維持出来るよう頑張ろう。
お久しぶりです。
皆様はいかがお過ごしですか?
私はこの半年の間に、労働組合の非正規雇用職員を纏める委員長になってしまいました。
何でこうなった…。
元々予測していたが、上位のギルドを引き込むのは不可能だったか…。
まぁ、想定内だから別に構わない。
PKされない約束を、取り付けられただけマシだ。
あの後、たいして時間もかからずに話し合いは終わった。
隠された情報が上がるとは思ってなかったから、それは問題ない…。
少々痛いのは、第3の情報がほぼ抜き取られたことかな。
まぁ、先行しているからこれくらいは仕方ないか…。
自分達が今後楽になるなら、先行投資だ。
成長する武具の話はなかなか面白かった。
まず、獲得するために実力を見せるために戦って勝つ必要がある。
その後、武具に認められれば装備できるらしい。
必ずしも戦闘力のみではないから、注意が必要だ。
とはいえ、武具である。
判断基準の大半は戦闘力だ。
そうして得た装備は装着者の経験値の一部を吸い取り、装着者に合わせた成長をしていくらしい。
和也は真っ直ぐな性格で直線的な攻撃が多いせいだろう。
武器の剣は直剣で攻撃力重視となっていた。
脚甲はあまり報われてない使われ方をしてるのだろう。
鬼の顔が終始泣いていたのがキモかった。
鬼の目にも涙と言うのかな?微妙に違うか…。
脚甲だけに脚光を浴びたいのだろう。
うん、つまらん。
そのような情報を入手しつつ、話し合いは終わった。
来週一杯使って協力してくれる子達の転職を手伝い、第3に来てもらえるように約束をした。
全員まとめて太古の島に送って、無理矢理Lv上げしてやろう。
そういう先の事はいいとして、これから都市の防衛戦である。
一週間頑張って、レベルも1だけだが上がった。
暇な時間を見繕って、スキルを自分が使いやすいように発展させた。
例えて言うなら、ついにノックバックを一転集中に変化することができた。
と言っても、半径30㎝が5㎝になったくらいの変化でしかない。
微々たる変化のように聞こえるが、ダメージは30~40倍のダメージが出せるようになった。
代わりに、相手が下がる距離が30~40分の1になってしまうがな!
状況に応じて、ノックバックを利用した回避行動を考えないといけなくなった…。
段々と難しくなっていくな…。
それがゲームだから楽しいのだがな!
実感が湧かない人のために例えを出そう。
邪龍マサムネが巨体を支える足で踏みつけてきました。
直径10mほどの巨大な足である。
ほぼ中央で踏まれれば5mほど回避しなくてはいけない。
素早く回避行動をとって、あと2mほど距離が足りないためにノックバックを使用して回避しました。
今までのノックバックなら3mほどずらして、回避可能だったはず…。
しかし発展させたノックバックでは10㎝しか、ずらせませんでした!
うん、踏み潰され死亡確定だな…。
どんなゲームでもそうだが、段々と難しくなっていく。
面白いじゃないか、こんにゃろー!
閑話休題。
細々と準備してきた時間等を省略して、私達は現在都市を守る城壁の外に陣を構えている。
遠くに見えるのは、都市を侵略するための機械兵の集団だ。
イベントのためのフィールドなのか、一定の距離以上は進むことができなくなっている。
「なぁアスタール、前回攻めてきた相手より弱そうに見えるんだが…。」
「都市ランクに合わせてるんじゃない?どう見ても弱そうだよ?」
正面に相対しているのは、ほぼフレームだけの機械兵だ。
申し訳程度に、重要そうな部位を装甲が覆っている。
「これは無双できそうだな…。
そういうのが私は好きなんだよね!」
「うん、昔から知ってる。」
伊達に17年も息子はしてないな。
開始時間に合わせて補助魔法をかけてもらい、警報音と共に進軍を開始する機械兵達。
「さーて、頑張りましょうかね!」
開始の合図のように、警報音が鳴り響く。
蹂躙が始まった。
†
あちらこちらで上がる爆炎。
空からは飛行できる者がスキルを雨霰と降らし、機械兵達を蹴散らしていく。
数ばかりの雑魚の相手は大したことないんだが…。
そう思ってる私に向けて、ミサイルが打ち込まれるのが目にはいる。
「やっべ、解除!!」
私は急ぎオーリとの融合を解除して、普段の姿へと戻る。
縮んでいく私のすぐ上をミサイルが通りすぎていった。
ふう、危ない危ない…。
開始直後に威力はどんなもんかと、一発受けてみたら腕が吹っ飛んだ。
雑魚兵と思って完全に油断してたぜ…。
ソルティのお陰で、無事に腕は元通りとなっている。
それ以来飛んでくるミサイルは、皆必死になって撃ち落としている。
巨大になった私の腕を吹っ飛ばす代物だ。
まともに食らえば5人くらいミンチになってしまうだろう…。
運営!これはR指定しろや!見せれるものじゃないだろ!
それはともかく、ジワジワとこちらが押していっている…。
というか、戦線をどうにか進めてるに過ぎない。
雑魚ばかりだが、数が多すぎる…。
負けないためにも、死ぬことは許されない。
攻めてくる機械兵を蹴散らし、進んでいく。
それにしたがって壁を背にしていた戦いから、四方から囲まれてしまう戦いへとシフトしていく。
中心に防御の弱いメンバーを置き、その外を防御が堅い者で守り続けて移動する…。
相手の攻撃が弱いから、どうにかやっていけているが…。
この状態はかなり厳しいぞ…。
MPの回復速度よりも、消費速度の方が大きいしな…。
「親父、このままだとまた負けそうだね。」
周囲から撃ち込まれる攻撃を必死に捌いてる私に天音が声をかけてきた。
「流石は新しいマップだな。
どこもかしこも、一筋縄でいかないものばかりだ…。
ほら、危ないから中央部に行きな。
流れ弾で必殺されることもあるんだからな。」
必殺されるとは、脳や心臓に攻撃が当たった場合である。
他に首の後ろへ一定以上のダメージとかもあるが、細かいのはまぁ良いだろう。
この部分に攻撃をされると、流石にリアルでも死んだり不随になってしまうからな。
そういう当たり判定をしてるのだと思う。
当たり判定やダメージ算出の考察が攻略に出ていた。
誰か、検証したのだと思うのだが…。
流石の私でも、これは検証したいとも実際に受けたいとも思わない。
怖すぎる!
そんな私の回想を遮りつつ、天音が話しかけてくる。
「大丈夫大丈夫。
そう簡単には当たんないって。
にしても厄介だよね…この状況…。
よし!僕達が道を切り開くから。あとは頼んだよ?」
天音が不安を助長させる一言を発した。
「はぁ?死亡フラグ発言してどうした?
ってか、すぐ解るんだが…。本気でするのか?」
「もう、それしかないでしょ。
このままじゃジリ貧だもん。」
「まぁ、MPが0になっても気絶するだけだからいいが…。
連れていく余裕はないぞ?」
「置いていくしかないね!敗北条件が僕だったら運が悪かったと諦めよう!!」
3000分の1の確率。
僕達ってことは、スレインと二人かな?
まぁ、そうそう当たらないだろう…。
「置いてかれる覚悟できてるなら、良いけどな…。
わかった、頼んだぞ。」
「任せなって!」