第一羽、調理科一年手羽先モルモット工の相崎とその友人。
ギャグと陰謀と美味しいものが交錯する書いてて腹が減る、捏ねた小ネタを一羽ごとに仕込んだ味噌(野田は千葉県ではありませんからねぇ、えぇ)味の勇者復讐活劇、開幕!!
「なぁ……ハムレットって読んだことあるか?」
と、少年が尋ねる。制服を着た二人の男子生徒が机上でなんとも美味そうな弁当を広げ会話をする。
「ん? シェークスピアか。確か世界史でやったが読んだことは。ないなぁ……」
ここは私立手羽先モルモット高校の一角、調理科1年7組教室である。
最初に尋ねた少年は相崎、調理科の生徒にして学年一の証である手羽先モルモット工の称号を持つ者だが、茶髪である。いや、料理に髪の毛の色は関係ないであろう。
持たざるもの、佐間はその友人である。
相崎はふんっと鼻を鳴らし、
「まぁあれは今月の萌え燃えメディアよりつまらなかったがな」
と少し批評家を気取り佐間をちらりと見る。
「萌え燃えメディアがなんなのかは知らないけどさ、ってことはつまりお前はハムレットを読んだことがあるんだな?」
「もちろんとも! そりゃあないさ!」
「ないのかよ……」
佐間はお弁当に入っていた手羽先のから揚げを器用に食べながら呟く。
「明日の調理実習はヒヨコマメのカラカラ煮だなぁ」
少し興奮した様子で、
「ヒヨコマメのカラカラ煮! 俺はあれに心底惚れ込んでいる。西の生まれの俺としてはここいらの伝統料理は全部目新しくて素朴でなんとも美味い!」
と相崎がハムで日本列島の絵を形作りながら言うと佐間が、
「ハム列島、それが西の料理だってのか? いやこれは別にハムレットとは関係ないがな!」
と恥ずかしくフォローできないほどのもうだめだこいつ。
「まぁ、これはそのギャグのために適当にやったことだ。気にスンナ」
「なぜちょっと引くんだ! なんでだ!」
「ふ、まぁいい。ところで今月の萌え燃えメディアには『オクラのゴマソース焼き』ってのが載ってたんで作ってみたんだが」
「って『萌え燃えメディア』は料理雑誌だったのか!!」
「うん。まぁ作ってみたんだが――」
「だが?」
何か奥歯にきし麺が詰まったようなものいいをする相崎を急かす。
「オクラがなかったんで納豆にしたら、たれが余ったんだ。で、そのたれを飲んでみたら……なんてこったい! 納豆の味がしたんだよ!」
「いやいやいやいや! おかしいだろ! オクラなかったからって納豆代用すんな! なんで胃の粘膜を潤して保護する働きや肝臓や腎臓の機能を高める作用と、細胞の活性化、老化の防止に役立つ、消化を促す作用、便秘を改善し、タンパク質を無駄なく活用させたり、スタミナの増強に効果があるムチンが含まれているからといって同じものだと思うなよ!!」
ふぅっと息を吐いて、
「確かに納豆のたれは美味いがそれは決して納豆の味じゃないからな! そして紹介しよう、これは実は千葉県を褒めちぎる小説だったのだ! これを食さぬまま一生の後悔にしたくないのならば有機納豆のたれで検索することだ! むしろこの小説を読まないで検索してもいいのだ!」
「おいおい熱くなるなよ……」
「熱くならないでいれるか! で、納豆のゴマソース焼きはどうだったんだ!!!」
「うむ、ではこれからは俺のターンだ! 『納豆のゴマソース焼き』、それはまず大豆とゴマの香ばしさを極限までに引き出したそれはそれは美味いものであった! ソースという味付けではなく醤油! そうそのソイソースとも言うべき千葉県野田市の名産品を使ってもまたシンプルに二重の大豆らせん構造を生み出すことは手羽先モルモット流調理科学において裏打ちされているのだ!! って俺もお前に洗脳されてしまっていた!」
「クックック、貴殿のスピーチは我が千葉県魂を感嘆させるすばらしいものであった。さすがは手羽先モルモット工だ……」
「ふっ、貴様も我が友として十分なものだ。ではレシピを先生に提出して帰ろう!」
「おう!」
本日のレシピ
ヒヨコマメのカラカラ煮
材料 ヒヨコマメ 一袋、千葉県産醤油大さじ二杯、砂糖小さじ一
作り方 鍋に千葉県産醤油と砂糖を入れよくかき混ぜる。強火で加熱したところにヒヨコマメを投入しよく絡ませ、適度に水分が飛んだら出来上がり。おつまみにおすすめ。
※ヒヨコマメは実在するヒヨコマメとは何の関係もないものですまじで勘弁してください。自己責任ででも雑魚いれると美味いよ。
納豆のソイソース焼き ゴマ風味
納豆をかき混ぜないまま熱した鉄板の上に並べ、その後千葉県産醤油にゴマをお好み入れたソースを納豆に塗ります。このとき余ったたれはごはんにかけて食べましょう。
「食べ過ぎや欠食などの乱れた食生活は、内臓脂肪をためる原因になります。これを防ぐためには、食生活の改善が欠かせません。バランスのとれた適切な量の食事を心掛けるとともに、食事をする時間や食べ方などにも注意し、1日3食規則正しく食べましょう。」
――厚生労働省ホームページより抜粋
はじめまして。次の話ではショタが登場する予定です。ショタとはショ糖ターキーのことかもしれませんし小4ぐらいの男の子かもしれません。
ギャグっぽいのが書きたくてふと思いついたものを会話形式にして連載していくので。あとちょっと思いついた料理を書いてますが適当です。読者さんは作ってみて(モルモットになって)ください。