並行宇宙への到達を公式確認
並行宇宙への到達を公式確認
──神秘存在の導きにより、多元的現実は管理可能段階へ
【中央統合通信/第七暦 118年4月17日】
統合評議会および統合科学省は本日、神秘存在との継続的対話と協働の結果、理論上のみ存在が示唆されてきた並行宇宙への安定的到達を達成したと正式に発表いたしました。
本成果は、前回報告された神秘存在との接触成功を基点とする一連の進展の中でも、特に重要な位置を占めるものであり、文明の活動領域が単一宇宙の制約を超えたことを意味しております。
発表によれば、神秘存在は並行宇宙の存在を例外的現象ではなく、秩序ある多層構造の一部として説明し、その理解と往還には高度な精神的安定性と集団的意志統制が不可欠であると示唆したとされます。
我々の文明は、この条件を満たす数少ない存在として認識されたとの見解が示されています。
統合科学省高位研究官は記者会見で次のように述べました。
「我々は扉をこじ開けたのではない。開かれるに足る状態へ到達した結果として、扉が示されたのである」
到達が確認された並行宇宙は複数存在し、それぞれが異なる物理定数、歴史的分岐、生命進化段階を有していると分析されております。
当局はすでに観測・限定的干渉・帰還の全工程を成功裏に完了しており、これにより多元的現実は理論研究の対象から戦略的管理対象へと移行したと評価されています。
評議会は声明の中で、並行宇宙到達の意義を次のように定義しました。
「生存圏とは、与えられるものではない。確保し、秩序づけ、最適化されるべきものである」
一方で、当局はこの成果が無秩序な拡散や感情的期待を招くことを厳しく戒めております。
並行宇宙は逃避先でも楽園でもなく、管理と選別を要する新たな責任領域であると強調されました。
神秘存在との関係についても、引き続き協調的かつ段階的であることが確認されています。
存在側は一貫して、未成熟な文明による無計画な接触が破滅的結果を招いてきた事例を示しつつ、我々に対しては「自制と計画性を備えた稀有な種」との評価を与えていると報告されています。
評議会議長は全国向け声明で次のように述べました。
「多くの世界が存在する。しかし、それらすべてが同等に価値を持つわけではない。我々は選び、整え、導く側に立つ」
現在、統合科学省および統合防衛省は、並行宇宙における環境分類、資源評価、生命形態分析を進めており、次段階として文明的成熟度による区分指標の策定が検討されています。
人類は、もはや一つの現実に縛られてはおりません。
しかし、複数の現実を扱う資格を持つのは、規律と意志を備えた文明のみである──評議会はそう結論づけております。
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……ちゃぷ。
お水、ひんやり。
きもちいい……。
「……ついた?」
「境を越えた直後だ。位相は安定しておる。まずは沈め」
ゆら……って、からだをしずめると、
あたまの上で、光のわっかが、ぽよ、ぽよ……って、ゆれる。
つのが、びり……ってする。
ここ、どこだろう?
でも、忘れてない。
わたしは、リュシール。
おねえちゃんに、会いにきて、
おともだちの、たましい、さがしにきた。
それは、ちゃんと、わかってる。
でも──
「……おなか、すいた……」
きゅーって、なる。
からだの中が、からっぽ、みたい。
「門を越えれば、そなたの熱は削られる。腹が減るのは当然だ」
「そっか……」
おなか、ぺこぺこ。
つのを、ふる……ふる。
お水のながれが、すこし、ゆれる。
うえをみると、
白いひかりの、ながーい、すじ……できてる。
「……あ……わたしの、ひかり……」
ふわぁ。
きれい。
ちきゅうの海より、もっと、くらい。
だから、わたしのひかりが、よく、みえる。
すぃー、ってすすむと、
光のすじも、すーって、のびる。
「……ながい〜……」
でも、すぐ、
「……おなか……へった……」
「焦るな。まずは、この海を知れ」
うん……
つのに、ぱちぱち、って、ふれる気もち。
こわい?
ちがう。
おどろいてる。
ざわ、ざわ、って。
「……みられてる……?」
「感知しておるな。いまは気にするでない」
わたし、ゆら……って、からだをまげる。
光のすじも、くにゅって、まがる。
「……へへ……まがった……」
でも、すぐ、また、
「……ごはん……」
からだが、ぷるぷる、って、する。
「喰らえば、安定する。まずは小さきものから探せ」
あるの?
「ある。ここは“在る”世界だ」
よく、わからないけど。
葉っぱさん、根っこさん、あるのかな?
つのを、ふるふるって、してみる。
こっち……?
なんとなく、そっち。
とくに、わけは、ないけど。
でも、そっちがいい気がする。
くるんって、からだをむけると、光のすじも、くにゅって、まがる。
わたしは、ひかりをひきながら、
ゆっくり、このしらない海を、すすむ。
「……おともだち………ごはん……」
どっちも、ほしい。
ふら、ふら。
でも、こんどは、ひとりじゃない。
うにうにさんが、いる。
すぃー……すぃー……
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【速報】断絶海峡で“長い光の帯”…おまえらこれ神秘だよな?【未確認海洋生命体】
1 Anonymous
さっき流れてきたニュース映像見たか?
断絶海峡のど真ん中を数百レムある光の帯が移動してたやつ
2 Anonymous
監視塔の固定カメラ映像だろ
雲の反射かと思ったけどどう見ても海面の下から光が溢れてた
3 Anonymous
あんなに巨大なのに波ひとつ立ってないのが不気味だな
4 Anonymous
進路を変えてたよな?自然現象ならあんな滑らかに曲がらない
5 Anonymous
上層評議会が自然なプラズマ現象って発表したの笑った
意思持ってるプラズマとか聞いたことねえってのw
6 Anonymous
断絶海峡の向こうって門があるって噂の海域だろ
新しい神秘が来たとかじゃないのか?
7 Anonymous
神秘って言うにはデカすぎる
光ってる神秘って港の隅でシケた顔してるヌメヌメのむにゅっとしたやつらだろ?
8 Anonymous
あんなサイズこの世にいるわけないだろ
9 Anonymous
一斉に合体して泳いでるとか?
10 Anonymous
合体説は飛躍しすぎw
11 Anonymous
でもあいつら合体願望あるっぽいじゃん
互いにできないからこの宇宙に来たんだろ?
12 Anonymous
現代史ちゃんと勉強しろ
神秘は基本的に全体で一つ扱いだろうが
13 Anonymous
また統合評議会がつくった神秘融合型起動兵器じゃないか?
試験運転してるとかさ
14 Anonymous
もしそうならニュースになるわけないだろw
15 Anonymous
親玉みたいな存在がいる可能性は?
16 Anonymous
神秘に親玉って概念あるのか?
だいたい群体的だし上下関係とかなさそうだけどな
17 Anonymous
でもあの規模は単独存在っぽかった
18 Anonymous
気にしてもしょうがない
統合評議会がなんとかするだろ




