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親父と家族のVRMMO日記  作者: 只野御夜市
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3次転職しよう。3

すべて終わらせて、ようやく最初の場所に戻ったら全員終わっていた。

私達が一番最後だったようである。

「父さんお帰り。結構時間がかかったようだね。」

私達の帰還に気づいたアスタールが声をかけてくる。

「あぁ、結構頭を使うのが多くてね。」

「ふーん、まぁご苦労様。生産組が作業を終えるまで、食事をしたりして休んだらいいよ。」

「そうさせてもらうよ。」


あちこち巡って疲れたので、咲き誇る花を眺めながら食事を済ませ、横になる。

涼しい風が心地好い。

たまにはこうするのも良いな。

今度の休みはゲームじゃなくて、家族でピクニックでもしようかと思う。


そうして微睡んでいると、ソルティが声をかけてきた。

「騎龍ちゃん、生産が終わったみたいだよ。」

「ん…。そかそか。んじゃ、頑張りましょう。」

出来上がった武器等を受けとり、祠へと奉納しに行く。

人数が人数だから溢れないか心配したが、置いたら消えた。

ゲームですなぁ…。


「では、果実を食べて討伐に向かいましょう。準備はいいですね?」

龍桜が皆にそう声を掛ける。

龍桜の一言で皆の緊張した空気が伝わってくる。

ちなみに息子二人はそんなこと関係ないとばかりに、なにか話しては笑いあっていた。

仲がよくて何よりだが、人の話は聞け。


黄金の果実は、最初に全ての試練をクリアした者が採ってきたから、既に準備されている。

ゲームらしく、採った数秒後には再び実っている黄金の果実だ。

1500人が採ったら、丸ハゲの木が残りましたとかじゃなくて良かった。


果実を手にし、ここまでの道を思い返して感慨深いと思う。

よくある物語の人間を辞める経験が出来るなんて…。

ゲームって素晴らしい!

そう思ってると、何処かから叫びが聞こえてきた。

「俺は人間を辞めるぞ!」

実行する奴がやっぱり居たか。

居なかったら、ネタで私がやっていたところだ。


かじると甘酸っぱい味が口に広がった。

例えるなら、苺と檸檬を足して割ったような甘酸っぱさだ。

その瞬間、私の頭に膨大な知識が流れ込んできた。

その中身は主に自分の事であったが、私がこれまで頑張ってきたことは間違いであったのだと思わせる内容であった。


ただし、途中で知識の流入が止まる。

3次転職が完全に終わってないせいだろう。

それでも、これまでの数倍の戦闘力が発揮できる自信がある。

しかし、そこで不安になってきた。

ここまで強力にならねばクリア出来ないほど、最後の番人は強いという予想がたつ。


知識の流入が終わり落ち着いて周囲を眺めると、倒れ伏しているものが数十人転がっていた。

知識の量に耐えきれず、頭痛や吐き気で倒れ伏したようだ。

倒れ伏したのはソルティも一緒だ。

ゲームに慣れ親しんでなかったので、耐えきれなかったのだろう。


ここで暫しの休憩となった。

まだ昼過ぎだから、少々休んでも問題はない。

ソルティに膝枕でもしながら、頭を撫でてやる。

何年ぶりだ?こんなことするなんて…。


ちなみに息子二人はピンピンしている。

それどころか、進化した内容の確認のために決闘なんぞを始めやがった。

スタートした瞬間、アスタールは輝きと共に今までとは全く違う全身鎧姿となる。

黄金に輝く鎧を纏い、背には深紅のマントが靡いている。

その手には黄金に輝く大剣が握られ、一騎当千の威風の戦士の姿がそこにあった。


対する天音は髪が一瞬で腰に届くほど伸び、銀色に髪が輝き始めた。

膨大な魔力を表すように下から空気が巻き起こり、瞬間的に天音の姿を砂煙が覆い隠す。

砂煙が晴れると、そこには手にする杖が銀に輝き中央に深紅の宝石が据えられた華麗な杖へと変化する。

衣装は黒がベースは変わらないが、細かく複雑でありながら見るものを引き込む魔方陣が無数に刻まれた衣装へと変化する。


二人とも格好いいな!


変化が終わった瞬間、双方共に行動を開始した。

目にも止まらぬほどの素早さでアスタールが踏み込む。

それを見越していたのであろう、天音が消え去りアスタールの背後に回った。

それを気配で察知したアスタールが振り向きながら剣を振る。

ショックウェーブを放ったのだと思うが、今までの数倍の威力を持っていた。


それを迎え撃つは数百発に及ぶ様々な種類の魔法。

魔力球・フレイムランス・空間裂傷・魔剣召喚。

幾つもの魔法が飛び出し相殺するどころか、ウェーブを打ち消しアスタールへと襲いかかる。


眼前に迫る魔法の数々に慌てることなくアスタールが暴風へと化す。

これまでのオーラブレードの数倍の太さの剣が縦横無尽に凪ぎ払われ、魔法を掻き消していく。

これまでの攻防は5秒にも満たぬ時間で行われている。

本気で人間辞めてるなコイツら。


そんな二人を見たせいか、周囲では決闘が多発していく。

決闘するのはいいが、疲れすぎないように注意するんだぞ。

そんな周囲を見ていると、ソルティが声をかけてきた。

「騎龍ちゃん、私なんか気にしないで戦ってきてもいいんだよ?」

「別に気にしないでいいよ、能力の把握は十分できている。

周囲が戦ってるのを眺めながら、イメージトレーニングで十分だよ。」

「大抵そっけないのに、たまには優しいよね。」

「嫁に優しいのは普通だろ。」

私の一言で照れたのか、真っ赤になって顔を背けた。

15年前なら可愛かったが今更だよな…。


しばし、そうして平和な時間が流れていく。

決闘してるから平和ではないのかもしれないが、それは置いておく。

「では、全員集合!

休息も十分に取ったでしょう。これより番人の討伐へと向かいます!

各人、油断せぬようよろしくお願いします!」

龍桜の一言により、周囲の空気が一瞬で変わった。

冷たく肌を刺すような緊張感に身が引き締まる思いである。


さてさて、相手はどんな姿をしているのだろう、どんな攻撃をしてくるのだろう。

3次転職が終わったらどれ程強くなれるのだろう。

楽しくなってきた!

本日も誠にありがとうございます。

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