70連合ダンジョン4
階段を昇りきると、豪奢な氷の彫刻が立ち並ぶ広間へと到着する。
キラキラと反射する氷の城はとても美しい。
奥には氷でできた美しい装飾の入った玉座があり、そこにフレイヤが座っていた。
「ふむ、余の宮殿に侵入した不埒な者共はそなた等か…。」
青い髪の物憂げな表情の美女、フレイヤが声をかけてくる。
んー、虎と卯に出てくる氷の人みたいな見た目だな。
その衣装は深い青をベースとして白いレースや宝石に縁取られて、とても美しいドレスとなっている。
玉座より立ち上がり、ふわりと浮かび上がるフレイヤ。
「今です!一斉攻撃!」
キリングドールが指示を飛ばす。
っておい!
突っ込もうかと思ったが、私には反論できないか…。
息子達がやったとはいえ、ダテマサムネに私も同じことをやったのだから…。
気を取り直して、いつフレイヤが爆炎を潜り抜けて攻撃してきてもいいように、近づいて構えておく。
他の盾達も同様だ。
しっかりと集中し目を凝らしていると、爆炎の中から2筋の青い炎が飛んできて、近くの盾職仲間をを吹き飛ばした。
うむうむ、身をもって守ってこそ盾だ!
成長しているようで、おじちゃんは嬉しいぞ!
名前の由来はこの瞬間解った。
見た目は炎のように見えるのに、防御した盾が凍りついている。
まったく、このゲームは面白いな。
「緩めず、攻撃せよ!」
キリングドールの指示が飛ぶ。
爆炎の中からは炎が次々に射出されてくるのを、身をもって防ぐ。
ありえないのだが、このまま終わったら面白いんだけど…。
そうして前方に注意してる私の後方でキリングドールの声が聞こえる。
「散開!」
他の盾達も一斉に走り出すのに合わせて、私も駆けていく。
何が起こっているのかよく解らないが、皆と同じ行動してれば問題ないはず!
壁付近まで下がった盾達が後方の仲間を守るように戦線を構築しているので、同じように守りの体制に入る。
そこでようやく気がついた。
さっきまで皆が攻撃していた位置の真上に、巨大な青い炎が燃え盛っていた。
その炎が雪崩のように崩れ落ち、さっきまで居た付近に降り注ぐ。
あそこにいたら、全滅コースだったな。
「妾を誰と思っての狼藉か!!」
ぶち切れてるのか、一人称が変わってるぞ。
風が吹き荒れ、フレイヤの姿が露になる。寒いので止めていただきたい…。
二段階へと移行したのか衣装がドレスじゃなく、背部に日輪のような輪を背負い鎧を着込んだ姿へと変わる。
「全てを、世界を凍てつかせてやるわ!!」
私が指揮してたらここでこう言っていただろう。
「夏場のみでお願いします!」
指揮してないから、黙っているがな!
「タンクの皆さんには毎回申し訳ないですが、耐えてください!
他の皆さんは隙をついて攻撃!」
キリングドールの指示が出る。
その瞬間、これまでの攻撃の数倍に及ぶ苛烈な攻撃が叩き込まれる。
私達の後方に居るメンバーは出来る限り攻撃を受けないために、ギチギチに身を寄せあっている。
そうして集まった皆を守る為に、盾職達は被弾したものは入れ替わって回復を受けながら耐えていく。
凍って寒い…。ファイアウォール等の長時間維持できる魔法を展開してくれるが、当たったところが凍るからマジきつい。
日輪が回転し、青い炎の球が雨霰と降り注ぐ。
それと交差するように、こちらからも激しい攻撃が撃ち込まれていく。
「オーリもミニも応戦しろ!風系の魔法が使える人はフレイヤの方に風を吹かせてくれ!」
風が吹いて寒いが、そんなこと言ってられない。
「我のブレスは氷系だが良いのか?」
「撃ってダメなら止めればいい!」
水系の魔法でもダメージ受けてるようだから大丈夫だろ。
そんな調子で戦い続けていくと、3段階目に移行していく。
「妾を…。妾に狼藉を働きおって!万死に値する!」
すんません、1万回死んだらレベルが下がりまくるのでイヤです!
どこからともなく周囲から氷塊がフレイヤへと集まり、氷の巨人へと変貌する。
見た目は美人なままがよかったのだが、残念だな。
「接近して倒してください!」
これまで離れて戦っていた鬱憤が溜まった近接職達が、駆けていく。
先頭はキリングドールだ。
まったく、雄々しいな。
今までシステムだと納得していたが、仲間の魔法が当たるのは不便だ…。
運営にどうにかできないか、皆で嘆願書を出さないとな。
出来なければ、仕方ないから納得するがな。
3段階目のフレイヤは盛大に暴れまくった。
殴る蹴るだけでなく氷塊が飛んでくるわ、巨大な手が床から生えて打ち上げられるわ…。
死ぬかと思った。
こないだステが上がる宝石を入れまくったから、HP的には問題なく盾役が出来たと思う。
ゲーム的には全然問題なかったが、寒いのは本当にダメだ…。
次回のためにきちんと準備しておこう…。
そんなこんなで色々あったが、楽しくフレイヤ討伐は出来た。
倒れ伏したフレイヤがきらきらと光の粒となって消え、外の暗雲が晴れたのだろうか、光で宮殿が輝きだして幻想的な風景となっていた。
次はどんなダンジョンかな!
一応今でも行けるが、もっとレベルをあげてから80とかは挑戦したいな。
本日も誠にありがとうございます。