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親父と家族のVRMMO日記  作者: 只野御夜市
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パワーレベリング週間。4

ついに差し掛かる最上階。


最後の段に私は足を踏み出した。

その瞬間私の視界に溢れんばかりの光が溢れ、真っ白に染め上げていく。


あまりの眩しさにまばたきをした瞬間、世界が一変した。

私は周囲の確認をしつつ、一言呟いた…。

「ふむ、これが私の理想郷か…。」


気づけば私は、周囲一面がディスプレイで埋め尽くされた広大な部屋の中心に立っている状況であった。

映し出されているのは、現在行っているゲームの世界の各地の情報が流れている。

周囲には、数千人のプレイヤーがPC画面を見つめて、いつでも攻めていける状況で待機している。

VRじゃないのか?といった質問は受け付けません!


「騎龍さん、全軍準備が整っております。

いつでも進軍する準備は整っております!」

「よし、これより全ての城の確保を行う!

世界は我等ワールドにて、平定される時が来たのだ!

各地の戦況を報告するスパイも配置済みだな?

戦況の変化は、すぐさま報告するように!

ではこれより、世界統一戦争を行う!

全軍、全てを平伏させろ!」


私の指示に従い、全軍が一糸乱れぬ行軍を行い始める。

周囲に展開されているディスプレイを眺める私の元には、各員の報告が秒単位で流れ続けている。

「ミネソア接敵!」

「アスディス接敵!」

「ライクス接敵!」

etc…。


各員から報告が上がるのに合わせて、私も指示を出していく。

「そのまま全てを蹂躙せよ!

我等には、全てを治めることが可能な準備が整っておるのだ!」


私が見つめるディスプレイには、仲間の一人の姿が映し出されている。

全ての装備を名前付きや、成長する武装に身を包み、一人で数十人の相手に無双を行っているのが映し出されている。


「ふはははは、我が軍は圧倒的ではないか!」


世界各地で行われている攻城戦の映像の全てを確認しつつ、私は高笑いするのだった。


「さてっと…。

自分の夢ってこんなことだったのか…。

くだらない夢だな…。1回は実行しかけたことあるし…。」

盛大に夢の中で楽しんでおきながら、思考を元の状態へと戻していく。


「意外だな…。性欲ではなかったんだな…。

さて。どうやったら抜けられるかな…。」


ご想像の通り、ここは夢の中である。

最上階に到着したら、こうして夢の世界へと誘われてしまう。

人それぞれの幸福な夢を見せられ、まずはそこから起きてこなければならない。

起きれなければそのまま時間切れによって、強制退場させられてしまうのだ。

「攻略情報によれば、一番大事なものを倒すか壊すかしないといけないらしいのだが…。」


私が夢と気づき行動を開始した時点で、周囲の時は止まり、モノクロの世界へと変化してしまっている。

「んー、嫁も子も出てこないか…。

まぁ、私らしい感じだな…。」


さてさて、自分が望む最高の幸せな時間…。

何度も生徒会はクリアしているとはいえ、乗り越えられない者も少なからず居るという。


「人だったら相手を見つけたら悪魔の風貌に変わるから、分かりやすいんだがなぁ…。」

周囲には沢山のPCが並んでいる。

「こいつらを破壊すれば良いのかな…。」

呟きつつ、私は手近なPCに向かい軽く性能を確認してみた。

「うわっ、マジかよ…。

ゲーミングPCで最高クラスじゃねえか…。一式で私のボーナス吹っ飛ぶ位はするぞ。

こいつらを壊せってか…。運営は鬼か…。」

ボーナスが幾らか?内緒だ!


流石は私の夢の世界、悶えさせてくれる。

「これは夢、これは夢、これは夢、これは夢…。」

延々と自己暗示を続けながら、周囲の探索を進めていく。

「あぁ、多分こいつだな…。

くそう、幾らすると思ってるんだ…。」

集められた情報を集積するサーバーが置かれているのを発見した。


「グッバイ、私の夢の世界!理想郷よ!」

手近にあった椅子をつかみ、サーバー目掛けてぶん投げた。

たぶん、今の私は血の涙を流しているかもしれない。


投げつけた椅子が当たる直前にグニャリと輪郭が歪み、一匹の小さな悪魔へと姿を変えた。

「当たりだったか。

くそう、この恨みはすべてお前にぶつけてやるからな!」


その瞬間世界が歪み、一面に何もない真っ黒な空間が広がった。

「キキキッ!」

「何言ってるかわからんが、私の恨み思い知れ!」

片手の盾を投げ、悪魔を地面に叩き落とす。


コイツは夢魔と呼ばれるものだ。

サキュバスやインキュバスの下位種として私達は認識している。

出現報告は、極めて少ない。

ゲーム内で寝ることはほとんど無いから、当然と言えば当然か…。

強さのほどは、ビックリするほど弱い。


「あぁ、くそう…。盾だけで倒してしまったじゃないか。

もっとボコボコにしてやるつもりだったのに…。

もう少しくらい耐えろよ!」


理不尽極まりない事を言いつつ、周囲は光に包まれて私は元の世界に戻されていくのだった。

本日も誠にありがとうございます。

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