3次転職しよう。5
最前線にて敵を爪で仕留めながら、周囲に危ない者が居たらミニの熱線でサポートしつつ戦っていく。
この調子なら問題なく討伐できそうだな。
そうして戦っていると、近くに戦いながらアスタールが来た。
「お、父さん調子はどうだい?その姿格好いいね。」
…。
どう返事しようかな…。
「絶好調だよ!(敵無し!)」
んーなんか違うが、まぁいいだろう。
「それなら良かった。俺もなかなかいい感じだよ。」
だろうな、天音とのバトルを見てたらわかる。
とはいえ、今は喋りたくないのだ。
どう返そうか悩んでると、普段と違うテンポに息子は疑問を覚えたようだ。
「父さん、なんか変だね?返事を毎回考えてるみたい。」
「そうだね。(然り。)」
「なんか、返事も普段と違う気がする。」
「そうだね。(然り。)」
「そかそか。何が原因かわからないけど頑張ろうね。」
「わかった。(了承した。)」
息子にはバレたようだが、なんとか乗りきった。
その後も喋って問題がなさそうな単語で会話をしていく。
凄く大変だ。さっさと終わらせねば…。
しばらく戦い続け、ようやく最後の一体も仕留める。
あー、ようやく終わった。
最後の試練はパーティー推奨だな。
ソロだと実力次第で負けてしまうな。
倒しきった後、扉がゆっくりと開き始めた。
中には真っ白な階段が見えた。
それを眺めながら、合体を解除する。
他の皆も元の姿へと戻っていった。
そうして扉が開くのを待っていると、龍桜が皆に声をかける。
「皆さん、転職お疲れさまでした。
この階段を上れば終わりとなるでしょう。
では、進んでいきましょう。」
扉に向かって進んでいると、パーティーの皆も集まってくる。
「騎龍ちゃん、さっきはどうしたの?凄く痛かったよ?」
ソルティが傷を抉ってきた。
「あぁ、後でゆっくり話すよ…。」
どうにかしないと、この先やってられない…。
そうして皆でゾロゾロと階段を上っていく。
進んでいくと、周囲に靄が出はじめ、視界が悪くなってくる。
そうして進んでいると、正面を歩いてた者がふいに消えた。
「ふむ、そういう演出か…。」
周囲には私が一人きりだ。
とりあえず上っていくしかないな。
そうして階段を上りきると、雲の上のようなフワフワした空間が広がっていた。
「ほうほう…。こういうパターンなら神か何かが出てくる感じかな。」
それで力を渡されて転職終了するのだろう。
「よし、覚悟完了。何でもこい!」
男神でも女神でもガチムチでもロリババアでも理不尽俺様系でも動物でも何でもこい!
転生物の物語はかなり読んだからな!
そうして待っていると風が吹き荒れ始める。
私に力を与えてくれる存在が近づいて来てるのだろう。
どこからか音楽も聞こえてきた。
『たーらこー♪たーらこー♪たーっぷーりーたーらこー♪』
…。
威厳もくそもねぇ…。
数秒後音楽が止まり、なんか喧嘩してる声が聞こえてくる。
荘厳な音楽をかけて、威厳がどうのこうのとか聞こえるが…。
今更すぎる…。
音楽を変えてやり直すとか聞こえてきた。
これは、知らないフリをするべきなんだろうな…。
そうして待っていると、風が吹き始める。
初回と違い、2回目は鳥の羽がヒラヒラと上空より降ってきた。
続いての曲はダース・ベイダーであった…。
もう、そのまま進めようと思ったのだろう。音楽は流れたまま、全てを諦めた顔で男性が降りてきた。
真っ白な翼を持ち、トーガを纏った若い男性だ。
私はその場に膝をつき、祈りを捧げるポーズを取った。
「よくぞここまで来ました、勇気ある者よ。
貴方にはこれより、次なる世界へと向かう力を与えます。」
「感謝いたします。」
バックで流れる音楽が全てをぶち壊しにしてくれる。
それはともかく彼が私の頭に触れ、力の解放が始まる。
様々な技術が頭に入ってくる。
これまで上手く出来なかったスキルの変化も、ここからは簡単に出来るようになるようだ。
「では、これで貴方は次の段階へと進むことができます。
これからも頑張ってください。」
その言葉の後、光が溢れて私の視界は真っ白に染まっていった。
やっと、転職が終わり帰れるのだろう。
かなり長い時間がかかったなぁ…。
いや、1日で終わったことを喜ぶべきだな。
本日も誠にありがとうございます。