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親父と家族のVRMMO日記  作者: 只野御夜市
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絶海の孤島2

声のした方に駆けつけると、広々とした草原が広がっていた。

そこを一生懸命に逃げている命達のパーティー。

その背後にはティラノサウルスが追いかけてきている。

ってか、あれって本当にティラノサウルスか?

身体から放電してるし、光のオーラみたいなのを纏っている。

命達だけでなく、周囲にいる他の恐竜達も一目散に逃げている。


「命!こっちだ!天音はあそこの恐竜を転ばせろ!生け贄だ!」

近くを走るイグアノドンの足を傷つけ、転倒させるよう指示を出す。

コイツに食いついてくれれば良いんだが…。

「ありがとう、助かる!」

駆け抜けながら、命が礼を言ってくる。

「礼は後!逃げ切ってからでいい!森に逃げるぞ!」

私達も一目散に逃げる。

チラリと目をやると、イグアノドンに食いついているのが見えた。

とりあえず、ひと安心だな…。


「ふぅ、無事で何よりだよ。」

「騎龍さん、マジ怖かったよー!」

こいつはなに言ってるんだ?マサムネの相手とかしてたじゃないか。

アイツの方がもっとでかい。

現在、森に逃げ込んで休息中だ。

にしても、生息域も時代も関係なく詰め込まれてる感じだな。

さすがはゲーム。


「騎龍さん、囲まれてるっす!」

そうして休んでると、ウッドが注意を促してくる。

「ヒーラーを中心に据えて警戒!」

油断なく周囲を伺っていると、ラプトルが顔を出してくる。

「あー、これは回避不可だな…。」

周囲から20匹近い数のラプトルが近づいてくる。

「殲滅するぞ!」


最近修得できはじめた意識の加速状態に持っていく。

1秒が2秒に感じる程度でしかないが、認識時間が倍になるのは強みだ。

この状態に入ると、会話をしにくいからあまり発動したくないがな…。

足に力が入り、飛びかかってくるのがスローで確認できる。

すれ違うように、首筋に向けて盾を振るうが火花が散る。

「マジかよ、私の攻撃力だと防御すら抜けないのか?」

こいつら、レベルいくつだ?

とりあえず、最低保証で50くらいのダメージは入る。

塵も積もれば山となる。やるしかないな…。


「ヘイト!プロボック!ヘイトオーラ!ディフェンスライン!カバーリング!カバームーブ!」

複数のスキルを用いて、私にターゲットを向けさせる。

全員が近くに来た時点でエリアシールを行う。直径6mの範囲に20匹とか、ミッチミチだ。

「しくった、避けようがない!」

いや、相手も攻撃のしようがないからまだましか?

爪の代わりに、口でつつかれまくる。

「いだっ、ちょ!髪はやめろ!」

禿げたらどうするの!


周囲を取り囲み、皆が攻撃をしていく。

「こら、天音!また範囲すんな!」

まったく自分的に面白いと思っても、他の人はしらける行動の典型だな…。

皆は私と違い最低ダメージではない。ちゃんとダメージを積み重ねて1匹ずつ倒していく。

「親父!こいつら異常に硬すぎる!」

アタッカーである天音やアスタールの攻撃力も、やっぱり大分削がれるようだ。

かなりレベルが高いのだろう。

マジ、嫌なとこに飛ばされたもんだ。


時間はかかったが、どうにか倒しきり帰路へとつく。

強すぎる相手に皆は暗い顔をしている。

そんな中、命が話しかけてくる。

「騎龍さん、俺たち生きて帰れるかな…。」

「は?ゲームだよ?まず死ぬことがない。」

「そういう意味じゃないってわかってるよね?」

空気を和まそうとしたが、失敗したようだ。


「真面目な話、レベル上げは絶対に必要だな。

ここは強すぎる。せめて20位は上げないと辛い。」

「だよね…。」

「多分ティラノサウルスを倒せばクリアなんだろうけど、今はまったく勝てる見込みがない。」

尻尾でも牙でも、1撃で即死してしまいそうだ…。

盾なら尻尾の一撃くらいは止めれるかな?


「まぁ、たまたまとはいえギルドの中心メンバー70人が揃ってるから少々時間はかかるけど、いずれクリアできるよ。」

「いずれっていつだよ…。」

命の心が折れかかっているな。

なにか奮起するネタを与えてやる気を上げなければな。

「こんだけ苦労しそうなダンジョンだ。いいものが手に入りそうだな。」

「そんなのいいから、帰りたい…。」

「オッケーオッケー、とりあえず帰ろう。

暖かいご飯を食べて、一眠りしよう。それからまた頑張ろう。」

「頑張れないよ…。」

まったく、この程度でやわだな。


キャンプに到着すると、すでに簡単な葉っぱの屋根のみとはいえ建物がいくつか出来上がっていた。

他の探索要員も無事に帰還したらしい。


「騎龍さんお帰り。どうでした?」

「あー、割りと最悪だね。」

質問してきた龍桜に答える。

「とりあえず、負傷者もなく帰ってきたのは流石ですよ。他の組は1人以上死んでますから。」

「それは私の手柄じゃないよ、ウッドが敵を見つけてくれたからだよ。」

挨拶もそこそこに、考察に入ろう。


「そんなことよりも、クリア条件かもしれないやつは見つけた。」

「この恐竜だらけの大陸ですからね、私も予想ができますよ。」

「うん、たぶんティラノサウルスだ。」

「やっぱりですか。一番有名といっても過言ではないですしね…。

モブの強さから考えると、20以上はレベル上げないと行けませんね…。」

「30上げるかもよ?」

「つまり、レベルの上限は100以上ですか…。」

「そこは元々予想の範囲内だから問題ないよ。」


「とりあえず、日々の狩りでレベルを上げないとTーREXには行けませんね。」

「まぁ相手のレベルが高いお陰で、レベルは上げやすいのがいい点だな。」

「よし、そうと決まれば頑張って上げていきましょう!」

「それよりも、命のケアが最優先だ。心理的負担で完全に潰れている。」

「あの明るい命がですか…。とりあえず、話をしてきます。」

「頼んだよ、マスター。」


さて、この島からどうにか抜けださなくてはな…。

一生懸命にレベルを上げよう。

本日も誠にありがとうございます。

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