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親父と家族のVRMMO日記  作者: 只野御夜市
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塔を登ろう。1

多数のギルドがマップ移動をして2週間が経過している。

塔は今日も人が溢れ返っている。


「おー、1部屋目は人が一杯だなぁ…。」

鍵は買い物してれば運次第で手に入るからな。

少しずつ攻略情報も出ているから、皆で新しい機構の入手に躍起になっているようだ。

職人たちは皆が手にいれた機構を元に、独創的なものを作り上げていく。


先日露天で見つけた剣は、武器を振るたびに花弁が舞う機構が付けられていた。

剣自体にも装飾を施され、美しい仕上がりとなっている。

ただし花弁のストックが尽きたら、ただの剣になるし…拾いなおして補充しないといけない。

誰が使うんだろう、あんなの…。


それは置いておいて…。

賑わっている1部屋目をサクッと倒して次へと進んでいく。

新規マップへと移動したばかりなので、こんなとこで出る基本的な物でも高値で売れるのだが、目的じゃないからな。


「さっ、次へ行くぞー!遅れ気味だから追い付かないとな!」

「その原因の大半は親父だろ。」

「働かなくていいなら、ずっとゲームしてたいわ!」

あー、100億くらい誰かくれないかな。


転位の場所へと移り、さっさと移動していく。

人が多い狩り場は、被ったりするから苦手だ…。



ここからは連合もしくはパーティー単位での行動となる。

目の前には巨大な蠍と人を合わせたキメラが目の前で私たちを待ち構えている。

「さて、隼人が単独で3時間。単純計算で4人なら45分だな…。

長時間戦闘になるから、頑張ろう!」

「キッツイなぁ…。まぁ、いつものことだし頑張るよ。」

私の一言にアスタールが返す。

「MP回復剤は山ほどあるから、気にせずガンガンいっちゃうよ!」

天音が相変わらずな言葉をかけてくる。

「タゲ貰うことがないようにね?あたしが大変なんだから。」

ソルティが心配してるのかしてないのか、わからない返事をしてくる。


私の家族は相変わらず通常運転らしい。

「今日の目的は行けるとこまで行くこと。さぁ、行くよ!」



最近は装備として身に纏っている割合が高いオーリを解除し、たまには合体をして特攻をかけていく。

「怪獣大決戦じゃー!」

私の世代としてはテンションが上がるシチュエーションに、狂喜乱舞しつつ…冷静に相手の動きを見ながら、翼による加速も合わせて一気に距離を詰めていく。

そんな私を嘲笑うかのように、蠍の尾から光が放たれ、ほぼ同時に私の腕が吹き飛ばされた。


「んなっ!?やべぇ!!体勢を建て直すために引っ張るから、攻略情報お願い!」

衝撃により振られる体を無理矢理押さえつけながら、体勢を整えつつ逃げる姿勢に切り替える。

苦痛耐性のおかげで痛みはほぼ無いが、体勢を崩すのはヤバい。

動きが止まれば、集中攻撃をされてしまう。

くそっ、攻略情報の何処かを読み間違えた…。


「え?父さん、加速状態に入ってないの?10倍加速位できないと、避けるのすら難しいよ?」

アスタールが意外そうに驚きの声をあげてきた。

「よし、そこで計算ミスだ。相手の攻撃速度は?」

「大体、音速くらい。」


…。

早すぎるだろ!

私の最高速度が180km位で、相手が1200km位…。

相対速度は1400km位?

答えが合ってるのか、遠い記憶の彼方だから自信はないが…。

通常のままで避けれるか!


「音速での攻撃とか洒落にならないわ!

頑張っても8倍くらいしか加速できんぞ!」

「大体…。150kmの速球を投げるピッチャー相手にしてるくらいかな?

俺は12倍位出来るから、100km位の速球かな?

静止状態で。」

「技術を上げる為の努力をする時間が足りねー!」

くそう…。仕事を優先してリアルで家庭を守れるが、ゲームで家庭を守れないなんて…。

笑えるネタだなオイッ!


