第4回攻城戦 2
足元の戦争を眺めながら、オーリの背中にて現在飛行中。
本気で飛ぶと、マジで早すぎる。
風が酷すぎて、イケメンが崩れてしまうぜ!
え?逝け面?どうもありがとうございます!
相手はグリフォンやペガサスに併せて、飛行速度が遅いので割りとあっさり前に回り込む。
「とりあえず、挨拶がてら軽く撃ち込んどけ!」
私の指示に大きく息を吸い、ブレスを吐き出すオーリ。
私達が前に回り込んだ時点で警戒していたため、相手も慌てずにブレスを吐いてくる。
ってか、グリフォンって炎が吐けたんだな。
風を操ったりするのが主体だとばっかり思ってた。
まぁ運営によって、その辺は変わるものか…。
「これ以上の侵入は許可できない!戦うか引き返すか選択せよ!」
一応声をかけておく。
可能性は低いが、迷子かもしれないしな。
返事を待っていると、先頭の龍騎士が左右に目線を向ける。
これはよくある目線での会話だな…。直後に攻撃が来るはず!
「交渉決裂!殲滅!」
アニメじゃあるまいし、先手なんて取らせてやらん!
疑わしきは罰せよ!
「ミニ!」
即座にミニが熱線を張り巡らして、グリフォンやペガサス達の翼を焼き切る。
落ちていくモンスター達に申し訳ないと思うが、戦争だから仕方がない。
その一瞬後にオーリ達3匹の龍がブレスを吐き出す。
それに呼応するように、相手もブレスを吐いてきた。
さっきは1対3でほぼ互角だったのだ。 3対2になった以上負けるようなことにはならない。
相殺の爆炎は相手の方へ向かって迸る。
「畳み掛けろ!」
周囲の16匹のミニがオーリの周囲で円を描く。
オーリが本気でブレスの準備に取りかかる。
吸い込んだ息を肺の奥で魔力と混ぜ込み、溜めを作る。
風と氷のブレスと地を吹き飛ばすほどの熱線。
合わされば水蒸気爆発のようなものが起こるだろう。
ここで選択を間違った。
爆炎を潜り抜け、ほぼ無傷の相手が飛び出してくる。
中途半端な攻撃をしてしまって、煙で相手の姿が見えなくなってしまったのが第一の選択ミス。
いつも相手の姿の確認はしてたのに、注意してたのに迂闊だ…。
むしろ、煙から飛び出すのを警戒するべきだった。
併せて、溜めの時間の数秒を甘く見ていた。ここで2個目。
その数秒の間に相手が反撃に転じたのだから。
それから相手が通り過ぎがてら振るわれた相手の龍の爪が、たまたま私を止めるベルトと手綱を掠めたのも運が悪い。
掠めたといっても、龍の爪。200近いダメージを受けることとなる。
ベルトも手綱も切られてしまった。
ベルトを複数準備して固定してたら防げたのに、それを怠ったので3個目。
痛みに怯んだ瞬間鞍から放り出され、切られた手綱はなんの意味もなさず、空中へと放り出される。
ミス3回とか、バッターアウトだわ…。
「主!!!」
自由落下する私を追おうとするオーリに向かって、私は声をかける。
「んなもんいいから、ぶっ飛ばせ!」
悔しそうに歯噛みしているオーリに一言声をかける。
まったく、フラグは良い仕事してくれるわ。
自由落下しながら中途半端に生き残らないために、頭を下にして更に加速して落ちていく。
オーリなら主がいなくても、あの程度はミニ達や仲間の2人と連携して倒せるだろう。
私は早急に合流するために、更に加速する為に回転を加えるのだった。
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世界が暗転し、半透明な状態で起き上がる。
戦争中に死ぬのは久々な気がする。
普通に死ぬのすら、マサムネ以来かな?
目の前には復活しますか?の文字。
すぐさまハイと答える。
どこに復活しますか?の選択には街中と答える。
呑気に待機場所で待ってる暇はないからな!
選択した瞬間、意識は真っ白な空間へと包まれた。
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ふと気がつくと、街中に立っていた。
素早く周囲の状況を確認し、橋の方へと急いで向かう。
戦争中に死ぬなんて、久々だ。
前回死んだときは城を取るために先頭で突っ込んで、魔法でフルボッコだったもんな。
ついでに、町で復活とか初体験だな。
戦斧から貰った罠を張ってない通りが書いてある地図を見ながら、オーリのいる地点まで駆け抜ける。
まだ、街の外縁部から爆発音が聞こえるから橋は無事なはずである。
最短距離を駆け抜ける途中に橋に寄り道すると、やはりここまで攻められてないようでホッとする。
「あれ?父さん、オーリと飛んでるんじゃなかったの?」
アスタールが聞いてくる。
「私達以外の龍騎士に当たって、運悪く死ぬはめになった。」
「あー、そういうことね。運悪く頭にでも当たった?」
「いや、もっとひどい。体を固定するベルトと手綱が切られた。」
「ブハッ。それは運が悪すぎでしょ!」
「喧しい!オーリが心配だからそっちに急ぐから、またな!」
「おう、頑張ってね!」
「お互いにな!」
上空を見上げると、オーリが仲間と連携して相手を追い込んでいるのが目にはいる。
ミニ達とも巧く連携を取りながら、有利に進めているようだ。
相手の方の龍もなかなかチートっぽい動きをしている。
全身に宝石のような飾りがあり、そこに不可視のバリアのようなものが張られるようだ。
熱線やブレスが塞がれてるから、何となくわかる。
お陰で、攻撃がなかなか通らないようでオーリがイライラしてるのがわかる。
さてっと、どうやって合流しよう…。
終わるまで待つかなぁ…。
悩む…。
本日も誠にありがとうございます!