襲撃2
壁を乗り越えて門の内側に戻ると、龍桜達が編成を行っているところだった。
「外で戦ってると思ってましたが…。戻ってくるとは意外ですね。
戦況はどんな感じですか?」
元の姿に戻りつつ、ソルティを下ろして介抱しつつ返事をする。
吐いてはいないが、完全にグロッキー状態だ。
「早急に手助けをお願い。
私達が合流できなかったから、ヒーラーが不足してて危険だ。
相手は埋め尽くすほどのロボットの大群だよ。」
「了解!準備ができたものから順に突撃!
仲間達を助けるんだ!」
門の操作盤に立つNPCへと話しかけ、開けてもらう。
続々と皆が外へと駆け抜けていく。
「んじゃ、私は向かうからバフ頂戴。」
「騎龍ちゃん、後で殴る…。」
ゼーゼーと肩で息をしているソルティに頼んでバフを貰い、前線に駆けていく、
自分でも鬼かと思うが、バフがないと辛いからな。
「オーリはそこで待っとけよ!いい的だからな!」
圧倒的な火力は魅力的だが死んだら困るしな…。
「主よ…。最近我の出番が少ないのではないか?」
フローラよりはあるからいいだろ…。
†
門を抜けた先は乱戦状態となっていた。
「良かった、無事だったか。」
前線を支えてくれる皆が来てくれたお陰で、息子達も一息つけたようだ。
「ヒラ無し猪突猛進はマジ勘弁だわ…。死ぬかと思った…。」
「いや、ソルティはグロッキーだからヒラ無しは変わらんぞ。」
「マジかよ、母さんが居ないとか辛いんだけど…。手が空いてるヒラは誰か居ないの?」
現在は助けてくれた皆に回復してもらったから無傷だが、このままヒラが居ないのは辛いよな…。
「まぁ、ギルドに聞いておくよ。サブヒラの居るパーティーはあるはずだし。」
にしても、流石は転職後に来るマップだな。
1匹1匹が結構強いし数が多い。
そのくせ、経験値はあまり入らなくなった。
ここから成長は緩やかになるだろう…。
しばらくヒラの合流を待っていると、BlueSkyが合流してくれた。
「待たせたね、本職ではないけど騎龍さんのヒラ役なら問題なく勤まると思うよ。」
「助かるよ。しかし、フォーキャスターが離れて問題ないか?」
確かギルド全体へのバフとかがあって、集団戦の補助に特化していたはず…。
戦況を確認できる位置で指示を出すのがベストだったはずだが…。
「次点の子に任せてるから大丈夫ですよ。
経験を積ませて、育ってもらわないと困りますからね。」
確かに、それもそうだな…。
後輩を育てるのも、先輩の大事な仕事だ。
「よし、回復は少々落ちるがバフは充実する。
一気に盛り返すぞ!」
気合いを入れ直し、道具をチェックしたりして手早く準備を進めていく。
「新たに開発した、この盾が火を吹くぜ!」
2枚の盾を合わせて、長い柄を付けた槌のような武器を私は握りしめる。
内部に仕掛けがされていて、当たった衝撃によって爆発を起こすことが出来る。
ただし!
中のカートリッジを入れ換えなければ2回目以降はただの槌でしかない。
「使いにくいわ!」
くそう、大戦槍を作るにはもっと改良しなければ…。
すぐさまアイテムボックスへと収納し、縁が刃になった盾を取り出した。
「親父、相変わらずアホだな…。」
次男が辛辣なことを言ってくるが、あえて無視する。
人によって好みはあるのだろうが、私は素早く連撃を叩き込むのが好みだからな。
変身ができないせいで火力が足りない中、持てる技術を駆使して避けていなして、盾役として皆が攻撃しやすい状況を産み出していく。
目の前に迫るミサイルに対して集中して加速状態で接近を行い、スキルを駆使して斜め上空へと流していく。
「にしても、いつまで戦えばいいんだ…。」
途切れることなく攻めてくる敵。
流石に集中力も切れてくるし、ミスで死亡していく仲間達も居る。
まぁ、死に戻りで数分で復帰してくるんだが…。
そうして戦っている数分後、急に視界が暗転して街中へと出現する。
「なんだ?何が起こった?」
戸惑ってる私に運営からのメールが届いた。
《皆様、本日もご利用誠にありがとうございます。
ランダムで指名させていただいたキング役の松風様の死亡が確認されました。
プレイヤー側の敗北といたしまして、都市のランクを1段階下げさせていただきます。
現在のランクは2となります。
毎週日曜17時からの都市防衛戦を今後ともよろしくお願いします。》
そういうイベントか…。
参戦しなければ、都市のレベルが下がることはないのかな?
次回でも試してみる価値があるな…。
敗北条件のキングはランダムで選ばれるのか…。
簡単に死ぬことができなくなったな…。
とりあえず、皆と合流しよう。
また話し合いをしなければ…。
本日も誠にありがとうございます。