7月24日
7月24日、今日は晴れだが、台風が発生して今後の進路が気になっていたが、どうやら大丈夫のようだ。だが、夏休みなのであんまり意味がない。来月いっぱいまで登校日以外は休みだからだ。それ以外に台風が来たら嬉しいのに。
真人は窓を見上げた。いつもの風景が広がっている。だが、江戸時代はどんな風景が広がっていたんだろう。全く想像がつかない。これを調べたら、きっといい自由研究になりそうだな。
真人は1階のダイニングにやって来た。今日も敏郎は朝早くから出かけていて、すでに出勤している。母はいつものように朝ご飯を作っている。だが、江戸時代はどんな感じだったんだろう。その頃はこんな朝早くから出勤していなかったんだろうか? 家族みんないたんだろうか?
「おはよう」
「おはよう」
真人は椅子に座ると、朝食を食べ始めた。真人は何かを考えているようだ。夏江はその様子が気になった。何を考えているのか、教えてほしいな。
「自由研究、うまくいってる?」
いつも聞いている事だ。真人は聞き飽きた。だが、今日から進めようとしているのだから、はっきりと話そう。
「今日からちょっと進めようかなと」
「ふーん」
真人は黙々と朝食を食べている。夏江はその様子を、頼もしそうに見ている。いつもだったら、なかなか悩んでいて、相談してくるのに、今年はなかなかスムーズで、よく思いつく。どうしたんだろう。
朝食を作り終えた夏江は、テレビを見ている。だが、真人は全くテレビを見ようとしない。食べ終わったら、見ようと思っているようだ。
「ごちそうさま」
真人は食べ終えると、リビングにやって来た。だが、テレビに全く興味がない。外を見ている。どうして外を見ているんだろう。夏江は真人の様子が気になった。そんなに外の景色が気になるんだろうか? 外に何かあるんだろうか? いつもと同じ光景が広がっているのに。
歯磨きを終えると、真人は2階に向かった。しばらくしてから、今日は外を散歩してみよう。そして、この辺りの散策をしながら、昔はどんな風景が広がっていたのか、河童に聞いてみようかな?
「さて、今日はちょっと出かけようか」
河童はその声に反応した。外を歩くのが、楽しみでたまらないようだ。
「いいよ! どこに行くの?」
「この辺りを一緒に歩こうかなと」
それを聞くと、河童は少し考えた。この辺りはどうなっているんだろう。あんまりこの辺りの様子を見ていないな。もっとこの辺りを散策して、この辺りがどのように変わったのかこの目で見たいな。
「どんな風景が広がっていたのか、知りたくて」
「いいじゃん!」
河童はその意見に賛成だ。この辺りがどれだけ変わったのか、この目で見たい。そして、元の時代に戻ったら、みんなに話すんだ。きっとみんな驚くぞ。
真人は時計を見た。午前9時になった。そろそろ出かけよう。
「それじゃあ、行こうか!」
「うん!」
真人は家を出て、家の周辺を歩きだした。この辺りは閑静な住宅街だ。今日も外は暑くて、日差しが強い。たまに見かける歩いている人はみんな、暑そうにしている。真人もすぐに汗をかいた。真人は持ってきたスポーツタオルで汗をぬぐう。
「ここが現代なんだね」
河童は辺りを見渡している。これが300年後なんだ。信じられないな。こんなに風景が変わってしまうなんて。
「信じられないの?」
「うん。のどかな風景だったのに、こんなになってしまうとは」
300年前はのどかな風景だった。なのに、こんなになってしまった。あの頃ののどかな風景は消えてしまったんだろうか? のどかな風景は今でも残っているんだろうか? 残っていたら、そこに行きたいな。
「ショックを受けてる?」
「うん。でも、次第に慣れてきた。だけど、昔の風景がいいな」
河童は今の風景に少しずつ慣れてきた。だけど、空気が汚れているし、自然が少ない。できれば、昔の風景がいいな。だけど、時代は移り変わってしまうもの。その中で風景も変わってしまうのだ。
「そうなんだ・・・。僕はこの風景がいいんだけど」
だが、真人はこの風景がいいと思っている。豊かで、いろんな人々と会える。そんな住宅街が好きだ。
「人の好みって、変わっていくのかな?」
「そうかもしれない」
河童は下を向いた。風景が人の好みが変わって市しまうのが、ショックでたまらないようだ。どうして人は豊かさを求めて、自然を破壊するんだろう。その理由がわからない。
「そして、昔の風景は失われてしまう」
河童は悲しそうな表情だ。真人はその理由が全くわからない。
「悲しいの?」
「うん」
真人には、河童の気持がわかる。故郷の風景が失われてしまうのは、自分だって寂しい。故郷と言えるような場所が、故郷の風景ではなくなってしまう。それは、帰る場所がなくなってしまうようだ。
「見慣れた風景が失われるのって、寂しいよね。僕もわかる」
「ありがとう」
河童は辺りを見渡した。ここには昔、田んぼが広がっていたのに、今では住宅街になっている。あの頃の風景が恋しいよ。どうして人は田んぼや畑を住宅街に変えてしまうんだろう。
「ここは昔、田んぼが広がってたんだよな」
「そうなんだ。今の風景からは全く想像できないよね」
真人は驚いた。この辺りには田んぼが広がっていたのか。全く想像がつかない。だけど、住宅街という概念がなかった時代は、これが郊外の風景だったんだと思うと、感心した。
「そうでしょ? って、どうしたの?」
河童が横を向くと、真人はメモを書いている。これを自由研究のネタにしようと思っているようだ。
「これを書いておこうかなと思って」
「どうして?」
河童は驚いた。どうしてこんなに書いているんだろう。
「自由研究のネタにするんだよ」
「そうなんだ。頑張ってね」
河童は笑みを浮かべた。頑張っている真人が好きだな。もっと頑張ってほしいな。
「ありがとう」
お昼前、真人は家に帰ってきた。そろそろお昼ご飯の時間だ。きっと夏江が待っているだろう。
「ただいまー」
「おかえりー。何をしてたの?」
夏江は心配していた。朝からどこに出かけていたんだろう。最近、様子がおかしい。自由研究を考えているのは明らかだが、こんなに積極的な真人は見た事がない。いったい何があったんだろう。
「そこら辺を歩いてた」
と、夏江は思った。ひょっとして、自由研究のネタを考えていたんだろうか? ならば、応援しようかな?
「ふーん。自由研究のネタにしようと思ったの?」
「うん」
「そうなんだ。頑張ってね」
夏江は笑みを浮かべた。その表情を見て、真人はやる気が出てきた。夏江のためにも、自由研究を頑張らないと。再来月の発表で、ほめてもらいたいな。
真人は2階に向かった。すぐに自由研究のまとめに入るようだ。夏江はそんな真人の後ろ姿を、頼もしそうに見ている。この子なら、必ずやってくれるだろう。