第二マップへ行こう。
疲れた体に鞭打って片付けをしていく。
ほんと、こんなに苦労するとは思わなかった。
普通の盾ならもっとスマートに行けただろうに…。
皆が解体している間に、散乱した物をボックスに入れていく。
最初に武器が持てなかったことで気づいたんだが、ボックスの中身は特に重量制限がないようである。
それがなかったら、食い止める手段が思い付かなかった。
ちなみに、解体には参加させてもらえない。
DEXが低いので素材が傷んだり、LUKが低いので良いものが出なかったりするので仕方ない。
「なにか、良さそうなのは出たか?」
「これくらいかな?」
青く光る珠を見せてくる。
ただのクリア報酬か、何かの宝珠かな?
まあそんなものだろう。
後々、鑑定してもらう必要があるだろうから取り敢えずウェストバッグに入れておくか。
「それじゃあ次のマップへ進むか。とりあえず、私は休みたい。」
同意する三人と共に、次のマップへのポイントをくぐるのだった。
「お、あんたらで9組目だね~。ご苦労様~。」
ポイントをくぐった先に1人の少年が木箱に腰かけていた。
9組目?予想よりかなり早くクリアできたようだな。
100や200いってると思ってた。どうかすれば、1000。
前線からは、どうにか離れないですんだようである。むしろ、トップクラスだ。
「ああ、ありがとう。ところで何故こんなとこに居るんだ?」
「俺さ~最初にクリアしたパーティーのメンバーなんだけど、睡眠やリアル食事の為に交代で休んでるとこなんだよね。」
たしかに、それは大事だ。
「んでさ~その間に俺達の後にクリアしてきた人をギルドに誘ってるってわけ。あんたらもどう?」
かなり、ありがたい話のように思う。
マスターなんて柄じゃないし、仕事がある。
あと四人もパーティーに枠があるのだし、この先に進むならこの申し出を受けるのも有りだろう。
「ということは、攻略の為のギルドってことか…。まずは仲間と話し合いした結果次第だな。その後はソッチのメンバーと会って話してみてからかな。」
「オッケー、それで問題ないよ。大体はそんな返事だしね。」
木箱から降りて、私の前に少年が来る。
「オレはソウマ、フレンド送るからメールででも返事くれればいいよ。」
「私は騎龍だ。そんなに待たせないと思う。」
フレンドの承認が浮かぶので、承認する。
そういえば、戦斧とのフレンド忘れてた。
「にしても、面白い構成だね。軽戦士かな?それに両手剣の戦士に魔法使いと僧侶。盾役いないでしかも4人でクリアできるなんて、よほどプレイヤースキルが高いのかな?」
「ん~、まぁ秘密だ」
端から見たらそう見えるのだろう。
ステータスがおかしいからこんな装備なんて、絶対に言えない。
「あ、わかった。騎龍さんが高機動でヘイト稼いで避けまくるんだね。怒り状態になると、時々ターゲット変わるから全員AGI高くしてるんじゃないかな?」
ターゲットが変わるなんて初耳である。情報の公開が部分的だったのだろう。
無理矢理力ずくで押さえ込んだなんて言えない。
「まあ、実際にギルド組んだら教えるよ。それまでは秘密だ。」
「ざんね~ん、まあ上手い人は沢山欲しいからね、頼んだよ~。ソロで攻略した猛者にはふられちゃったしね。」
ソロで攻略か、プレイヤースキルが高いのか、抜け道でも見つけたのだろう。
「ああ、またあとで連絡するよ。疲れたから少し休ませてもらう。」
そう告げ、ソウマと別れる。
まだ、到着してるプレイヤーが少ないので閑散とした町を歩く。
周囲に空き地もかなり多い。
ここは多分プレイヤーが色々と建てられるマップなのだろう。
宿を見つけて部屋を取る。
装備もろくに外さず、私はベッドに倒れこんだ。
「あー疲れた。やっと休める。」
「ほんと、ご苦労様。」
そんな私にソルティが優しく告げる。
魔法で傷は消えたが、疲れは休まないと取れないからな。
「それはそれとして親父、ギルドどうするの?受けるの?」
天音、もう少し休ませてくれてもいいじゃないか。
「先々を考えたらメリット多いからな。相手と話して、良さそうなら入ろうと思ってるよ。」
「親父の秘密バレたら、親父だけハブられたりしないかな?」
「その程度の器なら抜けるだけだろ。家族だけでもやっていける。」
序盤なんだから、まだまだ可能性は沢山ある。
ステータスの振り方はどうしようか…。
ここのマップの敵を見てから考えればいいか。
ヘイトの文字がまともに書かれるようになるには、どのステータスをどれだけ上げたらいいのだろうか…。
考えることが多い。魔法耐性も欲しい。
そうだ、毒や麻痺の耐性スキルも欲しいな。
グレートドックを倒してレベル上がったからステータスの確認もしないとな…。
寝転んでいると、眠くなってきた。
布団の誘惑に負けそうだ。いや、負けた。十分頑張ったから休んでもいいよね!
「とりあえず休もう。そのあと道具の補充をして狩りしようか。少し寝る、二時間位したら起こしてくれ。」
「あいよ、散策でもするわ。」
もう限界だ。
数分もせずに、私の意識は微睡みの中に溶けていった。
ゲームなのに寝れるのは凄く不思議な気分だった。
楽しんでますか?
私は楽しんでます!