ギルドを作ろう。
家族の説教を受けてたら、思わぬ時間を食ってしまった。
待たせるのは私が嫌いなのを知ってるだろうに…。
「すまん、遅くなった。」
すでに全員揃ってるらしい。私たちが最後だ。
塊が4組。各8人かな?32人いるのだから、どのパーティーもフルパーティーなのだろう。
羨ましい。
「いや、まだ時間まで5分ある。充分早い方だよ。」
爽やか短髪の男がそう言ってくる。
モテるんだろうな、くそぅ!
嫁がいるが、イケメンに嫉妬くらいする。
「さて、本日は集まっていただいて誠にありがとうございます。最初に第一マップをクリアしたパーティーのリーダーをしている龍桜という。よろしく頼む。」
実力があるのだろうが、なんとなく自信に溢れてるのが気にくわない。
一々最初にクリアしたとかどうでもいいだろう。
最強で言うなら、ソロで攻略した人だ。
どうやったのか凄く気になる。リアルスキルが高いのだろうか。
「まずは、自己紹介からしたいと思うんだがどうかな?」
特に反論もないため、そのまま促す。
旨い汁だけ吸ってポイしたって構わない。
情報は力になるのだから。
ろくに調べてないせいで、さっき家族に説教を受けたが。
第一パーティー
龍桜:両手剣装備の広範囲ATK戦士
ソウマ:双剣使いのATK盗賊
流水:両手に盾を持った重装甲のタンク
BlueSky:片手剣とラージシールドを持ったサブタンク兼サブヒーラー。後程、聖騎士を目指してるらしい。
ローズマリー:火属性主体の魔法のATK
金木犀:水属性主体の魔法ATK
アルテミス:遠距離弓ATK
ヒナ:回復主体のヒーラー
ということだった。
バランス取れてるなぁ…。
あと4人勧誘してMAXにしなければ…。
第二パーティー以後も似たようなものだった。
正直、いきなり30人もの名前は覚えられない。
多分、龍桜とソウマの名前しか覚えられてない。
私たちの順番になったので紹介する。
4人しか居ないので、ザワザワしてる。
「騎龍と言います。現在10レベルの盾役です。家族でパーティー組んでます。よろしくお願いします。」
さらにザワザワした。どこのギャンブラー漫画の出演者だ。
皆の紹介が終わったとき、3番目のパーティーのリーダーが話しかけてきた。
名前はなんだったかな?キシリトールだったかな?
いや、キリングドールだったかな?
「すいません、騎龍さん。質問いいですか?」
「どうぞ?」
「四人でパーティーなんですか?」
「そうですよ。」
「ボス討伐も四人で?」
「そうですよ。苦労しました。」
「現在レベル10って言いましたが、ボス討伐時は?」
「6だったかな?」
なんなんだ?そんなにおかしくないだろ?
おかしいのは私のステータスくらいだ。
「リアルチート?」
「いえ、ただの会社員です。ちなみに現在ゲームのために有給休暇使って9連休中です。」
爆笑された。
笑いが収まってきて、肩を震わせながら龍桜が話してきた。
「し…失礼…。そこまでする人を見たのが初めてでして。気分を害さないで下さい。」
「いえ、私が聞いたとしても笑うでしょうからね。」
「さて、色々と質問等があるでしようが。最初に話した通りここに居る皆でギルドを作れればと思ってます。」
皆静かに頷く。
「マスターは私がするつもりでしたが、他にしたい方が居たら構いません。攻略の為のギルドですので、時間が取れる方にお願いしたいですね。考察に関しては、皆で知恵を出しましょう。ちなみに私は大学生ですが、学部的に時間に自由が利きます。他に自由が利く方はいますか?」
ある意味、ソルティなら時間に余裕は充分取れるがな。
もともとマスターをやる気はないので断っておくか。
「ウチは龍桜さんがするならそれでいいですよ。柄じゃないし、9連休が終わったら私は仕事がありますから。」
さっきの笑いが、ぶり返してるのが数名居るが無視する。
「ただし、サブマスターするのは他のPT率いる4人にして欲しいかな?」
「妥当ですね。あとは能力によって多少変えますが、取り敢えずそれで組んで問題ないでしょう。」
問題ないように答えてる目の奥が気になる。
あぁそうか、コイツは自尊心が高いタイプな気がする。
攻略だのなんだの言ってるが、自分がチヤホヤされたいタイプな気がする。
先に進めば、自分の取り巻きをサブに変えるかもしれないな。要注意か?
そんなに長いこと組む必要ないかも?マスター権限で何言われるかわからない。
小さなことで揚げ足取られるかもなー。
適度に情報抜いて辞めてしまおうかな。家族を守るのは、父の仕事だからな。
ただ、勘違いの場合もあるから様子を見よう。
「それくらいで話は終わりかな?これから知り合いの生産職をこっちに移行するから、私たちはこれで終わりにしたいのだが?」
という私の言葉に目を見開く龍桜。多分確定か?
「私たちでもできないのに…。4人で大丈夫ですか?手を貸しますよ?ギルドですから!」
「いや、4人でクリアしたので問題ないですよ。今回移動するのはたった6人ですから。お手を煩わせるわけにはいきませんよ。」
今の一言が気になるな…。
最初に感じた通り、私には合わないようだ…。
ほどほどの付き合いにしよう。
構成やスキル配分が解れば、なんら問題なくなる。
冒険者ギルドに向かい、ギルドの申請を行った。
ギルド名:《World》
「さて、予定があるので失礼しますね。あまり時間がないので。終わったらギルドチャットで連絡しますよ。
今日はこのまま、今のパーティーで行動になるでしょう?
明日以後、インしてる人で狩りをしてレベル上げていきましょう。」
さて、戦斧のとこに向かうか。
そうだ、装備作ってもらうんだからSTRに全部入れないとな。
やっとSTR18だ。
やっぱり、まだしばらく他のステータスに振れないな…。
まともなステータスへの道は遠いな…。
本日も誠にありがとうございます。
電車で読めない物語にしたいなー