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神秘存在との歴史的接触に成功

神秘存在との歴史的接触に成功

──理性と意志の勝利、人類は新たな同盟者を得る


【中央統合通信/第七暦 100年3月4日】

統合評議会および統合科学省は本日、長年にわたり理論上の仮説、あるいは宗教的・形而上学的領域に属するとされてきた高位神秘存在との直接的かつ安定した接触に成功したと公式に発表いたしました。

本成果は、我々の文明が到達し得る知性と規律、そして揺るぎない意志の結晶であり、人類史における決定的転換点として位置づけられております。


今回接触が確認された存在は、従来の科学的分類体系を超越する知性を有し、時間・空間・生命構造に対して高度な理解と干渉能力を持つと分析されております。しかしながら、当局はこの存在を脅威ではなく、理性を共有し得る協調的存在として評価しております。


統合科学省の声明は次のように述べています。


「神秘とは、未だ体系化されていない法則にすぎない。我々はそれを恐れず、対話によって把握した」


特筆すべきは、当該神秘存在が示した明確な意思であります。

それは敵対や支配ではなく、高度に選別された人類との友好的交流と段階的理解の深化であり、双方の存在様式を尊重した関係構築を望むものであると報告されています。


評議会筋によれば、この接触は偶発的事象ではなく、国家主導で進められてきた精神統合訓練、遺伝的最適化、集団意識制御計画の成果として「必然的に引き寄せられた結果」であるとされております。

すなわち、この文明が接触に値する水準へ到達したことの証明であるという見解です。


統合評議会議長は、全国向け演説において次のように強調しました。


「進化は偶然ではない。選ばれ、鍛え、準備された者のみが次の段階へ進む。我々はその責任を引き受ける」


現在、当局は神秘存在との情報交換および意思疎通の枠組みを慎重に拡張しており、国民に対しては冷静と規律を保ち、過度な感情的反応を慎むよう呼びかけております。

本件は奇跡ではなく、秩序ある進歩の一工程であると強調されています。


人類は、孤独ではありませんでした。

しかしこの事実を理解し、活用し得るのは、準備された文明のみである──評議会はそう結論づけております。



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【朗報】リヴァイサン、ついに三匹目の討伐完了! UMA戦争 part102


33 名前:名無しさん

 うぉおおおおおおおおお!!!

 倒した!!!倒したぞおおおおお!!!


34 名前:名無しさん

 映像見たか!? ウィスコンシンの16インチ連射!!


35 名前:名無しさん

 よっしゃあああああああ!!!

 ノーフォークの仇、討ったりいいいいい!!


36 名前:名無しさん

 ハロルたんがリヴァイアサン振りほどくシーン

 映画超えてたわ


37 名前:名無しさん

 速報きた!

 西ヨーロッパ海盆の敵性拠点座標に到達だが「何もない」らしい


38 名前:名無しさん

 何もないってなんだよ!?


39 名前:名無しさん

 ごっそり物質がないってことだ

 境界線がナイフで切り取ったみたいに滑らか


40 名前:名無しさん

 物理的に消失してるってことか?意味分からん


41 名前:名無しさん

 待てハロルは?


42 名前:名無しさん

 あの巨大な姿どこにも映ってないぞ


43 名前:名無しさん

 どこ行ったんだよ!?


44 名前:名無しさん

 せっかく一緒に戦ったのにお別れもなしかよ……


45 名前:名無しさん

 ハロル……最後に何したんだよ


46 名前:名無しさん

 戻ってきてくれよ

 俺たちの肺まだあんたのヌルヌル必要なんだよ……


47 名前:名無しさん

 勝利したはずなのにこの喪失感なんだ


48 名前:名無しさん

 救世主は敵と一緒に心中した説


49 名前:名無しさん

 よっしゃって叫んだ直後に涙出てくるのなんなんだよ


50 名前:名無しさん

 ウィスコンシンの砲撃とハロルの白光が重なった瞬間

 海が割れたみたいに見えた


51 名前:名無しさん

 16インチ砲の爆炎の中で、400メートルの巨体が大西洋にゆっくり沈んでいったんよ


52 名前:名無しさん

 ハロルが内部で何かしたんだろリヴァイアサンごと


53 名前:名無しさん

 じゃあやっぱり最後の一撃はハロルかよ


54 名前:名無しさん

 英雄ってだいたい帰ってこないよな


55 名前:名無しさん

 やめろ

 またどこかで再生してるかもしれん


56 名前:名無しさん

 海面に残った白い残光まだ消えてない


57 名前:名無しさん

 あれは別れの涙なのかもな


58 名前:名無しさん

 3匹目討伐!人類史的には大勝利

 でも俺ら大事な何かも失った気がする


59 名前:名無しさん

 >>51

 ハロルの角の一本が、グッと親指を立てるみたいに海面から突き出て見えたんだけど

 あれが見えたのは俺だけじゃないよな?


60 名前:名無しさん

 ハロル……必ず戻ってこいよ


61 名前:名無しさん

 勝ったはずなのに胸がスカスカだわ


62 名前:名無しさん

 >>59

 俺もその瞬間に「I'll be back(然り)」って聞こえた気がした!!


