バカ祭。
とりあえず忙しい中で週一で投稿続けてみます。
「皆!アレやるよ!」
私から頼まれた天音が先頭へと駆け出していき、周囲に散っていた魔法使い数人に声をかけていく。
なんだ、2人じゃなくて3人以上での複合魔法か…。
どんな威力が出るもんだろうか?
初めて間近で見るから楽しみだな。
そう気楽に思ってたのが間違いだった…。
青い仮面を取りだし、おもむろに顔へと装着する天音。
「クールな参謀と思ったか!実はリーダーだ!
ワールドブルー!」
背後から青い爆発と炎のエフェクトが展開される。
アホだ…。アホが居る…。
続けてスレインがその横へと立つ。
「地味だと思うことなかれ!地属性は縁の下の力持ち!
ワールドブラウン!」
君も何してんだ…。
静かにてくてく歩いてグレイも並んだ。
『黒と白、合わさったら灰色。敵か味方か?
ワールドグレー!』
プラカードを持つグレイ。
喋れよ…。
どこかから飛んできたのだろう。
地響きと共に上空から、一人の漢が降ってくる。
「唸る豪腕!震える胸筋!力こそパワー!
ワールドレッド!」
うん、君がレッドなのは予想できたよ…。
ローズマリー。
続けて様々な属性の魔法が吹き荒れる。
炎の塊が浮かび、風が切り裂き、水によって打ち消し土柱が幾本も飛び出してくる。
その空間を暗闇が包み込み、中から光の輝きと共に一人の人物が出てくる。
「魔法の改良お任せください!全属性中途半端!
ワールドレインボー!」
君まで巻き込まれたのか…。
向島くん…。
5人が名乗りを上げ、終わったのかと思いきや…。
さらに続々と集まって名乗りを上げていった。
総勢24名!
いや、そんなのいいから急げよ…。
「僕らの力を寄り合わせ!」
ようやく、魔法の発動に移っていったようだ。
最初に天音が声を張り上げる。
どっかの戦隊物の必殺技を撃つときのようだ…。
長いから省略!
周りの敵の攻撃を防いでいる最中に、見いっている暇なんてない。
ツッコんだりしてる余裕も、皆無いのだ!
「いいな、俺もあんなのしようかな…。」
アスタールが言っているが…。やめとけ…。
二番煎じは面白くないぞ…。
「走れ!飛べ!大地を切り裂き、天を唸らせろ!
今こそ此処に召喚!
大巨人!!」
全員が声を揃えて、アホなことを言い出した。
ほっといたけど、たぶんアレは魔法の詠唱なんだろうな…。
皆の心を纏めて、全員の力を併せた複合魔法なのだろう。
合唱魔法とでも言うのかな?
私だったら恥ずかしいから絶対にやらない…。
そんなことを考えていると、魔力を使いきった皆がバタバタと倒れ伏していく。
それと同時に、地面がヒビ割れ鳴動し始めた。
「ちょっ、マジか!!」
地面の揺れに必死に耐えつつ、周囲を見回してみる。
私たちが防衛している地点と、進行方向の地面だけを残して周囲の地面が抉れて集まっていく。
不自然な地面の抉れ方をコントロールしているのは向島くんだ。
彼は必死に魔力のコントロールをしているようだ。
このように物を作る際、土は綺麗に半円を描く形で周囲の土を使用して作られる。
つまり私たちが立つ地点はほぼ中心になる。
半円の底になって、脱出も困難な状況になってしまうだろう。
それをコントロールしているのが向島くんだ。
普通ではできないことをやっているため目から血涙を流し、口元から血を流しながら必死に押さえ込んでいる。
24人分だしな、普段の何十倍も厳しいのだろう。
そんな私たちの背後に、全高が山のような超巨大ゴーレムが出現する。
何mだろうか?100や200mは越えてる。
その力強く太い手足は、マサムネどころか巨王龍も粉砕できそうなほどだ。
流石は24人の力を併せただけはある。
パーティー4組分もの人数だからな…。
「今です!一気に正面突破!目標の破壊最優先!
雑魚は崖下に叩き落とせ!」
ゴーレムが完成したのか、地震も収まり向島くんが倒れ伏した瞬間に龍桜の号令が響き渡る。
その号令が出る数瞬前には、我らの優秀なメンバーは駆け出していた。
ゲーム開始から約2ヶ月…。ゲーム内時間で240日も過ぎているからな…。
そりゃ、学んで動きも良くなるわ。
「この状態なら天音達も無事だから安心していけるな。
蹴散らして進むぞ!天音達に負けるな!」
パーティーの仲間達と一気に駆け抜けて行こうと足に力を込める。
そこで違和感を覚えた…。
「あれ?誰がゴーレムの操作するんだ?」
召喚したメンバーは全員倒れ伏している。
ただ立ち続ける巨大なゴーレム…。
「あのバカ共…。作るだけで操作できないってどうなんだよ…。」
予想だが、向島くんが操作するはずだったのだろう…。
その彼は現在、無茶と言える魔力の操作と魔力の枯渇によって気絶している。
「まぁいい、お陰で格段に進みやすくなったからな。
今回は大目に見てやるか。」
倒れた天音達と役立たずのゴーレムを置き去りにし、私達は先頭集団を追いかけていく。
出遅れちまったぜ…。
しばらく進んでいくと、先頭集団は既に機械兵の出現スポットへとたどり着いたようだ。
光の柱から湧き出てくる雑魚兵を囲んで、討伐している。
そのスポットの奥に、ボスらしきロボットがギルドの仲間達と死闘を繰り広げていた。
「湧く場所は今いるメンバーで問題なさそうだな…。
ボス討伐するぞ!」