ー第1話リサーチ
陰謀論系YouTuberメンディーは、ソロモンの秘宝剣山説の動画を作る為、スタッフのキューティクルとリサーチを開始した。デジタルノマド(電子機器遊牧民)の2人は、快活クラブの鍵付き個室に閉じ籠って、制作方針を話し合っていた。
「メンディーさ。これ20年も剣山掘ってる奴いるし。GHQも調査に入ってる…有ったとしても移動してるんじゃない?」
メンディーは、ドリンクバーのスプライトを、薄緑色のプラスチックコップで飲み干した。
「ここまで結界まで張って…守ってた物を。GHQに簡単に渡すか?」
「敗戦前に移動させた?」
「日本でGHQの手が出せない場所は…皇居か京都御所?後古墳だな」
「学術調査の名目なら、GHQはやるだろう?」
「ならどこだ?」
メンディーは、備え付けのPCを使って、さまざまなキーワードで検索を掛けた。
「これはどうだ?」
キューティクルがメンディーの隣に顔を突き出す。
「…横田基地…戦時中福生飛行場…陸軍の航空機開発実験部隊…天皇行幸…甲府石を賜り基地内に設置…福生は怪しいな…甲府は皇付か?」
メンディーは横田空域を表示した。
「世界でも外国が、ここまで広大な空域を占拠している事例は無い。在日米軍は何かを守っている?」
「横田の住所はカルホルニアだ。撮影は無理だな…でも甲府石の映像は欲しい。甲府石の前で信玄餅を食えば再生数伸びるぞ」
「炎上するだろ。関係無いし。関係無いなら横手焼きそばの方が伸びる。甲府関係無しで横が一字だけしか合ってない」
「信玄餅と横手焼きそば、両方だな」
メンディーが黙ってモニターを見てる。
「メンディー、よからぬ事考えてるだろ?やめろよ」
「それは聞いてから言おうよ」
「どうぞ?」
「見ろ?マクドナルドが有る」
「店員が日本人じゃない」
「アメリカからマクドナルドのスタッフで入ろう……清掃係なら抜け出して、甲府石に行ける」
「英語話せないだろ?」
「ブラジルの日系人で行く。ポルトガル語は話せる」
「なんで話せるんだよ」
「岐阜の美濃加茂市のソニーに居てさ。今無いけど。職場が俺以外ブラジル人だったんだ」
「それで都市伝説動画作れるぞ」
「ソロモンの動画終わったら作ろう」
メンディーはYouTuber仲間のオムランから、100万借りて、アメリカのマクドナルドに渡航した。