですけど。


「ば、バカかてめえは!? そんなDEP、通るわけねえっ!! そもそも犬がカニを食べるかっつぅんだ!!」


 志木さん、御説ごもっともですけれど、残念ながら通りますのよ。


 なぜならわたくしは未来の若草なのですもの。未来の事が嘘か本当かなんて。


 ……誰にも判別できないのですわ。当の当事者である、わたくしにも。


 先刻までとはうって変わった怒号が渦巻く場になりましたけれど、そんな中でも、ぴぽん、というDEP成立を示すチャイムは確かに鳴り響きましたの。


 それではさよならですわ、みなさん。


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