古い仲間。
これから古い仲間と数年ぶりに会うので、家族とは今日は別行動。
どんなキャラやっているんだろう?当時は女キャラばかり使っていたな…。
まぁ、私もそうだったんだがな。
そんなこんなでイロイロ悩んだ末に 大半の人に都合の良いライクスの街で会うことにした。
暫し待っていると、可愛らしい声が聞こえてきた…。
「只野!久し振り!」
「…。男の娘でもやってんのか?」
振り返るとそこに立っていたのは、金髪のロングヘアーを後ろで結い上げて、クリクリとした大きな水色の目をした身長170cm位のパッと見女の子が居た。
性別は変えられないから、胸はない。
身体も大きな変更はしにくいから、背は高め。
町中用の衣装なのか、浴衣を着ている。
世界観考えて!
「ふふーん、可愛いだろ!」
「バカだと思ってたが、相変わらずバカだな。」
「只野に言われたくないね!それってリアルそのままだろ?もっと格好いいのとかしたらよかったのに!」
「大人になったってことだよ…。」
「そんな現実は、ぶっ壊す!」
「どっかのパロディオツ。まぁいいや。その辺の店に入るか…。」
この見映えは良いが、中身はオッサンをしてるアホは約20年来の友達である。
昔から自分のキャラを好みに仕立てあげて、嫁といって喜ぶ変わった趣味を持つ人物である。
これで結婚できて嫁も子も居るのだから、世の中不思議だ。
「何でも頼みな、こっちが呼んだようなもんだし。今日は暇なのか?」
私の一言に喜び、メガメガ盛りパフェを注文する。
リアルだったら食べきれない量だ。
「まぁ、暇といえば暇かな?家族は夏休みで里帰りだからゲーム三昧で、ゲームの中だと仲間と狩りをするくらいかな?」
「そかそか、ところで何て呼べばいいんだ?」
「このゲームだと詩音って名乗ってるよ。」
「ふむ、聞き覚えないな…。」
「えー、じゃあ戦鬼ってギルド名は?」
「それも知らないなぁ…。」
「ちぇー、有名になってきたと思ったのにマダマダか…。」
どこら辺で有名なんだろうか…。その容姿でか?
そうして話をしていると、パフェが運ばれてくる。
「これこれ、食べたかったんだよね!」
「そんなに高くないだろ。精々普通の10倍だろ?余裕で買えるだろ。」
それでも、4000くらいだろうか?
「これって特別な材料を使ってるから、その100倍くらいするらしいよ?」
「遠慮って言葉を知ってるか?」
「只野なら、これくらいじゃ困らないほど稼いでるでしょ!」
「まぁ、そうなんだけどね…。」
流石に昔からの友人はよく解っている。
「そういや、名前はなんなの?只野って呼ぶのも本来ならダメでしょ。」
来た…どういう反応するだろう。
普段は周囲に見えないように設定している『ステータス閲覧』の機能を少しだけ緩和して、名前だけ確認できるようにする。
「今は私は騎龍と名乗ってるよ。」
「は?」
「だから、騎龍だって。」
「あの、初期の頃にドMだって噂の出た?」
「その噂は全力で否定させてもらう!」
「マジで?」
「ステータス見ても良いよ。」
そんなに信じられないことなんだろうか?
「うわ、マジだ。チート軍団の影の帝王だ!」
「どっから得た情報だよ…。私は普通にやってるぞ!」
「いや、只野ならしないってわかってるから信じるけど…。まさかお前だと思わなかったな…。」
「まぁ、気にしてないから別に良いんだが…。そんな風に言われてるんだな…。」
微妙にショックだ…。
「んで?急に連絡なんてとって、どうした?」
バクバクとメガメガパフェを食べながら詩音が聞いてくる。
見てるだけでお腹一杯になりそうだ。
「昨日の戦争で、対Worldの為にギルドが纏まった話は知ってるか?」
「あー、噂は知ってるよ。巨大ギルドに対抗するには巨大ギルドだからって、纏まったらしいね?
知り合いのギルドが合併されてた。」
「私もそうして引き込めないかと動いてたんだが、先にやられてしまったからね。
今後も城を所持するためには人員が必要だから、ウチに引き抜けないかと思って声をかけてみたんだ。」
「あー、そういうことね…。
2,000規模が合併したら、Worldを越えるかもしれないから慌てて行動してるのね。」
「そういうことだ。」
「流石にそんな案件は即決できないよ。いくらマスターでもね。
ちょっと、仲間と相談するから数日ほしいな。」
「構わんよ、というかマスターしてたんだな。」
「昔からそうじゃん。ちなみにさ、メリットとデメリット教えてくんない?」
「そうだなぁ…。城を常時持ってるから、レベルが上がりやすい。そこで良いものが出るから、強くなりやすい。金は頑張ったら日に2M位は稼げるかな?」
「は?2Mって凄くね?」
「ウチでは普通の範囲だよ。」
ブラドやマサムネ装備が出るか次第だけどな。
「いやいや、普通の狩りだと日に200Kとかだよ。」
そんなもんなのか、はじめて知った。
「んで、他には?」
「あとは大したことないぞ?ログアウトの為に家が貰えるとか、専属の職人が居るから装備作成の料金がかからないとか…。ギルドの食堂で料理が配布されてるから、食べに行く必要がないとか…。あぁ、そうそう、魔法の秘密は教えられるな。ギルド内の秘密だけどな。」
現在は全員が知ってるから、情報漏洩してもおかしくないと思う。
「やっぱり、なにかあったんだな。その魔法の情報はかなり欲しいな…。
んで、デメリットは?」
「食事や家の使用で、日に2000のお金がかかるくらいだな。」
「え?そんだけ?」
「うん、そんだけ。」
「安くない?」
「普通に外で食べたり宿を取るよりは安いよ。」
儲ける為じゃないからな。
「今からその街を見れたりする?」
「まだ完成してないけど、見ることは可能だよ。」
作りはじめてから約2週間ほど過ぎている。
メインとなる建物は完成していて、あとはメンバーの家が着々と建設されていっている。
「というか、クラウドの方に行ったりしてないのか?」
「俺らはミロクとかで主に動いてるからな。あっちにちょうど良い廃墟の狩り場があるんだよ。」
「そういえば行ったことないな…。今度行ってみよう。」
「そのときは旨い店を紹介するよ!」
「どうせ、俺の奢りだろ?」
「決まってんじゃん!日に2Mとか稼いでんだろ?」
「まぁ、別に良いんだけどね。」
「よし、んじゃミロクへ行こうか!」
「オイッ!ギルドの都市を見るんだろうが!」
「テヘペロ。」
中身を知ってるから、全くかわいいと思わん!
それはそれとして、心配は杞憂だったようだ。
昔のように、変わらぬ付き合いをしてくれてありがたい。
嬉しいことだな。
本日も誠にありがとうございます!