ー第4話セキリン
「もしも~し!セキリン?今どこ!」
どこだか判らないが、後ろでサイレンが鳴っているので、横田基地から遠ざかって走っているのは判る。
ーフォウ~ナイスとミーチュ~!今セキリンはね!スナック不可幸力でゅえぃす!ー
「フカコウリョク?確か?横田基地の第5ゲート交差点からオババの店の横を入って、壁の隙間を右?」
ーそのとぉうりぃ~ー
キューティクルが嫌な顔をする。
「不可幸力って、ずっとバウンディがかかってる店か?」
「ママがバウンディにそっくりな店だな?」
「ずっとバウンディ聴かされて、あれ以来蕁麻疹が出るんだよ!」
「追われてるから。選択肢無いの!」
分厚い核シェルターかと思う扉を開けると、「風神」が掛かっていた。
「朝の8時だぜ?」
キューティクルがスマホを見て言う。
「らっしゃ~い。メンメンメン久し振りぃ!」
バウンディママがグラスを掲げる。
「ふぉ~う!サイレン聞こえるけど2人?」
「不可抗力だ」
「くだらない愛で笑ってるのね」
「それは、恋風邪は早めのパブロンでしょ?」
「やだぁ!恋風邪に吹かれてよ」
ママはツボに入って笑い始めた。
「メンディーどしたの?」
「多分、在日米軍に追われてる」
「かくまってくれ?セキリン横田基地で働いてるんだけど。しゃべらないからね」
「助かるよ。ソロモンの秘宝を盗んじゃった」
メンディーは、カウンターに木箱を置いた。
セキリンの酔いが一気に醒めたのが判った。
「ソロモンの秘宝?失われたアーク?でも小っちゃくない?」
木箱はサッカーボール大だ。
「メンメンメン!開けて!開けて!」
バウンディママは状況が判ってない。
メンディーは焼き印の入った面の隙間を、カウンターに有ったスプーンで抉じ開けた。
4人が箱を覗きこんで頭突きになった。
メンディーがゆっくりと持ち上げる。
「お神輿?」
井桁の上に茶室が乗っている感じ。
サイズはミニチュアだ。扉が付いている。
「開けるな!インディジョーンズ!焼き付くされるぞ!」
セキリンが言う。バウンディママが、消火器を持ってくる。キューティクルがママの手を抑える。
「開けないから!メンディー開けるな!」
その瞬間、分厚いドアが吹き飛んだ。
バウンディママが消火器を発射し、メンディーは振り返って、ドアの方向にお神輿の扉を開けた。
一瞬にして、先頭のデルタフォースは完全燃焼し、後続も燃え尽きて全滅した。バウンディママが消火器を発射した為、店は燃えなかった。