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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

破綻

作者: 寿限夢

小学校の頃に書いたのを見つけました


 また、失敗してしまった。


 またしても、そうまたしてもだ。


 もう何度目の失敗になるのだろう。


 一体、なにがいけなかったのだろうか。


 なぜ、望んだ通りの結果にならないのだろうか。


 わからない。


 何度も何度もシミュレーションし、きちんと考え抜いた。


 わからない。


 わからないことはすべて調べ尽くし、きちんと対策した。


 わからない。


 すべてにおいて、完璧だったはずだ。


 わからない。


 愛していた、それなのに。


 わからない。


 それなのに、なぜ。


 わからない。




 彼女は死んでいるのだろうか?



 こんなにも、赤い血をぶちまけて。


 白い壁紙の、ボクの部屋。


 今は赤く染まってしまった。


 愛していた。愛おしかった。


 それなのになぜ、どうして、あんなにも。



 彼女を殺したかったのか?



 綺麗な虹彩に縁取られた瞳が好きだった。

 その眼をえぐりたかった。


 細い、しなやかな指先が好きだった。

 その指をひとつひとつ、へし折りたくなる。


 君の透き通るような白い肌。


 その肌が。

 その肌を。


 大好きだった。

 赤く染めたかった。


 あぁ。

 あぁ。


 今でも。

 こんなにも。


 愛している。

 殺したい。



 …………。

 ………。

 ……。


 ……さて。

 

 感傷の浸るのはこれくらいにしよう。

 済んでしまったことは仕方がない。

 過ぎたことではなく、これから先の未来について考えなくては。


 彼女の死体を引きずり、風呂場まで運ぶ。

 風呂の中にビニールシートを敷き、その上に、裸にした彼女を置く。

 ノコギリは……あった。これだな。

 ノコギリを使い、死体を細かく切り刻む。

 手や足、頭から胴体など切り分けたら、あらかじめ酸を入れた専用の特大ポリタンクの中に沈める。

 死体がぐじゅぐじゅと音を立てて溶けていく。

 完全に溶けたら、また近くに捨てに行こう。


 さて、死体が溶けるのを待つ間に、部屋の中を片付けよう。

 これが結構忙しい。

 血の付いたモノは、一度洗剤に漬けてからまとめて捨てる。

 洗剤に漬けるのは、DNA配列を崩し、DNA鑑定されるのを防ぐためだ。

 こうすると例え血液反応が出ても、誰の血液か、DNAで特定することは出来なくなる。


 血の付いた壁紙も剥がし、新しいものに変える。

 壁紙の裏にあらかじめ、プラスチック製のシートを貼っておいたので、壁の中に血は染み込んでいない。

 床下も同じ。

 もともとかなり傷んでいたから、見栄えを良くする意味も込めて、壁紙と同じくプラスチック製のシートを敷いてからフローリング用のシートを貼ってあるので、予備のシートを貼れば、それで終了。


 よし、これで終わり。


 あらかた部屋の片付けも終わったので、ひとまずシャワーを浴びよう。

 汗で体がべとべとだ。

 血の付いた服をビニールシートとゴミ袋に入れ、シャワーを浴びる。。

 

 ――ふう、ひと息ついた。

 ……それにしても、本当、なにがいけなかったんだろう?

 いまだにわからない。

 浴槽の中のポリタンクを見る。

 ポリタンクの中で、ドロドロに溶けた彼女の顔を見つめる。

 ……こうなると、さすがに愛情もなにも感じなくなるな。

 やっぱり生きてる人間だけか。

 まぁ、いいや。

 次に期待しよう。

 大丈夫。

 次こそはちゃんと、愛してみせるさ。


ブックマークが十超えたらシリーズ化しよう

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