新たな力?
既に沢山の仲間達が攻撃を繰り広げる。
そんな中へ私たちも攻撃するために、戦線に参加しようとするのだが…。
「ふーむ、ありゃ強いな…。どうやって攻略したらいいのやら…。」
視線の先では、巨大なロボットが火器を乱射していた。
機銃が火を吹き砲弾をぶちまけ、ミサイルを乱射している。
私の腕を吹き飛ばしたミサイルはコイツが放ったものだろう。
凄まじい弾幕に防戦一方だ。
「転職後に合わせてるから、すごい堅さだな…。」
「地道に削るしかないのかな…。」
相手のHPバーが少しずつ削られてるが、周囲への激しい攻撃で近接職も取り付くことが厳しいようだ。
そんな激しい攻撃を掻い潜り数人が取り付いていく。
主にAGIを上げている者達だ。
その先頭をひた走るのは隼人とキリングドールである。
流石だなぁ…。
ただ、AGIを上げるているだけの者達ではない。
ステータスを全体的に上げて、認識力や判断力を上げて意識の加速状態ができる者達だ。
耐久度や筋力も上げて、身体の移動力も高い。
残像が見えそうだ…。
その中でも、8倍加速以上ができないと近づけないようだ。
隼人とキリングドールは突出していて、16倍までいっている。
最近の模擬戦では、掠める事すら厳しくなってきたんだよな…。この二人…。
アニメとかなら、主人公枠的な感じだ。
「んー、俺は行けそうだから行ってくるよ。」
「頑張れよー、私には無理だわ…。」
家族の中で唯一、AGIが高めで8倍加速が出来るアスタールが駆けていく。
咲夜達の高校生組も駆けていくのが見える。
ちなみに私はまだ4倍だ…。
この差は歳のせいか…はたまたセンスの差か…。
10年前なら、いい勝負できたんだろうがなぁ…。
さてさて、本来なら1万人とかで戦うような相手…。
そんな相手に3000人で立ち向かう為、完全に持久戦となっていた。
「くそっ、まだまだー!」
私はオーリと融合し大きくなった体を活かして、最前線で敵の猛攻を受けている。
スキルによって鱗を強化し、降り注ぐ銃弾から皆を守る。
巨大な体は守るのには向いている。
「騎龍さん!攻撃するのに邪魔です!小さくなってください!」
龍桜から指摘されてしまう…。
皆を守ってるつもりが、邪魔だったらしい…。
仕方なく、すごすごと戻って融合を解除した…。
「仕方ない、私はこのまま盾の仕事してくるわ。
オーリはこのまま引き下がりな。撃ち落とされたりしないようにな。」
「主よ、最近我が目立てぬ…。」
「なら、何か攻撃方法考えるんだな。その巨体じゃいい的だ。」
「なら、小さくなれば問題ないわけだな?」
ん?
「つまり、小さくなれるのか…。ならそうしたらいいんじゃないか?」
「任せよ!我も日々精進してるのだ!」
流石は不思議生物。
もう、龍がなんなのか私はわからなくなってきた。
他の子達はまだ普通なのになぁ…。
私に似て、変に育ったのかも…。
私が心の中で悩んでいる間に、パァッと輝き小さいオーリが沢山いた。
もう、ツッコまんぞ…。
ってか、コイツは絶対に龍じゃない。
UMA(未確認生物)だ!
あぁ、龍は元々未確認だったわ…。
そうして考えている私にオーリが話しかけてきた。
「主が次の段階へと進んだからな、我もまた特別な力を得たのだ!」
「ほー、どんな?」
「今、実践してやろう!」
ちみっこいオーリ達の一部がワラワラと私の体に集まってくる。
あぁ、よくあるやつか…。
私の全身にまとわりついたオーリが輝きと共に、鎧や兜へとその姿を変える。
「どうだ!このような力は他の龍属にはできぬぞ!」
テンションが高いオーリをほっとき、ステータスを確認する私。
「ふむ、かなりあがるな…。
これなら私も討伐に行けるかな…。」
「主よ…。驚いたり感動したり…。ないのか?」
「これくらいなら、よくあるからな。
驚くほどでもないな。」
凄く傷ついた顔をして、装備へと身を変えなかったオーリ達が項垂れた。
「そんな顔で見るなよ。
もう、レベル100までいった成龍なんだからさぁ…。」
「主に誉められたくて我も頑張っておるのに…。
一応言っておくが、我はまだ生後7ヶ月ほどの子供なのだぞ…。
普通の龍なら、ここまで育つのに50年や100年はかかるものなのだぞ…。」
そこで私はハッと気づかされる。
あまりにも流暢に会話して、アホなことばかり言ってるから忘れてたな…。
7ヶ月といえば、人間ならまだ歩くこともままならない子供だ…。
ようやくハイハイしてるくらいかな?
龍騎士仲間も、よく撫でたり頬を触れたりして可愛がっていたな…。
他の子達とあまり触れあってないから、精神面の成長がどんなものなのか考えてなかった…。
私にとって当たり前でも、初めて経験する子達にとっては大変なことなのだ。
息子達の小さい頃のことを再び思い出した…。
同時に私自身が初めて経験する事のドキドキやワクワクする感覚も思い出した。
悪いことしたなぁ…。
「よーし、オーリおいで。さっきはすまなかったな。
私のために頑張ってくれたんだな。
よくやった。偉いぞ。抱き締めてやろう。」
「今さら遅いわ!
絶対に度肝を抜かれる事を成してやるから、覚悟しとけ!」
拗ねてしまったようだ。
悪い父親だな…。少しへこむ…。
全身の装備へと変化したオーリを身に纏い、私は気合いをいれる。
「ステータスは上がったが、プレイヤースキルは上がってない…。
厳しいだろうが、いっちょやろうか!」
「ふん、好きにしたらよかろう…。」
少々じゃ、機嫌は治らなそうだ…。
体が4個くらい欲しい…。
皆様ありがとうございます