第4回攻城戦 4
「さて、儂らの罠の最後の一発だな!」
橋の前の広場に多数の相手の姿が見えたとき、戦斧が笑いながら前に出てきた。
「最後の罠は良いが、前に出るんじゃない。」
職人なんだから、魔術師や回復職よりも脆いだろうに。
「ガッハッハ、それはそうと橋の切れ目より先には行くなよ?」
こいつ、なにする気だ…。予想はできるが…。
しばらく待っていると、かなりの人数が集まってきた。
相手もかなり警戒しているのか、集合待ちをしているのか…。
こうして時間が進むのは、こっちとしては願ったりだから、特に手は出さない。
「そろそろ良さそうだな。」
戦斧が笑いながら言ってくる。
「お前、なにする気なんだよ…。」
「こうする!」
ズガガガガガガガガガガガ!!!!!
予想通りか…。
爆弾がたっぷり仕掛けられてあったらしい。
「やると思ってたが、やっぱりやりやがったな…。」
「ガッハッハ、攻める気も起こらなくなるほどやってやったわ!」
「逆に恨まれて、攻めてきてもおかしくないぞ…。」
「これで綺麗さっぱり罠はなくなってしまったな!」
「んじゃま、ここから正面からの戦いだな。」
「おうよ、儂の銃が火を吹くぜ!」
「その前に僕らの仕事だからね!」
天音が割り込んでくる。
遠距離の範囲で殲滅するからな。
「僕とスレインの合成魔法の方が、威力はあるもんね!」
そんなとこで張り合うなよ…。
爆発の煙が晴れる前に、相手の駆けてくる音が聞こえだす。
前の方の相手だけ吹き飛ばせたのだろう。
「いっくよー!」
あちらこちらから魔力が流れていっているのがわかる。
魔法で形作られた矢や剣、礫だったり塊だったり地面に広がる魔法だったり、様々な魔法が乱れ飛ぶ。
あー、これは暫く仕事はないかもな…。
魔法の届く範囲は、雨霰と降り注ぐ魔法で大惨事だ。
この状況を抜けてこれるやつなんているんだろうか…。
そうして暫く殲滅していると、相手にも動きがあった。
オーリと先程上空で戦っていた龍が出てくる。
「なにアイツ!完全に魔法を止めてるんだけど!」
「オーリが攻撃主体なら、アイツは防御主体ってことだろ。
まぁ、私達も仕事の時間が来たってことだな。」
さてさて、5m位のそこまで大きくない相手か…。
上空から攻めずに、正門から来るとは予想外だったな…。
「攻撃するには、宝石のない一部しかない。そこも手の届く範囲だから守りは強固だ。
コイツは私達近接が抑えるから、遠距離は今まで通り橋の前を封鎖するんだ!」
さてさて、皆で協力してやるしかないってか。
先日作ってもらった、エッジで切ることもできる盾を構えながら前に進み出る。
「こんなこともあろうかと!」
とっても便利なエリアシールネックレス。
まぁこんなこともあろうかとって言うか、ボス戦以外は大体着けてるがな。
「回りを囲んで、フルボッコだドン!」
ガードされようがお構いなしに叩き続ける。
恨むなら、攻めさせたご主人を恨めよ。
ほどなく、龍も倒し終わるが歯応えがないな…。
上空ではオーリ達3匹が守っていて問題ないし…。
橋の正面は魔法使い達が交代で範囲魔法打ち込んでるし…。
弓職だって、アローレインとかの範囲スキルを射ちまくっている。
やはり、守りやすいよな。
相手も攻めようと魔法を撃ち込んでくるが、相手が攻撃範囲ならこっちだって範囲内だしな。
むしろ、2人や3人で行使する魔法の方が範囲が広い。
少々の傷はヒーラーがすぐに癒してくれる。
やべぇ、何もすることがない…。
仲間を率いて別な城に攻めるのも良いかもしれないが、ここで抜けたら弾幕が薄くなるし、それが原因で落とされたら笑えないしな…。
安全に守れるなら、それに越したことはないか…。
暇なので後方に下がってアスタールやウッドと、この城を落とすとしたらどうするか相談でもしてよう…。
今の戦斧はトリガーハッピー状態だから、使い物にならないしな。
「んで、アスタールにウッド。この現状を確認して、この城を落とすとしたらどうしたら良いか相談しようと思うんだが、どうだろうか?」
「いいね、この弾幕をどうやって潜り抜けて突破するかの相談でしょ?面白そう!」
「ハイ、まずは自分っす!
盗賊系で隠密系のスキルがある職はかなりあるっす。
海を越えて、隠密状態で階段を上っての背後から強襲が良いと思うっす!」
「残念ながら、現在すでに実行されてます。」
海を越えてる最中は隠密が出来ないため、泳いでるのが丸分かりなので良い的である。
「んじゃ、俺ね。盾役が最初に固まって突撃する。潜り抜けたらヘイトオーラでターゲットを集めて、橋の前を狙えなくする!
そうして出来た隙に、残りが突撃して乱戦に持ち込むんだ!」
「なかなか良いけど、今のとこ抜けて来る人がいないって言う…。」
「えー、んじゃ父さんは?」
「そうだなぁ…。投石機で岩でも打ち込んで、混乱させてる間に突撃とか?あー、天音やスレインの魔力弾で範囲外から一気に撃ち込んで段幕を薄くして突撃とかの方が現実的か。」
「あー、あれか…。最近は装備が硬くなってきたから、貫通しにくくなってきてるけどね。」
「魔法使いはローブ装備だから、いけそうだがなー。」
「んじゃ、それから守るために騎龍さんは前で守らないといけないっすね。」
「そだね。他に何かあるかな?」
そうして話をして、どこかに穴がないか確かめていく。
別名暇潰し…。
そうして、亀のように城に閉じ籠り、無事に今回の戦争は終了するのだった。
将来、レベルが上がって弾幕を抜かれるようになるまでは、防衛はこのままで問題ないだろう。
いずれ魔法やスキルとかで魔法反射とか魔法耐性上昇とかで、抜かれる日も来るだろう。
それまで精進を続けるだけだな。
本日も誠にありがとうございます。