攻略するには…。
「結構ヤバい状況になったな…。」
早急にギルドハウスを龍桜に借りてもらい、現在はマスターの執務室で皆で話し合いをしている。
そこで皆に私は口火を切った。
「何がヤバイの?」
命が訊ねてくる。
「今回の襲撃でわかったが、私達だけのギルドでは押し返すほどの地力がない。
襲撃してくる数が多すぎたからな…。」
「ってことは、レベル上げしないとってこと?」
「それもそうだが、転職後の経験値の稼ぎ具合から逆算すると…。
それは現実的じゃないんだよ。」
昼間に狩りの状況を確認しに行っていたキリングドールが答える。
「そうですね、1上げるだけでも1週間くらいかかりそうですもんね。」
「武器関連も、今の武器より少々強いのが作れるくらいだぜ。」
戦斧も調べてくれたことの報告をしてくれる。
「つまり、押し返して都市レベルを下げないためには…。
戦闘に参加する人数をもっと増やさないといけないことがわかった。」
「つまり、後続が来ないとどうしようもないってこと?」
「そうだ。そして最大の問題だが…。
私達は他のギルドと仲が悪い!」
基本的なマナーは守ってきた。
狩り場の独占はしないし、トレインやPKもしてない。
しかし技術や情報の隠匿を行っていたために、他のギルドと差ができてしまいチートだと言われ恨まれるようになってしまった。
移動直前の攻城戦なんて、転職済みの能力を使用して荒らして回ったしな…。
あれが完全にトドメを刺すことになってしまった。
「もしも防衛戦の最中に後ろから刺されるような事態になったら、都市を守るなんてまず不可能だ。」
「関係の修復…。最難関だねぇ…。」
そう、悪いイメージを持たれてしまったら、そう簡単に払拭することはできない…。
とりあえず、安易にPKはしてこないと思うが…しまったなぁ…。
「で、今後はどうするんだ?」
ドラッグスターの問いかけに私は答える。
「第2マップの大規模ギルドに赴いて、友好か不可侵の条約を結ぶしかないと思ってる。」
次点のギルドでも2,000人規模のギルドだ。
彼らが来るだけでも攻勢に出れる。
そこでようやく龍桜が口を開いた。
「では、交渉に行ってきますね。」
「すまん、こういうのはマスターの仕事だから頼むよ…。」
「根気がいることですが、頑張ってみますよ。
期待しないで待っててください。」
「期待させてよ…。」
「第3の攻略はしばらく任せますよ。
まだまだ未知なことが沢山ありますから。」
「あぁ、こっちは任せておけ。」
†
とりあえず話し合いも終わり、ログアウトする。
晩御飯を食べなくてはな。
リビングに到着すると、いきなり腹を殴られた。
「背中にあたしが居るのに、あんなに揺らすなんて…。
覚悟しとけよ!」
覚悟というより前に殴ったのだからチャラにして貰いたい。
まぁ、あんまり効いてないから良いけど。
「にしても、第3は面白いな。」
近未来系のゲームも幾つかしたことがあるが、なかなか斬新だった。
「この後は中央のタワー目指すんだっけ?
どんな感じなのか楽しみだね。」
「そうだな、コレまでのダンジョンとは別物になると思うけど…。
まぁやってみないとわからないな。」
「親父、車の運転させてよ。」
「個人で買って練習したらいいじゃないか。
ちなみに私はハロージョンソンとかいう大型バイクに乗りたい。」
「親父こそ、そういう趣味のは個人で買ってよね!」
リアルで出来ないことを出来るのもゲームの醍醐味だよな。
本日も誠にありがとうございます。