城主の仕事
「騎龍さんお疲れさまでした。」
龍桜が話しかけてきた。
「お疲れさま、まさか城主になるとは思わなかったよ…。」
「ほんとですね。私もとっくに取られてるとばかり思ってました。」
予想外なことが起きすぎて困るなほんと…。
「まあ、そんなわけで暫くそっちに戻れないけど頑張って。」
「どうせハウスの出入り自由なんですから、困ったときは手を貸してくださいよ。」
「あいあい。」
そんな感じで色々な人と語りあう。
肩をバァンと叩いて後ろからグッドマンが声をかけてきた。
金髪角刈りのボディビルダーのような、がたいのいい男だ。
「グッド!」
満面の笑みでサムズアップしてくる。
「なんだ?やったなって言いたいのか?」
頷くグッドマン。相変わらずコミュニケーション取りにくい奴だな。
「グッド!」
両手で握り拳を作って顔の前に出してくる。
「次も頑張ろうって感じか?」
「グーーーーーッド!!」
理解されて嬉しいのか、肩をバンバン叩かないでほしい。
私もいい年なんだ。労れ。
ご機嫌で離れていくグッドマン…。
どういう縛りプレイだよ…。ネタにもほどがある。
こっちの苦労も考えてほしい。
さて、大体の人と話したし満腹になったから城の方でも行ってくるかな…。
「天音、城の運営確認に行きたいからお願いしていいか?」
「別にいいけど、宴はもういいの?」
「満腹になったからな、飲まないからもういい。」
「今日くらいゆっくりしたらいいのに。迎えは明日の朝でいい?」
「それでいいよ。お前はゆっくりしてな。」
適度に広い場所に移動し、転移門を潜り抜ける。
ライクスの城下町はかなり賑わっている。
1万人くらいの戦争が行われた後だからだろうな。
「あー!あのとき俺を倒したやつ!」
振り返ると露店で仲間と食事をしているアホがいた。
「あぁ、あのとき刻印に夢中だったやつか。」
「お前のせいで城がとれなかったんだぞ!」
「あほか、お前らが取らなかったから私が城主になってしまったんじゃないか!」
無駄な労働させるなよ…。
「あの後、人が多くて城までいけないし。近くまで行っても数千人が入りきれないからそいつらに倒されるし…。あの瞬間しか取れる時間無かったんだぞ!」
「そうか、人が来ない東の城も北東の城もレベル上げの時間を削って私が移動したんだ。お前よりレベルは確実に低いぞ?
取るための努力を怠ったのが悪いな。」
「へ?レベル幾つなんだ?」
「32。」
呆然としてるモブA。
「なに?10Lvくらい低いのに負けたのがショックなのか?
努力が足りないな。その努力を怠ったやつにかける言葉はない。」
ほっといて城に向かう。一々相手してられるか…。
暫く進むと、後方が騒がしくなったが無視する。
タイマン張れとか聞こえない。
逆に迷惑料請求したいくらいだ。
城門を守る兵士に話しかけると、城主なせいか恭しく応対してきた。
「お帰りなさいませ騎龍さま。
現在のところ問題ありません!」
「御苦労様。」
一般プレーヤーに戻ったら、普通の対応に戻るんだろうな…。
破壊された門とかも修復されている。さすがゲーム。
玉座の間へと入ると、文官・武官・宮廷魔術師の三人が並んでいた。
まずは、文官と話をする。税収が幾らか確認しないとな。
「王よお帰りなさいませ。こちらが今期の税収となっております。
こちらを使用して、住民のためにより良い王になってください。」
書面が手渡される。
麦とか産出物の交易で現金にしたりする手間はないようで安心する。
結構な金額が記載されてるが、比較出来ないからよく解らない。
後で他の城主と話し合いでもするか。
「続きましてこちらが住民の要望の一覧となっております。
施工した場合の試算も一緒になっておりますので、御一考願います。」
街道整備に区画整備、水源の確保や農地の開拓等様々な要望が書かれている。
これ、全部施工したら赤字だろ…。
そこが城主の腕の見せどころなのだろう。
「明後日には確定するから、少し待ってくれ。」
「かしこまりました、お早い英断を願います。」
続いて武官に話しかける。
「これが現在の軍部の諸費用である。これは絶対に必要なので頼むのである。」
更に税収が引かれた。なんじゃこりゃ…。
「軍部の役割ってなんだ?」
武官に訪ねる。
「他国の侵略から防衛したりするための費用となっておるのである。
要請によって、街の警備・鎮圧・魔物の討伐も行ってるである。」
つまり、攻城戦の防衛要員か…。
「他国の侵略からの防衛要員は縮小。むしろ要らない。
その人員は全て魔物の討伐に回すように。
軍部の人員の生活もあるだろうから、解散はさせないから安心しろ。」
驚いた顔をする武官。
「他国から攻められた場合どうするのであるか!
国民を守ることが出来ないであるぞ!」
「今期は防衛しないから、気にするな。皆は怪我がないように新王が立つまで家で無事に過ごせばいい。無駄な血を流すな。」
膝を付き項垂れながら涙を流す武官。
どういう処理ルーチン組んでるんだ?
「んで、それだけか?」
「魔物の討伐依頼の一覧である…。国庫の予算を使って討伐するか判断お願いするである…。」
項垂れながら書類を渡される。
「つまり、国家からのギルドへの依頼で魔物を討伐するかの判断ってことね…。これは保留。明後日までに返事するよ。」
ギルドメンバーで討伐すれば処理できる問題が多数ある。
コボルト討伐、ゴブリン討伐、オーク討伐…。
よくわかった…。国家運営は仲間の協力がないと無理だ。
レベル10で8人パーティーであれば処理できる件も多数ある。
そんな数字、大半の人間は越えている。
人によっては一人でいける。
軍部の協力があれば、更に余裕が出てくる。
軍部は固定給だから、これ以上の出費はないはず。
ただし、一人の人間として考えられるから労働時間は考えないといけない。
NPCと考えたらいけない。かなり不利なデバフがかけられてしまう…。
かなり難しい…。
ゴブリン討伐だって、時間をおけば数倍に膨れ上がって国家問題になる。
国家でなく冒険者に頼めば、国家の国庫が減る…。つまり税収が減る…。
これはギルドの行動にかかってくる…。
2,000人居るとしても、5箇所の城を押さえてれば400人で分けることになる…。
連合単位で2組分、どうにかなるはず!
並のギルドではないのだから!
最後に宮廷魔術師に話しかける。
紅一点の女性。金髪碧眼のスリット入りの白いロングドレスに身を包み、長い杖を持っている。
「んで、宮廷魔術師は何をしてくれるんだ?」
「戦争時の城主用の魔法を覚えることができます。こちらが一覧となっております。」
んー、重要性は私にはないな…。
ギルドの復活位置固定の魔法やギルド全体の各種ステータスの上昇魔法、防衛用の罠的な魔法がある…。
面白魔法として、巨大ゴーレムの作成があるくらいか…。
しかし、自前のMPを消費しないといけない。
100くらいしかないから、発動できるのはかなり少ない。
まあ、今夜はこんなもんでいいか…。
明後日の朝(リアル日曜の朝)に他の仲間と話し合いしよう。
本日も誠にありがとうございます。
忙しさに拍車がかかってきたぞー!




