越えて次へ
高さはそうでもなく、傾斜もなだらかな山道をポックリポックリ馬っぽいのに乗って進む。
平地と比べて襲ってくる敵が多いかな?
まあ、5人で大した問題もなく進んでいく。
その途中、数組のプレイヤーとすれ違って変な目で見られるのがわかる。
まあ、見た目が悪いから仕方ないよな…。
コレがゴーレムだと気づくのはどれくらいいるかな?
どうでも良いことに思考を割きつつ、昼頃に登りはじめて二時間少々が過ぎた頃に頂上に着く。
多分1000m位の山かな?
傾斜や速度を逆算して、予想をたてていく。
先々は、馬車でも購入しないとかなぁ…。
どうでも良い思考をしつつ、山脈を越えた近くに村を見つけたので、今日のところはそこまでの移動にしようと仲間に話すのだった…。
「んじゃ、父さんは戻って仕事してきて。僕らで進んでいるから。」
「了解、頼んだよ。無理はしないようにね。」
宿を取ったのち、早々と準備を済ませた天音が許可を求めてきた。
私としてはどうでも良いから『好きにしろよ。』という意味を込めて返事をする。
そんな私の返事を鵜呑みにしつつ、ウキウキと町の繁華街へと天音は駆け出していった。
そんな息子にため息をつきつつ、私は戻って書類の確認を再開するのだった…。
私に届くメールの大半はギルドの恩恵をうけた
現在もギルドに入りたいのは人は多いから、問題ないなら入れてるが小さな問題はやっぱり出てくるな
ギルドの集金を滞納してるのはどれくらい猶予を儲けようか…。
とりあえず、まだ現実の1日目だからメールだけ送っておこう。
現実7日で強制脱退でいいや。
生産のほうは、売り場で結構な収益が出てるようだ。
素材もどんどん増えていっている。金銭面は問題ないだろう。
城の攻略が無事終わったらパーティーすると張り紙でもしよう。
還元して士気上げたいしな。
そんな感じでログアウトする。
「父さん、俺思うんだ。」
「なにがだ?」
「これまで素でやってるから、このままでもいいかなって」
「今更過ぎるだろ…。」
息子とこのような面白いことを話しながら就寝する。
4日目が過ぎるのだった。
起きて朝食を食べてインする。
東側の王都までは5日くらい掛かるかな…。
広いのか狭いのかよくわからん…。単純計算で300km離れてるくらいは国家間は広いのかな?
家族だけの時やスレインが居ないときは徒歩。スレインが合流したら馬車で移動する…。
不便だな、どうにかできないものか…。
先々、天音が各地の座標取れば解消されるから我慢するか…。
「親父、俺とスレインで移動するでもいいんだよ?」
「その言葉は嬉しいが、家族だろ?私も共に歩くよ。」
確かに時間が確保できるから、狩りとかでLvは上げられるだろうが仲間だからな。
こういう苦労は共に分かち合うもんだ。
そうして進むと、リアル次の日の朝には到着した。
ゲーム的には4日くらい時間がかかったかな?
私が仕事している間に皆が進んでくれたお陰だ。
これで6日目の朝だ…。
あと3日しか有給が残ってない…。焦る…。明日の夜は攻城戦があるしな…。
都市に入り、城の前の衛兵に尋ねる。
やはり、城主は決まってないようだ。
「よし、明日の夜には攻城戦がある。ここから北東の城を確認しにいこう。馬車で頑張れば到着できるはずだ。」
現在私達が2箇所、他のメンバーが1箇所発見している。
このまま一番遠いところに私達が向かって、4箇所抑えておきたい。
うまく他のメンバーを動かせば、全て取れるかもしれない。
「そんな沢山どうするのさ?」
そう尋ねる天音に答える。
「決まってる。ギルドを一時的に分けて、全部取る!」
信頼できるパーティーで全部押さえればいい。
目指せ世界征服!
