#110:交雑かっ(あるいは、サイト炉/エンデ場/メンタロア)
<3枚の面子から、『役』と認定され、アガることが可能となります。例えば水窪選手の手牌から、【赤】【恥】【涙】を場にオープンしてください。あ! その際『ツモ』! と発声することをお忘れなく!!>
卓上であっちこっちに動き回っているちっちゃいハツマ(の像)の実況はずんずん進んでいくけど。私をご指名のようで、いまいち把握は出来ていないままだったけど、それに従わざるを得ない。
手牌から3枚を抜き出し、「ツモ」と表情のこもらない小声で言うと、そのまま場に倒す。
<はい! そうです。実際には牌を倒してから『DEP』を一分以内に放っていただきます。その真偽が判定され、成立した場合、チャイムが鳴り響いて『アガリ』と相成るわけですっ>
ハツマはどこか嬉しそうな声色と顔つきで、雀卓の上を行ったり来たりしている。こういうわけわかんないゲーム性、好きよね。
<今回の手役は『ツモ』のみで、『1000点』になります。いま親は島選手ですので、親から『500点』、それ以外の子から『300点』ずつもらえるということです。このやり取りを繰り返し、点棒を全て失った人が出た時点で終局と、させていただきます!!>
そこは麻雀のルールと同じなんだ。改めて各人の持ち金……持ち点を確認してみる。
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東:シマ :赤:20200
南:トザカナ :黒:16000
西:ミズクボ :緑:10100
北:シギ :紫: 4000
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シギがへこんでいて、通常の麻雀なら満ツモ、跳ツモレベルでトぶ危険水域ではあるけど、それはあくまで「通常」であるわけで。他にどんな「役」が絡んでくるかが気になる。と、そんな私の思考を読んだかのように、ハツマの解説が為されるわけだけど、「役」のことじゃあ無かった。
<役とは別に、4枚使用でアガると『2000』、5枚で『4000』……と倍々で素点が増えていき、最大9枚では何と『64000』となります!! えらいことですね!>
「ね!」じゃないよ。即死待ったなしじゃないの。でも「お題9個使い」っていうのがミラクル過ぎるから、まずあり得ないと思ってていいのかも。
<牌に書かれた『1~9』までの『数字』、および背景の『赤青緑白黒』の『色』……それらの組み合わせが『役』となるのは、通常と同じです>
なるほど? よく見ると【ヅラ】と書かれた牌の左上には、小さな字で「2」と彫られているのが見て取れた。オモテ面は薄い赤色をしている。
<例えば3枚の場合! 『123』を集めれば『三順子』という役がついて2倍となり! 同じく『111』など同じ数字を集めれば『三刻子』でこれも2倍! 同じ色3枚ならば、『三同色』で2倍! というようにどんどん点が倍増していきます!! ここ重要ですよ!>
いろいろ出てきた。まあ絵合わせゲームみたいなもんてとこは同じなわけなんだけど、最低でも「1000万」がとこのカネが動くというところが尋常じゃあないわけね。
まあどうしろっていう感じなので私は流す。流すの態勢である! と、もう癖になってんじゃないかくらいの今日何発目かの「深奥顔」をキメて、意味なく卓を囲む三面子と、卓上で舞い踊るように説明を続けていたハツマをびびらせることに終始し始めている。はよ始めんかい。