首の柱
暗い夜道、
放した風船、
ひきつった頬の、
口紅のあと、
頭蓋骨に滴る、
誰かの唾、
聞かない耳を、
劈いた低音、
やたら振り回した、
柔らかい爪、
優しい人なら、
消えてくれる、
引力に逆らう意味を、
誰も教えてくれない、
ポケットの中の冒涜、
地面から墜ちる想像、
信じる為の猜疑心、
ケータイの画面が、
つまずき方を教えた、
あの頃という妄言、
装飾された文字の群れ、
暗い夜道、
足音は消えない、
放された風船は、
太陽の位置を知らない、
ひきつった頬に、
陵辱の赤を残して、
喜怒哀楽のない今日は、
明日も連続する。