80連合ダンジョン(ただの無双)2
全てを回り終え、最後の扉の前へと集合する。
ここで天音がアホなことを言い出した。
「あ、MPギリギリだからボス戦不参加で!」
久々に腹黒い所を見た気がする。
「お前、そこまで計算して行動してただろう…。」
「そ、そんなことあるわけないじゃないか。」
目線が凄く泳いでた。
ため息が出るが、なにも問題はない。
一人でも倒せる戦力差があるのだからな。
「まあ、ゆっくり眺めていればいい。私一人でも問題ないからな。」
うっかりと口を滑らしてしまった。
「父さんが一人でやるってさ!ゆっくり見てようぜ!」
この兄弟は性格悪いな!
ほんと誰に似たのやら…。
最後の操作をして、塞がれている水の壁を開く。
流れる水量が段々と減っていき、向こう側が透けて見えてくる。
さて、一人で頑張りましょうかね。
ちなみに、あの痛い厨二病発言は完全に転職を終わらせたら出ることがなくなった。
普通に話すことが出来るようになったから、本当によかったと思う。
変わりに頭の中でオーリが騒がしいが、それくらいなら全く問題ない。
私の背後を見てくれたり、得なことが多いからな。
「さて、それでは行ってくるわ。」
「頑張ってねー。」
皆、ボックスから飲み物や食べ物を出して寛ぎはじめていた。
後で覚えてろ、コンニャロー!
水を通りすぎた先には、光が降り注ぎ周囲を青く染め上げる幻想的な空間が広がっている。
扉を潜った先は水で覆われており、足場としてオニバスの葉のようなものが浮かんでいる。
そんな中を進んでいくと、ユラリと水面が揺らいだ。
私は急ぎ、今立っている場所から避難する。
下から足場の葉を破壊しながら、ボスが姿を表してきた。
上半身は人で両手に三ツ又の槍を手にしている。
下半身は海蛇となっており、水中行動もお手の物だろう。
海皇レヴィアタンがその姿を現すのだった。
「さてっと、ソッコーで片付けてやるわ!」
今の私には足場が必要ない。
背の翼で飛び上がり、レヴィアタンへ尻尾を叩きつけて空中に弾き飛ばす。
そのまま息を吸い込み、ブレスによって水面を氷結させていく。
これで、水中へ逃げることはできなくなる。
「15レベル差あるから、ちょろすぎワロタ。」
変身してなかったら攻撃力がない為、勝てないことはその辺に投げ捨てておく。
負けることもないがな!
氷結した水面に無様に落ちるレヴィアタンの頭を、そのままシュートしてダメージを積み重ねる。
良い子は危険だから絶対に真似しないように!
早くもこの段階で、変身するレヴィアタン。
蛇の下半身を脱ぎ去り、下半身が水に覆われた姿へと変わる。
「はいはい、ワロスワロス。」
ブレスを吐き、下半身を凍らせて動きを止める。
動けなくなったところで、熱線を放射してズタズタに切り裂いていく。
ダメージによりうつ伏せに倒れようとするレヴィアタンの背が開いて、中からコウモリの翼を生やした悪魔が出てくる。
3段階目への突入を果たしたようだ。
「強いとは思っていたが、ここまで強くなってるのは予想外だったな。」
レベル差が大きいのも理由になるのだがね。
素早く背後へと回り翼を熱線で切り裂き、地へと追い落とす。
自由落下を始めるその背に取りつき、両腕を極める。
「なんかのコミックで読んだ気がするけどまあいいや。」
とある神の描いたプロレスのコミックで見た気もするが…。
覚えてないのは名前も言えないから仕方ないね。
そのまま氷上へと叩き付け、腰骨と両腕をへし折る。
良い子は本当に真似しないように!
「これで終わりだ!」
ブレスとミニの熱線の混合のブレスを吐き、盛大に爆炎が上がる。
ふっ、楽勝。
皆のもとに戻ると、野次が飛んできた。
息子たちだ。
「転職済みなら1分切ってほしいよね。」
「待機してる時間が長すぎだよね、変身待たなければもっと早く行けたのに。」
父ちゃんもさすがに怒るぞ。
「ふっ、そんなミエミエの煽りしやがって…。
私にもう一回させる気だろうが、ばれてるぞ。」
兄弟で一目散に逃げ去っていった。
あの野郎。
次のマップに行くまでしか出来ない無双だが、楽しんでやりましょうかね!
本日も誠にありがとうございます。