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陰謀論  作者: 武上 渓
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ー第9話哀川蝶

3人は両手を上げながら、下がって行く。メンディーはお神輿を出そうとするが、箱が高くて外に出ない。そこに何やら投げ込まれて来た。

「はい。メンディーさん。手榴弾です。出ないと死にますよ?」

メンディーはお神輿を置いて、箱の壁に飛び付いた。懸垂してよじ登る。もちろん、哀川蝶とは反対側。

焦る。ピンを抜いてから3秒だ。間に合わない。しかし、メンディーに筋力がなく箱の中に落ちた。眼の横に手榴弾が有る。

するとフワッと光が満ちて、手榴弾が溶けた。メンディーは落ちているキッパ帽を拾って、もう一度箱の壁に飛び付き、上に手を出した。外から手が伸び引っ張っられ、箱の外に落ちた。


「なるほど。爆発しませんね。わかりました。ナイフで行きましょう」

哀川蝶はナイフを抜いて、箱の裏側に居る4人に向かって来た。

「中に戻れ戻れ!キッパを乗せてろ!」

イスラエル情報部のダニーさんを台にして、3人が箱の中に飛び込む。

ダニーさんは哀川蝶を迎え撃つ。

「ダニー大佐。お久し振りです。覚えていらっしゃいますか?哀川蝶です」

「よく覚えてる。京都御所では世話になった」

二人はギリギリと足を鳴らしながら、隙を狙う。

「あの時は。二人ともにナイフを持っていた。今大佐はナイフを持っていない。私はナイフを捨てるべきですか?フェアじゃないと?」

「捨てるべきじゃないな。捨てたら私に勝てない」

「なるほど?ハンディギャップをいただける?遠慮なくいただきます」

哀川蝶はためらいなく、ナイフを繰り出し、腕の布地を切り裂く。

「そうですね。そのキッパ帽子を行きますか?守って下さい」

哀川蝶のナイフがダニーさんの頭上を狙い、キッパ帽を拐う。

ダニーさんはキッパ帽の上からナイフをつかみ、モギリ取った。素早く握り直して、哀川蝶の首筋を狙う。

哀川蝶は回避して、かすり傷までダメージを減らし、コルトをダニー大佐のコメカミに撃ち込んだ。

「ハンディキャップです。当然でしょう」

哀川蝶は、即死したダニーさんの手からナイフを回収した。

「さて?メンディーのお騒がせビデオの皆さん?行きますよ?」

哀川蝶は箱に手を掛けて跳んだ。

空中でナイフを構え、キッパ帽を押さえている3人の上に落下する。そして、空中で燃え尽きた。


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