日常~はじまり~
早くも勢いがなくなりかけています。
少年は自室で目が覚めた。いつもよりは少しばかり早い目覚め。しかしもう一度眠りにつこうとは決して思わなかった。それは先ほどまで見ていた夢のせいなのであるがそれを素直に認めるのも何か気に入らないので気分を変えるため少年は自分の趣味であり、楽しみである料理、朝食作りに取り掛かることにした。幸い時間はいつもより多くあるのでゆっくりと用意ができると思い少年はわずかに微笑む
先ほどから少年と呼んではいるが彼は年齢的には本来青年と呼ばれるべき年頃であった。しかし少年(ややこしいので少年に統一する)の身長は142cmであり、顔つきも幼いままである。当然のように声変りもしておらず、子供特有の高い声をしている。何故そんなことになっているかはいづれ分かる時が来るだろうからここでは省略させてもらう。少年にも使いやすいように作られた台所でてきぱきと料理を作っていく。まるで目が見えないのが嘘であるかのようだ。そう少年は目が見えないのである。先天的なものではないのだがハンデを感じさせない手際は目が見えなくなってからの年月を思わせる。やがて料理が完成し、少年は一緒に暮らしている家族が待つであろう居間に料理を運ぶ。古い和風の家屋ではあるが手入れは行き届いており味のある様相をしている。居間にたどり着き少年はふすまを開けながら声をかけた。
「おはようございます。お爺様、お婆様。」
こうして少年の一日が始まった。