対世界
夕飯を済ませてログインすると、マスターやサブマスターが出現位置で出迎えてくれた。
「ん?どうしたんだ?」
凄く嫌な予感がする…。
そう思っていると、龍桜が声をかけて来た。
「かなり分が悪い状況になったから、会議室で話がしたいんですが。」
「ってことは…。対Worldで連合組まれたか?」
「そういうことです…。」
「私の朝食は?」
「そっちを気にしますか!」
いや、朝食は大事だろう…。デバフがくる。
朝食をしっかりと食べ、会議室へと再び集合する。
舌の痺れが抜けない…。麻痺料理を食べすぎた…。
全身麻痺じゃないだけましだな。
「それでは、緊急対策会議を始めたいと思います。」
龍桜が口火を切ってくる。
「動きが明確になったのはリアル昨日からですね。
クラウドの城下で下見をしていると思われる行動をしてるものが、多数見受けられたというメールがありました。
城門が解放されてなければ中は見れませんが、その手前までの道は下見できますからね。
私も学業があるので、今までメールを見てませんでしたが…。」
そこで一旦区切り、皆を見渡す。
私は内心では、学業も考えて進めてるんだと感心していた。
特に反論もないため、先を促す。
「ほうほ、ふふへへふへ。」
奇妙な沈黙が場を支配した。
「騎龍さん…。」
余計なことを突っ込まれる前に、筆談に切り替える。
『どうぞ、進めてくれ。』
「麻痺してるんですね…。こんな時にそんな料理食べないでください…。」
『すまん、面目ない。』
「ハァ…。もういいです、なんかバカらしくなりました…。」
ため息を吐かれ、呆れられてしまった。
マリンが魔法で麻痺を解除してくれる。
抵抗や解毒スキルが上がるから放置してたんだが、仕方ないか…。
「そうして余裕があるってことは、なにか策があるんじゃない?」
命が訪ねてくるから、率直に答える。
「策なんてないよ。というか、この行動は私の予想より遅いくらいだしな。」
私の言葉に龍桜も同意する。
「そうですね、早ければ先週には動きがあってもおかしくなかったかと…。」
「先週は、私達の対応を見るための両面作戦だったんではないですか?」
そういうキリングドールに私は答える。
「両面作戦にしては中途半端すぎる。攻めてくる人間の数が少なすぎるからね。
いや、指揮の癖を見るくらいは出来たか…。」
現在、私達はブリテンとクラウドの城を所持している。
両面作戦を本気で成功させたいなら、送ってきた人数が少なすぎる…。
城攻めは3倍の人員が必要なのは、割りと有名だろう。
しかし、守りやすいクラウドの城に限っては、私はそう思わない。
戦線を下げながら、対処していけば5倍の人員は必要だと思うからだ。
最初の200m近い橋を横断することさえ、かなり厳しい。魔法って偉大だなぁ…。
サイドを回って海から上陸したとしても、階段を上って橋の半ばの広間に到着するのは容易ではないと思う。
ブリテンの城も近いレベルで強固だ。
流石に左右の壁が壊せるようになった今は城外の強固さは落ちるかな?
場内に入ったらほぼ一直線で、各階層をすべて抜けないといけない作りになってるからな。
30分に一回しかないとはいえ、謁見の間に復活できたりするしな…。
十分な人材がいたら、4時間はどうにか持ちこたえられるはず…。
「ん?ということは少なくとも…。10組くらいの連合が攻める予定があるとかか?」
連合1組辺り1000として、1万くらいか?
クラウドの城くらいは保持可能かな?
「それならまだ良かったんですけどね…。」
龍桜の一言で最悪な事が一瞬で結び付いた。
「ちょい待て!連合どころか、一つに纏まったのか!?」
無言で頷く龍桜。
今までの経験上、ギルドが解体して一つに纏まるなんて事は、ほぼ聞いた事がない。
ギルドを作った人間や参加してる人間にとって、10人くらいしか居なくても、心休まる場だからだ。
精々、状況に合わせてメンバーが移動することがあるくらいだ。
私にとってはそれが常識なのだが、打ち砕かれてしまう。
「城の保持ができる規模のギルドが数ヵ所取り込んで、1000を越える規模に拡大したところが、結構あります。」
どうやってそんな手を使うことができたのだろう…。
それほどまでにウチが脅威と取られたのかな?
「同一ギルドになるとか、マジ勘弁…。連絡がとりやすくなる分、行動が迅速になるじゃないか…。
というか、そんな情報どこから?」
「さっきログインした時に、冒険者ギルドからですね。」
今朝サブで遊んでたときはまだ人数が少なかったから、リアル昼以後に合併を進めたってことか…。
行動の迅速さに計画性が感じられるな。
「とりあえず、クラウドだけに絞るしかないね。
他の城まで確保するような余裕はないはず…。
とられた場合、すぐに取り返しに行けるように行動しないとね。
最悪は、別の城を取ろう。」
「やはり、それしか有りませんよね…。」
私は孔明さんではなく、ただの親父である。
策なんて早々出てこない。
「ここまで後手に回ってて、相手の行動もわからないんだから仕方ないよ。
ガッツリと防衛ラインを築いて、正面から戦うしかないんじゃないかな?
どうせ、ウチの城は正面から来るしかないんだし。」
「じゃあ俺、やっと帰れるの!?」
命がとても嬉しそうに声をあげる。
3週間もの間、サブギルドとして二つ目の城の保持を頑張ってくれてたからな。
「帰らなくても良いんだよ?」
私がニヤニヤしながら伝えると、命が凄く嫌そうな顔で答えてきた。
「前から思ってたけど、騎龍さんって性格悪いよね?」
「やかましい!」
自覚してるというか、意図的だ!
「では、いつも通り臨機応変ですね。
会議しても大したことは決まりませんでしたが、まぁ良いでしょう。
今後は一つの城の維持で頑張っていきましょう。」
龍桜が締めくくる。
どうせ、正面切って頑張るしかできないしな。
職人達に頼んで、精一杯罠でも張ってやろう。
魔法の変化もまだ情報流出してないようだし、開発もできている情報は公式にも上がってないから、まだまだ簡単に負けるつもりはない。
1000以上規模のギルド10組プラス一般のギルドか…。
何万来るかな…。
あーぁ、小規模ギルドを取り込んで勢力拡大を狙ってたのに、先にやられてしまった…。
まぁ、まだ倍くらいの人員が居るから頑張るしかないか。
ウイルス性腸炎を発病して、数日寝込んでました。
高熱と腹痛と、上と下と大変でした。
皆さんはくれぐれも、体調にはお気をつけください。
たまたま、2連休で仕事場に迷惑かけないでよかった…。