無理だと思うけどな…。
そうして纏まった考えを元に、マスターへと連絡をいれておく。
《龍桜、リアル明日の夜には攻城戦があるから城の発見急がせて!
うまくいけば、全部ウチで取れるかもだし。
南の城の更に南と西の砂漠を越えた先に人材派遣。
北の城にいる連中は北西に向かわせて。
私達はコレから北東の城を押さえに行くよ。
返事待ってるよ。》
これでよし。
すぐさま準備して、北東に向かおう。
そうして行動しようとした私の目にローブを頭から被った人影が目に入った。
「やっぱりな…。まだ先にいるかと思ったら、こんなとこにいたとはね…。」
私の呟きに天音たちが反応して視線を向けてくるが、軽く無視して思考を重ねていく。
予想よりも近場にいたが、絶対にあれは噂のソロプレイヤーだ!
すぐさま追いかけて声をかけてみようかな…。
そのあとの返事は、相手の反応次第で変えれば良いんじゃないかな…。
うまく相手の戦意を刺激しつつ、バトル機能を使用して相手の強さの秘密を探れたら良いな…。
そんなことを考えつつ、私はソロプレイヤー(仮)へと声をかけるのだった。
「すいません、少し聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「なんだ?」
ふむ、この返事だけでも数種類の小説が頭に浮かんだ。
ならば、こういう返事をしたらどうなるのか予想ができてくる…。
瞬間的な思考により、相手へどんな返事をしたらバトルへ持っていけるか、その道筋が見えてきた。
それに合わせた、挑発とも取れる返答を私は告げる。
「うん、質問の前に初対面に対する話し方考えようか。その返事はダメだよ。」
そんな私の返事にイラついたのが一目で解る。
そっぽ向いて舌打ちをした後、こっちに向き直った。
「それで、何の用ですか?」
わりと素直な子だと思う返事が返ってきた。
私の一言に対して、自分の不適切な発言を訂正してきたのだから。
「最初のグレートドッグをソロで倒したのは君だね?」
「そうだけどなにか?」
「ちょいと手合わせ願いたくてね。」
「やる価値あるのか?」
「別に価値とかどうでもいいよ。受けないならその程度だって判断するだけだから。」
予想通り、凄くムカついてるのが瞬時に解る返答が返ってきた。
私から顔を背け、『なんなんだ、このオッサンは…。』と小声で言うのが聞こえてくる。
私自身がこんな相手に話しかけられたら、殴っていたかもしれない…。
それはそれとして…。
彼は返事を悩んだあとに、こちらを向いて一言呟いた。
「喧嘩売ってんのか?」
予想通りの反応に、私は更に追い討ちをかけていく。
「さっきから、手合わせ願ってるじゃないか。日本語解る?」
瞬間、刀を抜いて首を切り落とそうとしてきた。
視界の片隅に、銀の閃光が映るが、私はそのまま動かなかった。
街中ではPKできない仕様となっている。
彼の剣は透明な壁に阻まれるのだった。
そうして剣先を眺める私に、彼は一言告げてくる。
「これを避けれないのに、やる意味はない。」
そう告げてくる彼の目には、私に対する落胆の色が伺えた。
その瞳に、私は悠然と返事をするのだった。
「壁に阻まれるのがわかってて、避けるのは居ないだろ。」
瞬間、睨みつけるように彼の目が鋭くなっていった。
それだけでも、煽られるのに耐性が無いがわかる。
怒気が可視化されるように、空気が歪むのが見てとれた。
若い、青い、臭い…。
かつて通りすぎた、私の若い頃が思い出される…。
こんな時期もあったなぁ…。
そんな、下らないことを考える私に、我慢の限界だったのだろう。
彼が一言告げてきた。
「やってやるよ。後悔するなよ?」
ふっ…。まだまだ青いな…。予想通り過ぎる反応であった。
それに対して、私は更に…。
「二流の返しだね。面白味がない。」
更に煽っておいた!
この会話で大体読めたが、やるだけやってみますかね。
本日も皆さんに感謝でございます。




