3次転職しよう。2
さてさて、残すところは私達龍騎士組の素材集めだ。
「ところでオーリ。同族を倒すことになるのだが、忌避感とかないのか?」
「うーむ、特には無いな。我もそうだが再び甦るだろ?
そのせいなのか、特にそういう感情は抱かぬ。」
ほんと、どういう処理ルーチン組んでるんだ?
甦るのが前提で理解してるとか…。
とりあえず問題ないようなので、天音の出す門で移動して私達の採集を進めていくことにする。
しかし、ここで少々誤算が生じる。
飛竜を倒して皮膜を集めるまでは問題なかったが、その後が問題であった。
地龍を討伐しようと移動をし、谷の底に降りたら驚いた。
人くらいのサイズのがウジャウジャと底を覆い尽くすくらいに生息していた。
多分、万を越える数が居るだろう。
それらを安全に魔法で討伐して素材を回収しようとしたら、ドロップをバリバリと食い散らかしてくれた。
それならばと手法を変えて下に降りて、近接で倒そうとした。
そしたら集まって来すぎて、逃げ出すはめになった。
スーパーのバーゲンに群がる奥様達のように、鬼気迫る勢いであった。
あれはヤバイ…。
「えっと…。討伐は魔法の遠距離で問題ないのだが…。
素材の回収どうしよう…。」
本気で悩んでしまう。
ただ、これだけは確信をもって言える。
相変わらず、私の進路はハードモード確定であるようだ…。
悩んでいる私に
「親父、他の皆に頼ったら?」
「確かに1500人でやれば行けるが、負けた気がするから嫌だなぁ…。」
これってソロやパーティー用なはずだし…。
「あっ、気づいた!オーリが居るじゃん!」
忘れかけていたが、これって龍騎士の転職だわ。
オーリに跨がり、地龍達に上空から襲いかかる。
素早く1匹を捕まえて、討伐を行った。
「よし、時間はかかるがこの手段で素材が集められる。」
素早く捕まえて仲間の所に地龍を放り投げ、討伐してもらってる間に次のを捕まえに行く。
相変わらず自由度が高いゲームだな。
それとも、この行動は運営の与えた答えか?
多分その通りだろう。
続いて向かった火龍の所では、普通に全長15m位の相手であった。
問題なく討伐をし、角を確保した後が問題であった。
しばらく時間が経過すると、火龍の角であるせいか熱でボロボロと崩れていくという現象が起こった。
この答えを見つけるのは、かなり苦労した。
数回ほど討伐をして、崩れていく角を見ても意味が解らなかった。
その後、経過観察をすることによってようやく答えが出た。
火龍であるせいか、ドロップで獲得した後に段々と熱くなっていくのだ。
多分、冷却処理をしないと熱が高くなりすぎて崩壊するのだろう。
それに対する一番簡単な答えがこれだ。
龍の角に角を被せる。
私自身がこの答えに至ったのは、瞬間的な閃きでしかない。
火龍の角の中身が空洞なのを見て、閃いただけである。
ただ、それが正解だったのだというだけだ。
オーリは熱いとか屈辱だとか言っていたが、転職&進化するのに必要だと言って納得させた。
ちなみに、風龍に進化した速度特化の個体は風を操って温度を下げていた。
逆に、氷のブレスを吐きながらも攻撃方面に特化したオーリには少々辛かったのだろう。
熱線を吐くミニの方に角を被せていた。
ミニも自分自身じゃなかったっけ?
更にちなみにだが、もう1匹はごく普通に育っている。
火のブレスを吐き、固い鱗に守られ、ほぼ全てに高めの耐性がある。
オーリのように繭になったりしない、一般に想像される火龍である。
ウチのオーリが個性的すぎるから、そっちが微妙に羨ましく思う。
閑話休題
その次の海龍も、一筋縄では行かなかった。
討伐してドロップの回収をした後に段々と鱗が振動しはじめ、数分後には自身の発する振動によって崩れ去ってしまうのである。
先程の火龍のように、オーリにくっつけても意味がなかった。
途方にくれつつ、オーリを見つめる。どこかに答えがあるはずだからだ。
「そんなに見つめるでない。照れるであろう。」
等と言っていたが無視した。
そうして見つめていて、ようやく閃いた。
振動するのだから、何かで吸収して拡散すればいいのではないかと思ったのだ。
とりあえず口内で保管させてもらうことにしたが、ダメだった。
溶けてしまうのである。
それならばと、鬣に埋もれさせたらなんとか保管できることがわかった。
鬣を数十本ほど抜き、それで包むことによって回収できた。
「口内を汚され、鬣まで抜かれ、角に角を被され…。
全身汚された気分だ…。」
とオーリが言って泣いていた。ほんと申し訳ない。
最後の骨が一番簡単だった。
理由はわからないがボックスに収納できず、すごく重いので持ち運ぶことができなかったので、オーリに持たせたら軽々と持てた。
なんらかの魔法でも働いているのだろう。
これらの進行から推測するに、私達龍騎士の試練は主に龍との絆を試されているのだと思う。
オーリが泣くほど嫌がることを、実行させるほどの繋がり。
逆に言うなら、イジメだよなこれ…。
運営は何を考えているのだろう…。
口内に入れたのは私が原因だけどな!
本日も誠にありがとうございます。