糸口を見つけよう。
リアルの数値とゲームの数値は別物です。
混同なさらないでください。
装備も揃ったことだし、まずは朝食をとる。
さっき食べたのに、ここでも食べるのは不思議な気分だが仕方がない。
食べないでいると、結構深刻なデバフが付いてくる。
まずは空腹が大体6時間に一回くる。
食べないでいると、ステータスがだんだんと下がってくる。
力が入らないとか、思考の低下を招くのだ。
普通のプレイヤーなら、この辺で食事をするから問題ないだろう。
すべてに支障が出るからな。
そこから12時間以上空けると混乱のデバフが入る。
歩くことすらままならなくなってくる。
さらに24時間たつと死亡する。
以後、1時間に一回死亡する。
経験値のロストは5%。ランダムでアイテム2種落とす仕様は通常の死亡も一緒である。
死んだら、街の10箇所のどこかにランダムで出現となる。
睡眠も同じである。
これは、18時間以上起きていると発生する。
あとは空腹と一緒だ。
睡眠を6時間とるか、1時間半以上のログアウトで回復する。
「父さん、第一マップのボス情報が出てるよ。」
アスタールの言葉に、私も確認をする。
うっかりなのだろうが、騎龍と呼べ。
第一マップボス
グレートドック
推定Lv:15
爪と牙による近接攻撃が主体。
高速で移動する。
最初にブルードックを1~5体引き連れている。
残りHPが2割を切ると怒り状態となる。
以後、咆哮を放つようになる。
咆哮には、聴く者に朦朧の効果が数mの範囲で発生する。
咆哮は魔法攻撃扱いである。
最初のマップがLv1~10の敵が出てくる。
ボスのLv的に考えて、やはりパーティーがいいのだろう。
予想通り、魔法を使ってくるようだ。
MNDをまともな値の10まで上げてから向かうべきだろうか。
いや、Lv10の平均は約13…。あとLvを6上げるべきか?
悩んでる私の横で、天音が面白いことを言った。
「つまり、[ここでこうしたら]問題ないんじゃない?」
なんという発想だ。
だが、問題がある
「そんなことをすると、[こんなこと]ができなくなるぞ?」
「綿密な打ち合わせをするしかないね。」
「騎龍以外は多分大丈夫だよ。距離を開ければ、咆哮なんて大きい音なんだし。」
そう考えると、色々思い付いてくる。
それを実現するためには、色々と準備しないといけない。
さっそく、戦斧の店に戻る。
勝てるかもしれない目処がついた!
「戦斧、いるか~!」
「なんでぇ、さっきの今じゃねえか。今から飯食うとこだったぜ。」
「それはすまんかった。食後で構わないんだが、[こんなの]や[こんなの]作れないか?あ、あと[こんなの]も欲しいな。」
「問題はないが、そんなもんどう使うんだ?」
戦斧の疑問にニヤリと笑って、私は答える。
「ボスの攻略の目処がついた!」
「ほう、今のところ3組のパーティーがクリアしたらしい情報があるんだが。案外早かったな。そんなにレベル高かったか?」
「多分、俺しかできないけどな。低くても出来る抜け道を見つけた!」
「まぁ、飯食ったら準備してやるよ。そんな、時間もかからないものだしな。」
「わかった。1時間後くらいでいいか?」
「おうよ、どうせそんな物ゴロゴロしてる。」
道具の準備の目処がついた。
一時間の間に皆と十分打ち合わせをしないといけない。
連携が大事だ。
なんせ、始まったらコミュニケーションが全く取れなくなるからな。
ハンドサインを決めるのも有りかもしれない。
先々こういう場面もあるかもしれない。
物音をたてずに敵に近づいてハンドサインで合図…。
格好いいな。
DEXがゼロだから、隠密出来るのかはなはだ疑問だが。
濃密な1時間を過ごし、道具を取りに行く。
受け取った道具に色々と手を加えてボックスに放り込む。
決まれば、確実に勝てる!
はず…。
これから、どんどんクリアしていく人がいるだろうからうかうかしてられない。
情報が流れてないだけで、クリアしてる人もきっといるはずだ。
そいつらを先回りするには、この手段を決めて次のマップにいかないといけない。
そこでLvを上げられれば私の隙も無くなっていくはずだ!
知略で攻略してやる!
INTがリアルと関係なくて良かった!
準備が完了したので、急いでボスエリアへのポイントへ向かう。
トレインしないよう、アクティブの敵を私が止めながら、アスタールと天音が仕留めていく。
ダメージ1だから、全く脅威がない。
VITはしばらくこのままで大丈夫だろう。
ポイントに向かうと、数組のパーティーが入る前だった。
大体は最大人数の8人でパーティーを組んでるようだ。
地面に座り込み、回復アイテムや装備の点検でもしているのだろう。
私たちは消費がほとんどないので、すぐに準備する。
「では、死に戻り前提でボスがどんなものか見に行こう。うまくいけば、全く問題がないはずだしな。では、これから、コミュニケーションが取れなくなる。宜しく頼むぞ。」
皆が返事をするのを聞いて、私はボックスから耳栓やイヤーマフ、ヘルメットを取り出す。予想した人も多いだろう。
装着したら、全く聞こえない。
周囲の視線が私に集まる。
(そんな物で防げるのか?)
と言うのが、目線から伺える。
保険としての、三重だ!
無理なら無理なとき!
「じゃあ、行くぞ!」
返事は聞こえないが頷くのを確認して、ポイントに突入するのだった。
そんな装備で大丈夫か?
大丈夫だ。問題ない。
多分…。
この小説を何人が読んでいるのか疑問である。