家族会議
何回も確認して、大丈夫だと判断したら投稿しています。
ですが、どこかしら不具合が出てきます。
皆さんの協力でこの小説は成り立ってます。
ログアウトして戻ると、私が一番早かったらしい。
周囲では嫁や子供がヘルメットのようなものを被って、ログインしている。
ステータスがメチャクチャだから、覚えるスキルが少なかったせいかもしれない。
「すまん、致命的な間違いを父さんはしたかもしれない。」
聞こえないだろうが、家族に謝罪して昼食の準備に取りかかる。
ログイン前に全て準備していたので、レンジでチンしながら準備を進める。
今後マトモなパーティープレイが出来るのか心配でしかたがない。
魔法を使う敵が出た時点で、一瞬で私は戦力外である。
「ステータスが7項目あって、オール10で揃えるのが普通…。目指す職業によって多少の変動はあるが、そこは変わりない。
ストレートでVITを上げたとして1レベル毎にステータスポイントが2あるから…。VITだけならレベル31と同等か…。
今のところ、協力のお陰でSTRは10までこれた…。
やっとレベル6か…。
先は長いな…。」
VIT以外を全て10に上げるのに、60ポイント必要。
つまり、今はレベル6だからあと25レベル上げないといけない。
すさまじく先が長い。
どこかで、抜け道を探さなくてはいけない。
「ハードモードどころか、ベリーハードかナイトメアじゃないか…。」
きっと、どこかに抜け道があるはずである。
専用クエストや予想外の複合装備による抜け道がきっと…。
そう考えなければ、私だけでなく家族まで前線プレイヤーから遠ざかってしまう…。
しかし、私のLucはゼロである。
幸運は当てにできない。
堅実に考えなければいけない…。
一人で考えながら昼食の準備をしていると、一人ずつ合流してくる。
12時を迎える頃、全員揃ったので皆で昼食の時間となる。
食事をしながら、考察等を話する。
この会話で、少しでも打開策が見つかればいいのだが…。
「マジで親父のステ振り笑えたわ。」
次男が言ってくる。
私だって、やりたくてやった訳じゃない。
「でも、VITが高すぎてダメージ通らないからね。あたしは楽だったよ。」
妻の一言が優しすぎて涙が出てくる。
その代わり、解体作業は妻が一手に引き受けてるんだがな。
血みどろのヒロイン(39歳)需要はあるのだろうか?
「父さんの頑張りはわかるんだけど、全身で敵を止めるのは無いね。少し間違えば、一緒に切ってるとこだよ。」
長男の言うことはもっともである。
止めるために、敵の首に手を回して体を張っていたのだから。
狙えたのは、剥き出しの頭くらいだっただろう。
私は意を決して、家族に相談することにした。
「ヘイトを覚えるための講義が多数の疑問がある内容だった。ゲームの進行にかなりの障害となると思われる内容だった。みんな、すまない…。」
先ほどあった出来事を家族に話する。
「それって、どう考えても親父のステータスに合わせてじゃないか?」
次男は私を親父と呼ぶ。
些細な変化だが、分かりやすい。
ちなみに、一人称は僕である。
「たしかに、俺が受けた座学も普通だったと思うよ?」
長男は一人称が俺である。
そこで判断してもらいたい。
「あたしはよくわからないけど、違和感はなかったかな。」
嫁は一人称があたしである。
気がついてる人は、この辺で判断できるだろう。
メタ発言自重。
「とりあえず、レアな件の報告みたいになってるが…。通常に戻すのに私のレベルを後25くらい上げないと厳しいということがわかった。」
私の発言に一瞬顔色を暗くする3人。
しかし、空元気なのか次男が明るい声を上げる。
「別にいいじゃん。将来的には前線を目指しているだけで、今すぐ最強になりたいって訳じゃないし。」
「そうそう、父さんの夢を叶えるためにやってるのが目的だしね。」
長男も特に気にした様子はない。
本当に、優しい家族である。
「あたしは、楽しく出来るならそれでいいよ。いままでもそうだったしね。」
嫁はゲームがそんなに得意ではないからな。考察は苦手な部類にはいるのだろう。
昼御飯がしょっぱく感じる瞬間だった…。
「すまんな…。一番慣れてるつもりが足を引っ張ってるだなんて…。」
たかがゲーム。されどゲーム。
今頃最強を目指してるプレイヤーは凌ぎを削ってるのだろう…。
試してみたかった自由度の考察すらうまく進んでない。
わかったのは、抱き締めて敵を止めることが可能なくらいだ。
歯がゆくてしかたがない。
ちなみに、ブルードックはモフモフだった。
しょっぱい昼食を取りながら、先々の話を家族と進める。
見知らぬ他人なら見捨てられても仕方がないような内容である。
家族の暖かさを感じた瞬間だった。
「それはそれとして状況次第では、第一マップくらい楽にクリア出来る気が俺はするんだよね。父さんの固さは、多分トップだと思うからね?」
長男が面白いことを考えたように、ニヤニヤしながら私に告げた。
「早い話が、物理だけなら問題ないって話なんだから!」
私もそれは考えなくもないが、曲がりなりにもボスである。
無理なんじゃないだろうか?
「デスゲームじゃないんだぜ?気楽にいこうよ。」
「そうだね、うまく噛み合えば親父の防御で余裕だろうしね。」
「あたしは、ついていくだけだよ。守ってよね。」
相変わらず、優しい家族である。
目から汗が止まらない。
腹を決めて、一回くらい死に戻りをする決意をする。
「そうだな、ゲームなんて楽しんでなんぼだ。私達の楽しみ方で精一杯楽しもう。」
こんな風に明るく育ってくれた息子達の成長を、この時ほど嬉しく思うときはなかった。
本日もありがとうございます。
いま、楽しくてしかたがないです。