第4回攻城戦 3
合流する手段がないため、とりあえず私のできる努力をしよう。
オーリがよく見える近場の家の屋根に上って、おもむろに鎧を脱ぎ上半身裸になる。
お色気サービスシーンですよ!
40台のオッサンのは嫌ですか、そうですか…。
今週一週間、必死に練習してたことをやるだけだ。
爪を伸ばし、全身に鱗を出現させ、羽を出す!
といっても、爪は40cm位しかなくて固さは元のままだし…。
鱗なんて、3割りくらいしか覆われてないし、たいして硬くない。
翼なんて、30cm位しかない。肩甲骨と大差がない。
魔力をもっと込めてイメージすれば、ちゃんとした姿に変身できるはずなのだ!
目を閉じてイメージしていく。
格好いい龍の戦士の姿をイメージして、全身に流れる魔力に意識を向けていく。
オーリと合流しないといけないから、焦る気持ちを押さえて目を閉じて集中していく。
心が澄んでいく。
良い感じに集中できている気がする。
深く深く、イメージが固まっていく気がする…。
このまま、もうちょっと時間があればきっと変身できる気がする。
落ち着け、自分。
そういう考えも捨てて、純粋に考えるのだ…。
「…。」
「…る…。」
「主よ、…えてない…。」
「主よ、返事をしてくれんか?」
「ん、オーリか。今集中してるから待ってくれ。」
「そうか、それなら待とう。」
ん?
あれ?
目を開けるとオーリが目の前に居て訪ねてくる。
「ん?どうした?もういいのか?」
「んー?えっと…。もう終わったのか?」
「うむ、ただでさえ3対2だし、あの2匹は我より1月近く若い個体であったからな。
なかなか厄介な能力であったが、たいして驚異ではなかったぞ。」
そうか…。終わってしまったか…。
集中した結果がどうなってるか全身を見てみるが、変化はないようだ…。
やはり、そう巧くいくもんじゃないな。
そそくさと装備を身に付け、オーリの背にまたがる。
しっかりと鬣とかを掴めば、別に鞍や手綱はいらないからな。
「さて、作戦行動は終わったことだし帰ろうか。」
「清々しいほど、何もなかったかのように言うな。」
オーリの突っ込みは聞かなかったことにしよう。
さてさて、今後はどんな展開になるやら…。
相手に航空部隊がいるなら、上空も注意しないといけないな…。
上空から一気に城を取られるかもしれないしな。
空から全体を眺め、特に問題がなさそうなのを確認しつつ、ウッドと戦斧に戦線を下げつつ橋に向かって合流するようにメールを入れておく。
時計を見てみると、1時間とちょっとが経過するところだった。
30分くらい集中していたようだな。
皆が守っている橋の後方に着陸し、皆と合流する。
オーリ達3匹は空中庭園で上空から攻められないか、監視役だ。
「さってと、漸く合流したよ。」
合流した私にソルティが答えてくる。
「おかえり、戦果はどうだった?」
「落石はよくわからないけど、上空からの急襲部隊は追い払っておいたよ。」
「おー、相手にも空を飛ぶのがいるんだね。」
「そりゃ、私達だけじゃないだろ。誰でも可能性はある。」
「そかそか、ご苦労様。」
しばらく待っていると、天音やスレイン、咲夜やウッドが帰ってくる。
それぞれ、魔法や暗殺で活躍して帰ってきた面子だ。
「みんな揃ったね、今からここの近辺が戦場になるからね。気合いをいれて防衛していこう。」
待機していると、兄弟が軽く会話をしてたりする。
「兄貴の出番はあるかな?」
「茶化すな、どうとでもやり方はある。」
「いまのとこ、なにもないじゃーん!」
「できないんじゃない、してないんだ!」
はぁ、こいつらに緊張感って無いのか?
最後に職人達が帰ってくる。
「ガッハッハ、騎龍!罠にはめるのは楽しいな!」
腰に銃を2丁、背にクロスさせて長銃を2丁、体に弾丸を巻き付けたランボーが正面から歩いてきた。
こいつ、何してんだ…。
「おかえり、大分時間を稼げたな。」
「おう、なかなか楽しかったぜ!慌てふためくのを見てるのも、混乱に混沌を重ねるのもな!」
戦争の狂気のせいか?こいつ、こんな性格だったっけ?
「まぁなにはともあれ助かったわ。ここからは私達の仕事だ。あとは任せてゆっくりしてな!」
「ガッハッハ、儂の事は気にするな!儂にはこいつらがある!」
銃をポンポンと叩きながら、豪快に笑う。
「ふむ、なら任せるが無理するなよ?」
「おうよ、任せておけ!」
頼もしいことだな。
さて、あとはいつも通り守り通すだけだな!
本日も誠にありがとうございます!