合流しよう。戦ってみよう。
友人に見せたら、続きが気になって仕方ないとのことでした。
少しずつ出していきたいと思います。
目指すは、平日1ページ更新
(私の職業は、土日がありません。)
チュートリアルを終了し、私は始まりの町に転移するのだった。
目の前に広がるのは、ヨーロッパのような街並み…。
なかなか、感動を覚える光景だ。
これでこそ、VRだよな!
家にいながら、旅行してる気分になる。
これこそゲームの醍醐味だよな!
グラフィックの差によって様々だが、普段経験できない美しい景色を眺めるのは壮観である。
それはそれとして…。
軽く街を見渡して、合流予定の場所に駆け出していくのだった。
様々な初期キャラが走ってるのを眺めつつ、後で皆で散策でもしようと、頭の片隅で思うのだった。
生産系の職業を目指している人達の店も、まだ出来てないだろうしな。
NPCの店に行ってもいいのだが、普通の物しか売ってないからつまらない。
屋台で様々なものの買い歩きもしたいしな!
†
待ち合わせ場所に着くと、皆揃っていた。
私が最後のようだ。
「遅かったね~。」
長男が遅れた私に告げてくる。
ここからはアスタールと呼ぶべきだろう。
「すまんな、チュートリアルの武器を一通り使って感覚を確認してたんだ。」
私の言葉に皆、納得する。
「確かに、身体能力も上がるようだしね。
これからステータスが上がったりすると、もっと動けるようになるだろうしね。」
頷きつつ、三人の服装を私は確認する。
チュートリアルを終えたばかりなので、服装はダサい。
アスタールはスモールソードにスモールシールドか。
赤髪の短髪に変えている。
確かに、熱血系のキャラの感じが出ている。
「バーニング!」とか言いそうだ。
次男の名前は天音。
杖を持ってるので、魔法をするつもりだろう。
蒼い髪に長髪か。
クールなキャラでもするつもりなのだろう。
腹黒い次男らしい選択だ。
嫁の名前はソルティに決まったようだ。
本を片手に持っているのが目にはいる。
このゲームでは、回復職は本を使うのだろうか?
近接攻撃はどうするのだろう?角で殴るのだろうか?
肩を越えたくらいの髪の後ろ一房を纏めている。
色は私のように、少し茶色にしてるくらいである。
まぁ、息子に言われることを想定したのだろう
どうでもいいが、私は現在何も持ってない。
全部ボックスの中である。
「さて、サクサクとパーティー組んで進もうか。初期武器でも、四人パーティなら結構進めるだろ。」
†
最初の位置から少し奥に進み、人がまばらになり始める付近で足を止めつつ周囲を見渡す。
最初から4人パーティーは強みだと思う。
一人でやるより奥に行けて経験値もいいのだ。
身体能力に自信があるものは、この辺まで来てるのだろう。
近くにソロプレイヤーが軽やかに避けながら戦っている。
「さて、この辺で始めるか。」
そんなプレイヤーを眺めつつ、私はボックスから武器をだして装備しようとした瞬間…。
カラーン!
周囲に甲高い音が鳴り響く。
私は武器を持てずに、取り落としてしまった!
「え?」
驚く私に天音が呟く。
「まさか、STRに1も入れてないとか無いよね?」
空気が固まった。
「本気で極振りとか、マジないわ~。下の方に書いてたじゃん。能力は出来る限り平均的に上げた方が問題ないって。」
「初っぱなから寄生とか、マジウケるんだけど~。」
「まあ、荷物はボックスがあるし荷物持ちはできるね。素の防御はあるんだし。盾役はできるね。素手だけど…。」
目から汗だけじゃなく、焦りのせいで全身から汗が止まらない。
三人から、優しい言葉を投げかけられるが…。
それを聞き流して、私は武器の確認をする。
スモールソード
必要ステータス:STR1
必要スキル:剣0%
攻撃力:3
初心者用の武器
チュートリアルで配られる
初期配布武器は練習用のため、技能がなくても使用可能。
そんな一文を眺めつつ、私は戦慄したのだった…。
マジかよ…。なんと言う運営の罠だ…。
いや、ろくに確認しないでステータス決めた俺が悪いのか。
一番下に赤文字で注釈があったのは見たのだが…。
ここまで深刻な事が書いてあるとは思いもしなかった。
ろくに読んでもいなかった。
ということは、他のステータスも上げないといけないのか?
多分、今の私は物理は耐えれるが魔法は弱いのだろうか?
様々な考察が瞬時に私の頭を流れていく…。
ま…まあ、気を取り直そう。
初期の街に魔法を使うようなモンスターは少ないはずだと、これまでの経験が告げている。
「まぁいい。私のダメージが0なだけで、盾が持てないだけだろ。たいした問題ではない。」
そう言うと、私は近くにいる犬のようなモンスターへと向かって拳を振り上げたのだった。
その行動の結論から言うと…。
拳で殴って1のダメージ。
相手からも1のダメージだった。
たいしたダメージを受けない私を見つつ、アスタールや天音がどんどん攻撃を入れていく。
しかしダメージが1のため、すぐにターゲットが外れかけるのを私は必死に止めるのだった。
ヘイト上昇系のスキルが早くほしいと切に願う。
犬にしがみつき、行かないように止める盾である私。
どんな盾だよ!
「すまん!レベルが上がったら一旦街に戻ろう!頼む、俺に経験値を入れてくれ!」
私の発言によって、親父の威厳がまた下がった瞬間だった。
それをはた目に、解体して素材を回収するソルティ。
笑ってるのか、背中が揺れている。
前途は多難なようだ。
主に私のせいで…。