塔を登ろう。2
「くそぅ、今度また有給たっぷり使って休みまくってやるからな!
技術を上げる時間をとるのだ!」
「えー、またぁ?
次回は自分の時間優先するよ?」
「僕も勉強あるから、一人でやってよ?
技術を上げるだけなら、出来るでしょ?」
「あたしも、友達と遊ぶからパス!」
薄情者共め!
「いいもんね!皆より早く動けるようになってやるんだから!」
「盾が強いのは大事でしょ?なんの問題もないじゃないか。」
「認識が正しくて、反論できねー!」
さてさて、そんなことは置いておいて…。
復活して仕切り直しだ!
鬼畜度がどんどん増してくるなぁ…。
これは真面目に技術をあげていかないと、先が辛すぎる。
防御主体に切り替え、強化スキルを重ね掛けして、どうにか耐えきれる状態を整える。
多分行けるはず…。
家族の準備が整ったのを目線で確認し、私は盾を前面に構えて突撃していく。
駆けていく私が攻撃範囲に入ったのか、直ぐに尾から光が延びてくる。
さっきまでと違い加速状態だからなんとか把握でき、辛うじて弾き流す。
あまりの威力に体ごと持っていかれそうになるが、無理矢理押さえ込んで近づきヘイトをかける。
これがないと、スタートすら出来ないからな。
そのまま至近距離にてダメージにならない剣による攻撃を行いつつ、ヘイトを重ねて掛けていく。
そんな私に蠍女の猛攻が始まった。
尾による光線や両手の先の鋏による攻撃、脚の踏みしめや毒の霧が襲いかかってくる。
それらを弾き、滑らせ、かわし、いなし…。
狩りゲームで鍛えた観察眼により、モーションからの攻撃予測により攻撃を捌き…。
たまに読み違えて、手足を吹っ飛ばされ…。
無様に転がりながら避けつつ、回復してもらい…。
ヘイトスキルを重ねて、家族へと向かわないようにスキルを調整し…。
全体攻撃の瞬間にはインビンシブル等の全体防御スキルで対処していく。
集中力を切らせて加速が解けた時点で、私は一瞬でボロ雑巾のようになるだろう。
いやまぁ、1時間近く戦っているのだ。
ちょくちょくボロ雑巾になってはいたな…。
その為にヒーラーが居てくれるのである。
嫁に感謝だ。
嫁もゲーマー歴が浅い(約16年)とはいえ、ずっとヒーラーしてるから技量は中々のものに育ってくれたものだ。
とても助かっている。
そうした激戦を終えて崩れていく蠍女を前に、私は膝をつき息も絶え絶えだ…。
「お…終わったぁ…。マジで何度か死ぬかと思った…。」
「流石だなぁ…。親父、普通ならソノ倍率じゃ死んでておかしくないよ?」
「誉めるのは、ソルティだな。
攻撃を食らって、すぐのタイミングで回復が来てたからな。
じゃなきゃ、死んでる場面が数回あったわ…。」
「あはは、もっと誉めなさい!」
そうして話をしている私たちを尻目に、アスタールがドロップの回収をして戻って話しかけてきた。
「レアなドロップは無かったね。モーターや配線や基盤類だけだったよ。
まぁ生産での基本材料だから、幾つあっても足りないけどね。」
「そっかぁ、残念だけど仕方ないね。」
前回の都市防衛に勝利したおかげで、周囲に広大な農地が解放された。
そこでは様々な農業従事者が、巨大な機械を用いて大量の食材の栽培を行っている。
私達の武器防具に使うのも大量にある。
基本材料は幾らあっても足りないのだ。
「にしても、このゲームはどこに向かってるのかね?」
中世ファンタジーから、未来に飛ぶとか意味不明だが…。
中世の世界で王をして都市の防衛するのも面白かったが、こうした未来で機械に囲まれて過ごすのも楽しいな。
銃がある世界なんだから、避けたりするために加速しないといけない。
加速するためには、レベルを上げてトレーニングしないと出来ない。
なかなか、うまく作られているものだな。
「多分先々は宇宙に進出じゃね?
んで、宇宙船での星間戦争。」
天音が面白いことを言ってくる。
「宇宙でどうやって戦闘しろってんだよ…。」
「えーっと…。盾は当然守りだから…。
宇宙船の正面でレーザー受け流したり?」
「じゃあお前は何すんだよ…。」
「レーザーの狙撃手兼、エネルギー源?」
やっべ…。
想像したらありえそう…。
ここの運営は思考回路がおかしいからな…。
「ありえそうで怖い…。
まぁ、それは置いておいて狩りだな!
余裕をもって、素材を沢山集めたいな。」
金稼ぎは大事だ!
「なら、次くらいで乱獲がちょうど良いかもね。
4人なら、この先は厳しいようだよ。」
アスタールが意見を述べてくるので、同意しておく。
「了解、ここでこんなに苦戦しているなら仕方ないね。
今度は全員で、攻略していこう。」
咲夜達と合同でやれば、何処まで行けるだろうか?
トップランカー達に並べるよう、毎日頑張ろう!
たまたま、入院で時間ができたー。
肺気胸という病気です。
内視鏡手術をしたとはいえ、痛くて寝れないから書いてます。
ある意味、睡眠時間削ってる?
はっ、ウケルww