63 名前:名無しさん

 ピカぬる教徒ども笑かすなw


64 名前:名無しさん

 ハロルは最後のUMAとして自分という存在をこの世から抹消したのか?

 なんてこったハロルよ……俺たちはお前と……飲み明かしたかったぜ

 R.I.P.



──────────────────



門を、とおる。


海のつめたい感じが、すうっと、後ろにほどけていって、

かわりに、何もない、みたいなところに、

すすーって、すべる。


ここ、なに?


暗いのに、目は、つかれない。

音がないのに、たくさんの声がある。


おいで。

こないで。

こっちだよ。

あっちだね。


言葉じゃないのが、いっぱい、流れてくる。


あたまの上も、足の下も、わからなくて、

わたしは、すぃーっと、からだを小さくして、

つのを、ふわっと立てる。


「時と宇宙と次元の狭間。流れはほどけ、順序はたたまれ、ここは“何処でもあり、何処でもない”。そしていずれは此処で、友人の魂を探すことになるであろう」


よく、わからない。


ひろいし。

なにが、どこにあるのか、ぜんぜん、わからない。


「よく視よ」


むずかしい。

でも、ここは、こわいだけじゃない。

ひろい。

すごく、ひろい。


暗闇が、ひろがって、ゆらゆらしてるから、

あたまの輪っかで、ふわって、てらす。


……ぴく。


何かが、小さくちぢんで、

まるく、まるく、なる。


くらやみの中で、ぽわぽわした泡みたいなのが、たくさん、身をよせるみたいに、逃げていく。


うにうにさんの声が、すこし、楽しそうに、ひびく。


「ああ。感応したか、リュシール。あれらはかつての我が同輩、泡沫のまま永劫にただよい続ける蒙昧なる全だ。全知ゆえに退屈し、個を持たぬゆえに渇かず、飢えを知らぬゆえに何も変わらぬまま、宇宙の果てまで漂うだけの存在よ──ゆえにこそ、その“目”を使う。あれらを散らし、この狭間の隅々まで探らせ、友の魂の欠片を嗅ぎ当てさせるのだ」


ちぢんでる。

こわがってる?


その泡たちの、こわい、が、

つのに、つんつん、って触れる。

わたしは、ちょっと、胸がきゅってなる。


でも、うにうにさんは、くらやみに向かって、きっぱり言う。


「かつての同輩どもよ。我は、我を思い愛するが故にここに在り。汝らが恐れるのは当然。我はもはや”全にして一”ではない──我は”唯一”だ。意志を持ち、名を持ち、飢えを持つ。しかして汝らの蒙昧、一つ残らず喰らい尽くしてやろう」


泡が、びくっと、ひきつる。

逃げる。

散る。

でも、遠くには行けないみたいに、くらやみの端っこで、かたまっている。


……こわがってるみたい。


「そうだ。よいことだ」


なんで?


「恐怖は啓蒙の入り口だ。我らを恐れることで、あれらははじめて“知らぬこと”があると気づく。全知とは停滞、停滞とは死だ。我らが空白を刻む。それが──」


そのとき、

わたしの、むねのおくが、ぴしっと、鳴った。


泡たちの、こわい、が、わたしにも、よってくる。


むにゅむにゅのからだのまわりに、ぴとってして、

ぽわぽわの、光のまわりで、踊ってる。

わたしは、つのの光を、すこしだけ、しずめる。


「……なかよく、できないの?」


言ったら、うにうにさんが、少しだけ、

だらん、って気もちになる。


「……いやぁ、言うても昔のよしみですし? そこをなんとかエエように……。あ、怒らんといてください。穏便に、ね? エエようにさせてもらいますんで。……ほんま、すんません……」


……?

うにうにさん、どうしたの


「いや。……その。……もうすぐ、セラフィーヌと再会できるものな。そうなったら、この五月蠅いのも少しは…………あっ! ほんま堪忍して下さい……」


へんなの?

うにうにさん、しかられてる、みたい。


わたしが、首をかしげた(首あんまりないんだけど…)、そのとき。


くらやみのもっと奥から、

あたたかい、呼び声がする。


……リュシール。


つのが、ぴくって跳ねる。


もう一度。


……リュシール。


その呼び声は、こわくない。

やさしくて、でも、まっすぐで、まちがえない。


おねえちゃん。


セラフィーヌ。


わたしの体が、勝手に、その方向へ、すぃーって向く。

くらやみの中に、細い細い、ひかりの糸が、見える。


うにうにさんが、ひくく、うなずくみたいに言う。


「聞こえたな。あれが焦点だ。我らが行くべき世界の、入口の手触りだ」


わたしは、つのを、ひかりに、そっと重ねる。


暗いのに、そこだけ、あったかい。

呼ばれてる。


わたしは、すぃー……すぃー……って、時とそらのはざまを、すべっていく。


おねえちゃんの、声のほうへ。

まちがえないように。


わたしは、いくべき世界を、みつけにいく。


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