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魔法と神とそれから人  作者: 穏乃
校内戦編
22/33

22話 シズ・ランバート

「あれ、なっきー…?」

「あ、会長起きたんですか…?」

 会場の騒音の聞こえない静かな医務室で、瑞季はベッドから身を起こしすでに目を覚まし椅子に座り込んでいた凪木に目をやる。

「試合、どうなってる…?」

 凪木の耳にはイヤホンがささっており、凪木はそのイヤホンを無言で外す。

「今梓がリョウ・ティルギウスを倒しました」

「あーちんが!?」

 瑞季はベッドから下りれば今にも倒れそうな体をふらつかせながら医務室の扉に手をかける。だが急に足の力が抜けたのか、その場で倒れ込みそうになる。

「…あ」

 だが瑞季の体は地べたにつくことはなく、凪木は倒れ込みそうになった瑞季の腕を掴み体を支える。

「一緒に会場に行きましょうか」

「…ねぇなっきー」

「はい?」

 凪木の肩を借りながら、瑞季は言葉を漏らす。

「さっきここに誰かいなかった?」

「―――っ!?」

 凪木は一瞬驚いたような表情を見せるもそれは本当に一瞬で、瑞季が表情を確認する頃にはすでにいつもの冷静な表情に戻っていた。

「…澪田ですよ」

「みゆみゆ…?」

瑞季は凪木の言葉に突っかかりを覚えたように顔をしかめる。

「それより、行きますよ」

「はーい」




「あれ、梓生きてたの」

 砂が舞う砂漠に酷似した会場で2つの人形と一緒に刹那は梓の下へと走る。

「生きてたって、俺をなんだと思ってやがんるんだよ」

「てっきりリョウ・ティルギウスにやられたのかと」

「ふん、勝ったよ」

 刹那は少し驚いたような表情を見せるもすぐに顔を背ける。

「私も椎名、倒したよ」

「じゃああとはシズ・ランバートだけか!」

 そう言って梓は右手の拳をパンっと左手で受け止める。

「というか深雪は…?」

「さっき会ったから近くにいると思うんだけどな」

「会ったのに一緒に行動しなかったの…」

「おう、だってリョウは俺一人で倒したかったしな」

 刹那は梓に対して軽く悪態をつきながらも小さく左手を動かす。それに合わせてマイスターV3がとてつもない速度でジャンプする。

「V3は元々索敵用の傀儡だから、これで深雪の魔力を検知するわ」

 砂の中を高く飛ぶ刹那の傀儡人形はチキチキと音を鳴らせながら目を赤く光らせる。少しすると砂の上にドスンと落ちてくる。

「なるほどね」

「今のでわかるのか?」

「ああ、傀儡人形が索敵で感じ取った魔力を魔力糸(ブルーストリンガー)を通して私も感じ取ることができるのよ」

「それで、何かわかったのか?」

「貴方にもすぐわかるわ」

 そう言うと刹那の目つきが険しくなる。ざっざっと砂の中を何かが歩く音とともにそれが姿を現す。

「シズ・ランバート…!」

「…皆さんお揃いで」

 梓と刹那はシズの姿を見るなりすぐさま身構える。

「シズ・ランバート、魔法は入れ替え(ジ・コンバート)。どんな魔法かわかんねぇから気合い入れねえとな」

 梓は喉を鳴らすも、構えたままお互いビクリとも動くことはなかった。

「動かないならこちらから行くわよ」

「は?」

 刹那はしびれを切らしたのか、左手を大きく動かく。それと同時にマイスターV3がシズに向けて飛びかかる。

(そのまま爆音波を浴びせて気絶させて…)

「…」

 シズは飛びかかる傀儡に触れながらそれを躱す。

「なっ!?」

 刹那の傀儡は爆音波を放つこと無くそのまま動かなくなったかのように地べたに転がり落ちる。

「人形の、操作が効かない…?」

「どうしたんだよ、刹那?」

「…」

 刹那は何度か左手の糸を動かすが、傀儡が動く気配はまったくなかった。

「…内蔵魔力回路になにかされた…?」

「さて」

 と言うも梓は両手に黒い魔力を宿しながらシズに飛びかかる。だが梓の攻撃はシズに届くこと無く地面から突き出た巨大な岩が腹部に直撃し、宙を舞う。

「梓っ!?」

「ぐっ…」

 シズはそのまま倒れた傀儡に触れる。傀儡の右腕を根本ごともぎ取れば、そのまま魔力を放つような仕草をとる。その瞬間傀儡の右腕は刀のような形状に変化する。

「それが…貴方の魔法。物質を別の形状に入れ替える…」

「ああ、流石にもうバレたか」

 シズは刀を慣れた手つきで構える。

「ふむ、やっとか…」

 シズは構えていた刀を梓たちとは逆の方に振るう。ガキン、という金属音が鳴り響くのと同時に砂が大きく舞う。

「深雪…」

「穏乃…―――さん」

 深雪はシズが待つ刀と自分の持つ詠唱銃(スペルガン)が弾け合うも深雪はすぐにシズとの距離を取る。

「…我が世界は1、我が世界は10」

 深雪の姿を改めて確認すれば、シズは刀で指を切り指先から垂れる血を刀の刀身にこすりつける。

「我が身を砕いてその意思を示せ…!」

「くっ」

 彼女が何かをする前に止めないと、そう思って深雪は加速(ジ・アクセル)で普通では到底追いつけない速度でシズに近づく。

「…遅いぞ」

 一瞬深雪には何が起きたのか理解できなかった。少し間を置いてから自分が加速中に蹴り飛ばされたことを理解した。

 なんで、加速中の私をかんたんに捉え得ることなんて。

「…」

 シズ・ランバートは静かにその場を佇む。


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