追いかけてくる蠍女の攻撃を避けつつ、避けれずに身体の各所を吹き飛ばされながら逃げ惑う私を家族は静観している。

この、薄情者め!


そんな思考をしている私に、アスタールが悪魔の提案をしてきた。

「今ならヘイトは父さんしかカウントされてないはずだから、死んで仕切り直ししよう!」

「マジか!この薄情者共め!」


とはいえ、どう考えても戦況はこのままだと回復は見込めない…。

瞬時に判断をした私は、変身を解除してその場に立ち尽くした…。

せめてもの優しさでオーリは装備状態にして、離れた位置に置いてきた。

私の龍とはいえ、息子だからな!


「くそぅ、計算ミスだ…。ここまで酷いとか予想が…。

え?ちょ…。マジでコレ絶望的なんで…アギャー!!」

足を止めた私に降り注ぐ蠍女の猛烈な攻撃の前に、何発食らったのか数える暇もなく…。

私の意識は暗転した…。



くっそぅ…。

音速の攻撃とか、あんまりだろ!火力も高すぎだし…。

いや、よく考えたら銃撃とかある世界だったわ…。


そんな後悔を私がしている間に、安全な距離に蠍女が離れたのを確認したソルティが起こしにきてくれる。

ほんと、ヒーラーって大事だわ…。

パーティーに一人は必須だよなぁ…。

そんなことを考えつつ、私の視界は再び暗転した。



「くそぅ、隼人がソロでしてたから甘く見すぎていた…。」

起き上がりつつ、呟く私にソルティが反論してきた。

「隼人とかと一緒にしたらダメだよ?

あの子は最近、20倍位までいってるらしいよ?」

「チート過ぎだろ!音速の攻撃が60km位に感じれるってことだろ?

キモいわ!」

国道を走る車を見ている位の気分だな。

「気を取り直して…。今後は加速状態が必須だな…。

あーもう、疲れるから嫌なのに…。」

「親父だもんねー!」

「うっさいわ!」


さて、加速状態を最高値で維持できるのは…。

やはりオーリを全身に纏うしかないよな…。それでも8倍がギリギリだが…。


「皆は、避けるのは大丈夫なの?」

そこで浮かんだ素朴な疑問を家族に投げ掛けてみた。

「俺はギリギリ大丈夫だよ。12倍行けるから。」

「僕はINTが高いから、意識だけなら24倍でいけるよ。

あとは、瞬間転位で避けるから問題ないよ。」

「あたしは攻撃が来ないから大丈夫!!」


薄情な家族だな!!

一番攻撃を食らう私が、一番加速度が遅いじゃないか!


「くっ…。皆が安全なら、まだマシか…。

避けるのとヘイトに集中するから、あとは任せた。

本気の盾の技術を見せてやるぜ!」

「父さん…。VR前からのは技術にカウントしないでしょ…。」

「つまり、まだ3ヶ月くらいのペーペーよね?」

「ゲーム内だと4倍くらいの時間が使えるから、1年くらいじゃない?

大差ないけど。」


「うっさいわ!リアルで盾をマスターするような教室があるか!

お前らだって似たようなもんじゃないか!」


相変わらず、私の家族は優しすぎて涙が出てくる。

何処で育て方を間違ったかなぁ…。

これでも、面白い良い家族なんですよ?


内心では、面白い家族だと腹を抱えて笑っている自分が居るのです。

皆様、本日も誠にありがとうございます。


4月に入り、部署移動の時期ですね。

私の場合、上司が変わりまして…。

その仕事まで私がするようになってしまいました…。


泣けてきた!


入社1年経つ後輩は、まだまだ戦力と見れないし…。

実質、戦力は私だけ!


早く仕事を覚えて欲しいなぁ…。

サビ残とか、できるだけしたくないんだけどなぁ…。

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