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(Nooooo!!)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2  作者: gaction9969
最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景
101/176

#101:再編かっ(あるいは、べらぼうなほど、マジェスティック)


 場は煮詰まり始めてきていた。ふい、と目に入ってきた電光掲示板の表示は、対局者が既に5名にまで絞られていることを告げている。


 え、そんなに急展開があったってわけ。よくよく見たら、足場のいくつかも既に「落下」してたわけでええーと、いま私がいる所って確か「六」……五芒星の外側から落ちていくことになるんだから、次「落下」すんのここだわ。


「……」


 慌てて安全地帯である右横の「一」の領域テリトリーに、にじり寄っていく。


 一:シマ   :赤:21000

 八:センコ  :橙: 7300

 四:トザカナ :黒:16300

 六:シギ   :紫: 4300

 七:ミズクボ :緑: 1300

                  >


 「正統元老」が、島大佐といま正に対峙しているセンコの二人。「造反元老」が塗魚トザカナと元年ソバ女:シギのこちらも二人と。もったいぶって登場してきた割には、結局残るのはこの面子かよ。いや、そんな詮無いつっこみをかましている場合じゃない。


 残り1300万の私は、軽く追い込まれている状態だ。「トリプル」使ったら動けるのはあと「30秒」ってことになる。先ほどからじっと立ち合い姿勢のまま、私の眼前で構えているセンコとの決着は、それでつけるしかないわけなのだけれど。


 その30秒でセンコを沈めることが出来なければ、私の負けだ。何も得られず、さらに300万の供託金を失って、この場を去るしかない。でも。


 勝つか負けるか、その二択しかないようにも思われるんだけど、その後は……その後のことは分からないけど、何となく、私は私のこれからの人生に真っ当に対峙しようか、なんて柄にも無いことを思い浮かべている。


 自分の全てに折り合いがついた、そんな感じ。またも臨戦状態の相手から目線を切ってしまう私だけど、コンクリートに覆われた天蓋を、スポットライトの眩しさに耐えながら見上げる。


 ―存分に。若草。無理やり「わたくし」のメンタルになってよく分かったでしょう?


 見上げた先には、やはり黄金色に輝く、姐やんのビジョンが。


 過去の私が、夢見て憧れた「私」。今の私が、到底たどり着けないと思った「私」。でも。


 ―わたくしはエセ。そしてあなたは真の若草ですのよ。言いたいことはそれだけですわぁ。


 どこか、優しく笑っているかのような物言いに、借り物のようだったこの身体に、空気のような息吹のような何かが満ちていくのを感じている。


 人の心とか人格とかは、所詮、電気信号か、化学物質の反応の産物なのかも知れない。でもそれが私というものなら。私が感知する私なのだとしたら。


 私が思うままにぶん回してやろうじゃあないの。分子の塊に過ぎない、この身体を。


 体全体で、外界を感知して、内面全体で思考している、そんな感覚。


 捕らわれないし、囚われない。


 私はそうするのが当然のように、ただただ体勢を低く持っていく。



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