ー第7話モサド
羽田の滑走路脇に登ると、騎馬隊は一斉に敬礼してトンネルに戻って行った。
代わりに巨大な貨物機が、車の前に来て、後部貨物室を開いた。
その貨物室から丸顔にメガネのデブが降りて来る。
「乗せてぇ」
と言うので、セキリンの隣、助手席に乗せる。
「ダニー・オルバフバフでぇ~す」
セキリンが握手する。
「うぉっふぉふぉふぉ、ナイスとミーチュー。セキリン知ってる!ダニーさんは日本と中国の近現代史研究家でイスラエル情報部にも在籍した、バリバリのモサド!著書に暴走する日本人インフルエンサー自民党を崩壊させた令和維新のバグ!立ち読みしました!」
「いやセキリンさん買って下さいよ」
ヘブライ語なまりの日本語突っ込みが返って来た。
メンディーもからむ。
「ダニー本当はモサドじゃないよね?」
「バリバリのモサド煎餅です」
「否定しろよ!」
そんなやり取りの中、後部扉が閉まり、貨物機は羽田を離陸した。
「ダニー、どこに着陸するの?」
「セキリン、アッシュドット空港に着陸します。そこからエルサレム聖墳墓教会の南に有る嘆きの壁に移動しまぁ~す」
「聖墳墓教会はフンボルト海流と関係有るの?」
「関係ねぇよ!」
「いやキューティクルさんメンディーさん。ほとんど関係ありません。がっちょっとだけ関係ありまぁす」
「関係ねぇよ!」
そんなやり取りの中、イスラエル軍の装甲車輌に囲まれて、エルサレム嘆きの壁に誘導された。
糞門をくぐり、壁の前に停車する。
「セキリン知ってる!潜ったのは糞門。エルサレム神殿のゴミ出し門!嘆きの壁は破壊されたエルサレム神殿の壁!エルサレム神殿には十戒の石板が安置されていた!そして、十戒の石板を入れる箱が聖櫃!」
メンディーはお神輿を見た。
「小さくね?」
ダニーが言う。
「いえ。石板と共にお神輿が納められました。それは、上に扉を開いた状態で、覗いた者を焼き尽くす目的で。メンディーさんが持っているのは聖櫃ではなく、聖櫃を守る物なのです。降りて嘆きの壁に行きましょう。この帽子、キッパを被るのがルールです。頭を隠し、頭上に神を意識すると云う意味が有ります。しかし、事実はお神輿の中を見て焼かれない為に被るのです。伝説です。確かめた者は居ません」
ニヤリと笑い、ダニーは3人に小さな帽子を配り、自身も頭に乗せた。
4人は、イスラエル軍兵士が居並ぶ中、嘆きの壁に進んだ。
「全長490m、見えているのは57m。高さ19m。地下に埋まっている部分を入れると32m」
ダニーは嘆きの壁に触る。
そして、ポケットから金属性の鍵を取り出した。積まれている岩の間に差し込む。
ドア状に岩が後退する。ダニーは振り向き言う。
「エルサレム神殿にようこそ!」




