〜君と同じ枕に〜
枕営業ものを書きたくなりました。
イケメンは皆に手を振らないといけないから大変そうです。そんな人に愛されてしまう人は、どれだけ大変なんでしょう。
どれだけ愛していても、この人といたら幸せになれないだろうなって思う相手。あなたは一体どうしますか。
ずっと、皆とは違う方向を向いていた。もう届かない想いが、今日も胸の裏にこもったままでいる。もう、この想いも届かなくていいんだ。そのまま、消えていけばいい。
小学4年生の、私が10歳になる日の、ほんの1週間前。私のたった1人の家族である父が私の元から去っていった。
私の母は、もともと体が弱くて、私が生まれた直後、出産で力尽きてこの世を去った。その頃から、父の様子がだんだん変わっていった。酒にまみれて、仕事も辞め、みすぼらしい生活を送るようになった。そうなる前の父を、私は知らない。
全部、母の兄である、裕貴伯父さんから教えられたことである。
父の死後、飲んだくれの父を哀れみ、残された私を哀れんだ伯父さんと、その家族の元で私は生活することになった。
「伯父さん!どうしてですか……!」
「お前の力が必要だ。たった5年間だぞ。5年、私に力を貸してくれるなら、そのあとの資金も援助してやると言っているんだ。悪い話じゃないだろう」
伯父さんのオフィスは、他の音は何もなく、私と裕貴さんの口論だけが縁をなぞったそうにくっきりと顕になっている。
「でも、大学が……」
「中退しろ。どうせこの業界じゃ、学歴なんて関係ない」
両親を亡くして、私を引き取ってくれた伯父さんの家族は、私にとても優しくしてくれた。伯父さんも、義兄も、義母も、みんな優しかった。高校、大学まで一流の私立校に通うためのお金を出してくれ、本当の娘のように可愛がってくれた。
しかし、時々、私はやっぱり引き取られた子なんだな、と思うことがあった。
「まだメイクの勉強だって途中だし……」
「この件で十分すぎる経験を積めるだろうさ」
伯父さんは、もともとかなり大きな会社の幹部であり、かなり裕福に生活していたが、ある時何を思ってか、その会社を辞め、新たな会社を建てた。
当初は芸能事務所を作るつもりだったらしいが、現在ではそこそこ定評のあるメイクアップサロンを経営している。サロンで働く人達を見ていると、何となく人を綺麗にしたいと思うようになっていた。
伯父さんは今、私に向かって、大学を中退し伯父さんのサロンでメイクアップアーティストとして働くように言ってきている。
「引き受けてくれるな?」
断る理由と言えるほど重大なものはなかった。むしろ、何と言えない自分の境遇に文句を言いたくなった。
「はい…」
私は、大学をやめてサロンヒロタカのメイクアップアーティストとして働くことになった。