70のパーティーダンジョン3
降り注ぐ炎や石や矢の雨。
遠くでは爆発音が鳴り響き、雑魚が乱れ飛ぶ。
どこの世紀末?
まともに考えるもんじゃないな。
我にかえって周囲を冷静に見渡してそう思った。
戦闘開始から約3時間が経過した。
雑魚もかなり殲滅でき、相手も大分縮小されてきた。
「戦斧さんに貰ったものが尽きたので帰ってきたっすよー。」
煤や土埃で汚れたウッドが帰ってきた。
「無事か、怪我はないか?」
「かなり汚れましたが、無傷っす!」
チッ、残念…。
「そうか、無事で何よりだ。もう暫くかかるから頑張ろう。」
なぜ無傷が残念だったか…。それは、マリーの回復方法にある。
なんと、抱き締めてじゃないと回復できないのだ!
とはいえ、きちんと全快できるのだがら文句も言えない…。
盾だからどうしても傷は受ける…。倒れるわけにいかないから、回復してもらうしかなかった…。
うっ、思い出すだけで寒気が…。
そんなこんなで狩りを続けて、ようやく終息へと向かおうというとき、魔物たちの奥の方にボスの姿が見え始めた。
長かったな…。雑魚ばかりとはいえ、10万倒すのはかなり疲れる。
「さて、もうちょいだから頑張りましょう!」
攻略情報通りなら、これから苦行が待っている…。
そっちの意味でも頑張らねば…。
「あ、あの鎧は!」
マリーが奥の方から来るボスの姿を見つけたようだ。
「どうした、何かあったか?」
答えはわかってるが、ストーリーに乗っかって進むしかない。
目の前から来るのは、手に兜を抱えた首無しの騎士。わりと有名なデュラハンである。
「あの鎧は、前騎士団長の鎧!以前、森の奥深くから強力な魔物の復活の予言が出たときに討伐に向かって帰らなかったあの人の鎧だわ!」
「なんだと!ということはあのデュラハンは騎士団長か!」
別に驚いてはいないが、一応な…。
「あたくしは…。戦えない!」
はい、ベタな展開ありがとうございます!
戦えないって言っても、あんた後ろにいるだけだからね!
姿がこんなのでなかったら、多少の感動がありそうなもんだが、全く欠片も浮かばない。
「何を言ってるんだ、団長があのまま魔物として国民に害をなすままで良いと思ってるのか!」
「それは…。そうだけど…。」
「団長の偉大な痕跡を、大切な思い出を汚されてもいいのか!」
「でも無理なの!愛しいあの方に、あたくしは刃を向けることはできない!」
ほんと、この運営は何を考えているのだろうか…。
頭の中を覗いてみたいものだ。
「そうか、なら私が引導を渡してくる。
苦楽を共にした仲間がしてやるべきだと思ったが、マリーができないと言うなら、私が彼の功績を守る!」
うん、絵にならない…。誰か助けて!
「彼の守ろうとした王国も国民も、このまま彼に蹂躙されて汚されるくらいなら、私が引導を渡す!」
「待って!…あたくしに…あたくしが…。あたくしがやらなければならない!」
「そう言うのを待っていた、マリーならきっとできる。」
こんな茶番をしないといけないとは…。
「団長…。あたくし…。貴方との愛の思い出を胸に、過去を乗り越えて前に進むわ!
貴方の死と共に封印したこの剣を携え、貴方を越えて貴方を守って生きていきます!」
よし、やっと終わった…。
あとはマリーが倒すサポートをしてやればいい。
なんだこの苦行…。
きっと運営は普通と違うことをしようとして、こういう事をしたのかもしれない。
このご時世、生半可なことではプレイヤーは満足しないからな。
とはいえ、変なことをすれば良いと言うものではない。
ちゃんと、ある程度は守るべきものがあるはずだ…。
次回はまともなNPCがいいな…。
ともあれ、無事に討伐も終わり帰ることとなる。
「今回は討伐ご苦労様、王国から報酬を預かっているわ。
そこに、私が過去を乗り越えることができた感謝の気持ちもプラスしておくからね。
本当にありがとう!」
まともなNPCから受け取ったなら感動的な場面だが…。
マリーの容姿がすべてを台無しにしている。
「いや、私達はやるべき事をやっただけさ。
乗り越えたのはマリー自身だよ。私は少し手助けをしただけさ。」
「いやん、惚れちゃいそう!」
ほんと、勘弁してください!
急ぎクリア報酬を受け取り、逃げ帰るように転移陣へと乗り込む。
もう二度と会うことはないだろうが、一生忘れられない出来事だった…。
「精神的に疲れた…。もう二度としたくない…。」
「でも、クリア報酬は破格っすよ?」
「あそこにいくなら、少し無理して80行くわ!」
「今回は運がなかったっすが、美女や美男に会えるかもしれないっすよ?」
「50回やって、まともなのが1回しかないようなのは嫌だ!」
そこでスレインも話に入ってくる。
「ナナミの創作意欲のために!」
「BLのイケメンが出る可能性すら、かなり低いじゃないか!」
「ぜひ、天音さんとの絡みを!」
「そこで僕に飛び火!?」
理解はあるが、実行する気はない。
仲間の意外な一面が見れたことは、良いことなのか悪いことなのか…。
相変わらず私の周囲は面白いのが多くて困る。
本日も誠にありがとうございます!
長男(5歳)が進化を遂げて、戦国無双が出来るようになりました。
お気に入りは前田慶次。
無双乱舞のたびに「天下御免だ!」と叫んでいます。
ゲーマー育成は着々と進んでおります。




