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親父と家族のVRMMO日記  作者: 只野御夜市
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火山の探索。

さてさて、とりあえず皆に助けを求めるギルチャを送っておくか。

『火山中腹に洞窟有り。ベースから真っ直ぐ上がった付近。原始人が居て、ウッドが拐われました。至急ヘルプ願います。』

これでヨシッと。

「では物音をたてないようにしつつ、急いで助けに向かうよ。」

「了解。」

視界の片隅のチャット欄に了解の文字が流れるのを見つつ、素早く行動を開始しようとするが、そこで悪手に気づいてしまった。


「しまったな、斥候をする盗賊職が二人とも居なくなってしまった…。」

「いいじゃん、親父が漢探知すれば。」

「原始人が罠を用いるとは思えないから、まぁいいか…。」

無いものをねだっても仕方ない。


私が先頭で少し進むと、予想通りに横道が見つかる。

「んっと…。あぁ、やっぱりあったか。ここじゃないね。」

周囲を観察して、否定する材料を見つけてスルーしようとすると、ソルティが訊ねてくる。

「なんで違うのがわかるの?」

「理由は簡単。キリングドールの入った足跡と出た足跡が残ってるからだよ。」

どちらも一足分しかないが、意図的に残したのが分かりやすくクッキリとついてる。

「合図決めてなかったよね?なのによくわかったね。」

「これくらい普通の範囲だろ。」

他にも合図なんて幾らでもある。

入ったときに線を一本だけ引いて、違ったら交差して線を引く。

それだけで違うという意味の合図とかな。


そんな調子で、音をたてないように進んでいく。

2箇所ほど同じように合図を見つけてスルーして進んでいく。

駆け抜けていくキリングドールと、音をたてないようにゆっくり進む私達では、やはり速度に差があるようだ。


そうして進んで見つけた路地に、確定できるマークを発見した。

「あぁ、ダブルでマークがあるわ。ここで確定だね。」

「ダブル?」

「入った後しかないキリングドールの足跡と、この血痕。

暴れて殴られたのか自分でやったのかはわからないけど、これはウッドので確定だよ。」

「よくわかるね。あたしだとわかんないや…。」

「そこだけは、ソルティが拐われなくてよかったと思うよ。」

咲夜やナナミが拐われた場合でも、こんな合図は残らないだろうなぁ…。

息子兄弟には様々な小説を読ませてるから、なんらかの合図が残されるだろう。

どこかの身体は子供、頭脳は大人のアニメとか飽きるほど見せたし…。


そうして横道に入り込み、進んでいってると違和感を感じた。

何か引っ掛かる…。

「ちょいまって、何か引っ掛かる…。」

「父さん、どうしたの?」

「いや、ここにウッドが入ったのは確定なんだよ…。」

「うん、血痕が少しの間続いてたもんね?」

「なら、なぜキリングドールが…。あぁ!わかった!」

「父さん、大声出さないで。見つかる。そこまで言えば俺もわかったから…。」

「何がどうなってるの?」

ソルティはわからないようだ。

わかってるのは、私と息子二人だけらしい。

他のメンバー全員の頭にクエスチョンが見える。

そんな皆に私は告げる。


「キリングドールも拐われて生け贄フラグだわ。」


厄介なことに気づいてしまった。

相手の原始人は隠密スキルだけなら、少なくともウッドにバレないレベルを持っているのだ。

犬の鼻を装備してるエクスプローラーであるウッドに、気配を感じさせずに拐うことが出来るほどの隠密能力だ。

「あっ!上注意!」

この時気付いたことすらフラグだ。

こうして気づいたときに襲撃を受けるのはよくある。


数秒ほど上を警戒してるが、何も起こらない。

「父さん、杞憂じゃないの?」

「いや、絶体に何処かに居る!物音がたっても構わない!

攻撃が届く範囲でいいから、隙間なく攻撃を打ち込め!」

「わかった、僕だけでいいよ。静かにした方がいいんでしょ?」

天音が一瞬にして魔力球を周囲に100ほど展開してクルクルと維持していく。

「今更だが、そうしてもらえると助かる。」

油断せず天井に視線を向けながら、私は指示を出した。


天音が魔力球を展開したのに反応したのか、天井と思っていた岩肌が身動きした気がする。

「天音!」

「わかってる!」

動きがあったと思われる地点に10発くらい。

それ以外の地点には1~2発程度の魔力球が撃ち込まれていく。

そうして攻撃した地点から穴だらけの原始人がボタボタと落下してくる。

やっぱり居たか…。

天井に逆さまに張り付いているなんて、どこの死刑囚だ?


当たり所がよかったのか、軽傷の原始人が立ち上がって槍をこちらに向けてくる。

知能も技術も無く、傷だらけの相手に正面から相対しても、全く怖くない。

狙いも定まっていない槍を私は軽やかに避けていく。

「よっ、ほっ、よいしょっと。」

私は攻撃を引き付けるために前に出つつ、意識を加速状態に切り替えながら、相手の振るわれる攻撃を捌きつつ、武器を押さえ込んでいく。


原始人の行動の悪い点は、武器に頼りすぎだ。

私に押さえ込まれた石槍を引き抜こうとして、力を込める。

相手が力を込めた瞬間に、私は石槍を解放してやる。

すると、尻餅を突きながら無防備な原始人が出来上がる。

そこに仲間たちから攻撃が多数撃ち込まれ、物言わぬ骸が量産されていく。


「よし、片付いたことだし急ごう。」

もう、ここまで来たら何かが復活するのは確定だ。

相手は何が出てくるか…。

クリアできればいいんだけどな…。

本日も誠にありがとうございます。

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