始まりは夢
勢いだけで始めてしまいましたので皆様の望みにはそぐわないかも知れません。そんな時はすぐに読むのを止めてください。
夢を見た。まだ幼い日の、少し変わっているが自分にとっては当たり前だった日々。
「少しお話ししたいことがあるのですが。」
久しぶりに会話する母親に自分のことを話したくて、ドキドキしながら声をかけた。今日のことを話せば母もきっと喜んでくれる。そんな期待を込めた心を打ち砕くかのように冷たい一言が放たれた。
「どうしてあんなことをしたの?」
初め、母が何のことを言っているのか理解できなかった。それを理解できたのは次の一言を聞いた時だった。
「何故、考えなしに魔法を使ったの?魔法は使い方次第でとても危険な事になるのよ。」
何を言われているのか思い至り、母に事実を伝えた。自分はそんなことはしていない。ちゃんと言葉で解決したのだと。しかし、母は想像もしていなかった一言を言い放った。
「嘘をついても無駄よ。相手方の親御さんから話は聞いているんだから。」
自分の心が真っ白になるのを感じた。さっきまでの高揚感がまるで夢の中のもののように感じられ、泣き出したくなるのを必死でこらえていた。その均衡を壊したのはまたしても母の一言だった。
「私はそんな風にあなたを育てた覚えはないわ。」
かろうじて保っていた均衡があっさり壊れ、そのさきには何も無かった。怒り、苦しみ、悲しみ、それらの感情が心の中を通り過ぎていき後には虚しさに似た空虚な言い表せない何かしか残らなかった。本当にそこにあるのかもわからないそれを胸に抱えながら、どうしていいのか分からずに佇んでいると母はなんでもないような口調で、
「しばらくは外出禁止ね。私はあの子の所に行くから反省してなさい。」
と言い、自分の前から去って行った。母に話そうとした事、母に見せたかったボロボロのノート、母に語りたかったことなどが総て崩れ去り、自分は追い求めていた何かが音を立てて崩れるのを感じた。その瞬間に夢は覚め、ぼんやりとした視界の中に確かに映る現実を感じ少年は安堵した。
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